今回ご登場下さるのはジャズ・ヴォーカリストの高樹レイさん。長年第一線で活躍し、コンスタントにアルバムを発表している高樹さん、この度2004年に行われたライブ音源をリリースされました。なぜ今年2004年の音源をリリースなさったのか?そして当時のエピソードやメンバーのご紹介、さらには高樹さんが聴いていらした音楽について、たっぷり答えていただきました。(2021年5月) ---このアルバムは2004年3月に行われたライブを収録した作品とのこと。 2021年に、約17年前のライブをアルバムリリースしたいきさつについて教えて頂けますか? 高樹:このコロナ禍を受けて自宅にいる時間も長くなり、ライブも減り、配信なども経験しながら、自宅にて私の音楽を如何にリアルに近いライブという形で皆様にお届けするにはどうしたらいいか.....模索している中で、たまたまドキュメント記録として手元にあったこのライブ記録を改めて聴き、とても音も内容も良いので、公な作品として発売する事を思い切って決めました。 ---ライブ当日のエピソードや想い出などあれば伺えますか? 高樹:2014年3月のこの福岡ブルーノート2Daysのライブは、2週間連日の非常に長い九州〜中国〜関西ツアーの一環でした。 まずは宮崎県都城市のやはり2Daysホールコンサートからスタートし、ラストは西宮まで。楽しくて楽しくて最後はずっとメンバー達と笑っていたような。最高のツアーでした! メンバーは東京から私とベーシスト池田芳夫さん。九州からはピアノ久保田浩さんとドラム古地克成さん。 私の音楽にとって最強のトリオメンバーで、今でも私の長いキャリアの中で忘れ難いツアーです。 東京からライター岩波洋三先生も飛んできてくださり、当時、大きくメディア媒体で取り上げられました。 毎晩打ち上げまで楽しみ、特にこの福岡ブルーノート2Daysは大盛況満員御礼にて終了。 当時の福岡FMラジオ番組等でも宣伝してくださり、私にとっても最高の時代でした。 ---この日のメンバーは久保田浩さん(pf)、 池田芳夫さん(b)、 古地克成さん(ds) について、どのような方々かご紹介いただけますか? 高樹:池田芳夫さんとはとても古くなります。私のレーベル、カメラータトウキョウより発売した4タイトルの作品たちは、欧州のメンバーとのコラボ作品も多いのですが、彼等の来日時は(ベーシストが来日出来ないツアーは)ベースには池田さんに入ってもらう事も多く、とてもお世話になってきました。 そして、ジャズという即興世界の素晴らしさを教えてくださった尊敬する先輩の一人ですね。 ベースとボーカルだけのデュオライブ、そしてツアーも良く行きました。 ピアノ久保田浩さんともやはりとても古くて、私がこの世界に入った時分からのピアニスト。 もう25年近くの共演歴があります。ブルーズィでご機嫌です! そしてドラム古地克成くん! もうドラマーらしいドラマーでカッコいい生き方をする唯一無二のドラマー。 やはり古いです、もう! 彼が東京在住時よりコラボしてました。 ---アルバムを聴かせていただき、17年前ということを感じず、素晴らしい音楽は時空を超えるんだなあということを実感しました。こうやって音楽が記録されて聴き継がれることについての思いを教えて頂けますか? 高樹:有難うございます! ジャズという世界はやはり永遠であり、時代を超えてきます。特に原点に自身の音楽を戻した時に、王道なアプローチやこの「swingする!」という醍醐味は他のジャンルにはない素晴らしさ、エナジーを永遠にくれます。 それがこのようなライブ盤として当時の熱い空気まで再現し皆様にお届け出来たことは、幸せです、とても! ---選曲がとても素晴らしく知っている曲が多くて、ジャズ初心者でも楽しめますね。 選曲は高樹さんが主になさったのですか? 高樹:そうです。選曲やヘッドアレンジ、そのアプローチ、そしてステージング全体&曲順等も全て私が決めました。ベース池田さんに助言をいただいた部分もありました。 選曲はライブの一番大切な部分ですね!どのように素晴らしい1ステージを皆様にお魅せ出来るか!ジャズファン以外の方々もどう楽しんでくださるのか、有名曲も取り混ぜながら、私の2作目作品『Here's That Rainy Day』から選曲しました。 ---現在のライブでも選曲はご自身でされているのですか? 高樹:現在でもずーっと同じです。自身のリーダーライブは選曲からそのアプローチ、ステージング、全て私自身で決めてます。 ---高樹さんは子供の頃から歌うことがお好きだったのでしょうか。 高樹:好きでしたね! 3、4歳から歌って踊っていたようです(笑)。 ---学生時代は、どのような音楽を聴いていらしたのですか? 高樹:小学校の頃は兄や従兄妹の関係で洋楽ばかり聴いてました。あちらのPopsばかり。FENも聴いてたし、Beatles、BeeGees他にも沢山。Carpentersも大好きでしたね!全て歌ってました(笑)。 高校の時は洋楽バンドも組んでてボーカルを担当して。R&B、モウタウン等のソウル、West Coastロックも大好きでした。高校3年の夏休み予備校時代からジャズにハマっていきました。高田馬場にて偶然にもCTIのタレンタインを聴き、それに鳥肌。そこからラムゼイ・ルイスへ。そしてフュージョンへとハマっていく。そういう時代でしたね。 そこからモダンジャズへ! そして並行してクラシックもかなり聴くようになりました。 ---うわぁ、楽しい!このあたりはぜひお会いしてのインタビューでじっくり伺いたいです。 さて、このWEBマガジン「Cheer Up!」では、アーティストの「Cheer Up!ミュージック」をお伺いしています。高樹さんにとってのCheer Up!ミュージックを教えて頂けますか? 高樹:そうですね…難しい質問です。沢山あり過ぎて(笑)。 強いて言えば、青春を思い出すような、DooBieBrothersの「Long Train Running」、Eaglesの「呪われた夜」だったり、ジャズだとエバンストリオの「My Foolish Heart」だったり、クラシックではやはりマーラー!5番が大好きです。 パーカーwith Stringsの「ローラ」は人生の中で一番かもしれない! 一つ決めるとすれば、私のCheer Up!音楽は、『Charlie Parker With Strings』の「ローラ」です! ---海外でのライブも多い高樹さん。現在のコロナ禍の状況が落ち着いたらどの国でライブをされたいでしょうか。 高樹:そうですね。欧州はまた歌いに行きたい!ウィーンは勿論のこと、パリ等も。それもノルウェー等の北欧にも。 あと、カナダですね!カナダは素晴らしいジャズシンガーも多いので。 ---高樹さんは歌声はもちろん、アルバムで聴けるトークの声もとても魅力的。美声の秘訣を伺いたいですが、喉のケアなどこまめにされているのでしょうか。 高樹:全くしてないです(笑)。 風邪を引かぬよう気をつけるくらい。喉はあまり使わないと調子いいですね! 歌い過ぎないこの時代、声帯を休めることもとても大切。 ---今後の夢や展望、2021年のご予定など教えて頂けますか? 高樹:また、7月に新作のレコーディングを控えてます。 今度は日本語作品、武満徹作品集を!とても楽しみです。 そして、私の夢の一つは、with Stringsと共に、大きな作品を残したい。シナトラやサミーのように。 ライブに関しては、今の所具体的な話はまだないですが、世界ツアーに行けたら行きたいです。 早く平和な時代が戻りますように! 有難うございました。 楽しかったです、とても。 ---こちらこそ、どうもありがとうございました。新作も楽しみにしております。 『LIVE!! in Jazz 2004』高樹レイ 1.On Green Dolphin Street 2.I Thought About You 3.Angel Eyes 4.L-O-V-E 5.Fools Rush In 6.Love for Sale 7.Here’s That Rainy Day 8.The Shadow of Your Smile 9.Too Close for Comfort 10.Tennessee Waltz 11.All of Me 高樹レイ(vocal) 久保田浩(piano) 池田芳夫(bass) 古地克成(drums) レーベル名:a Taste of JAZZ 規格品番:ATOJ-2103 発売日:2021/3/19 (amazon等流通開始日:2021/6/25) (クリックすると拡大されます) ◆プロフィール 高樹 レイ / Rei Takagi 大学英文科卒業後、音楽関係の仕事も兼ねて単身渡米。 帰国後プロのJazz Vocalistとして、日本全国、そして欧州で活動。 色々なジャンルの曲を 感性豊かに表現し、その解釈&表現が非常に斬新であり、米国的なステージング、楽器的 なヴォイスの世界は日本有数であり、 実力派シンガーと して日本、欧州で評価されている。 そして、特にバラードなどは、日本人離れした Grade の 高い Level の高い歌唱であり、 聴くものを魅了して止まない。 ● 1999年11月25日、(株)カメラータトウキョウ、インサ イツレーベルより New York 録音 1stアルバム「Now Hear This!!」発表。 ● 2002年6月24日、同レーベルよりウィーン録音 2ndア ルバム「Here’s That Rainy Day」をヨーロッパ先行発売。同年9月20日、日本発売。このアルバムは世界で類を見ないトーチソング(失恋)・ バラード集。 ウィーンの老舗ジャズクラブ【 JAZZ LAND 】での定期的 なライブ活動。 スイング・ジャーナル誌主催「第36回 2002年度ジャズ・ ディスク大賞 ボーカル部門」にもノミネートされる。 ● 2004年12月12日よりヨーロッパ・ライブツアー。 ウィーンの老舗ジャズクラブ【 JAZZLAND 】に於いて、日本人アーティスト初の欧州ライブレコーディング。 2日間、AS奏者 Gary Foster 氏を交えてのライブの模様が そのままCD化され、2005年3月25日、同レーベルより ウィーンライブ録音 3rdアルバム「ライブ in ウ ィーン」 として発表。 欧州での素晴らしいライブの模様がそのまま商品化され、 思う存分楽しめる内容となっている。 スイング・ジャーナル誌主催「第39回 2005年度ジャズ・ ディスク大賞 ボーカル部門」にもノミネートされる。 ● 2010年9月25日、4thアルバム「After Hours」発売。 スタンダーズを近未来ジャズとして斬新なアプローチで表現。 変拍子やボーカリーズも組み入れた世界が非常に評価さ れ、傑作作品が誕生した。 高樹レイの極上な語り世界も聴かせる作品。 ●2013年7月7日、5thアルバム「TwoVoices」を発表。これは世界に類を見ない非常に貴重な作品となった。あの世界的な名ジャズシンガー、カーリンクローグ氏からも大絶賛を受け、各方面で話題となる。 竹内 直との完璧なデュオ作品。コード楽器の無い、リズム楽器の無い、フロント二人だけの表現世界を収録した傑作アルバム。非常に高度な芸術作品。 レーベルはWhisper、第1弾作品。 ●2015年7月25日、6thアルバム【DUO-one】をUplift Jazz Recordより発売。 この作品はDUOシリーズとしてスタートした。毎年一枚ずつ同レーベルから様々なデュオで高樹の歌世界が表現、発売される。その第1作目。日本ジャズギター界のレジェンドである中牟礼貞則とのこのデュオ作品は、空間が見事にジャズとなった究極の作品。 ●2016年11月18日、7thアルバム【DUO-two】をDUOシリーズとして、Uplift Jazz Recordより発売。このシリーズ2作目の今回の作品は、鬼才ピアニスト伊藤志宏とのデュオ世界。変拍子やや即興等で表現された類い希な極上な世界でありデュオの理想の姿が聴ける。 ●2018年1月30日、DUOシリーズラスト、8thアルバム【DUO-three】を発売。この作品は織原良次フレットレスベースとのラストに相応しい様々な情景が見えてくる作品。W.ShorterやH.Hancock等の名曲ボーカリーズを唯一無二で表現した作品。 ●2021年3月19日、今回の新譜を発表。 17年前のドキュメントライブ記録作品、LIVE!! in Jazz 2004、福岡ブルーノートの2Daysコンサートの模様をそのままパッキング。 アマゾン他流通発売は、6/25からです! 高樹レイ Official Website https://www.reitakagi.com/ |