2012年、始まったばかりのこのWEBマガジンに登場下さった男性二人組ユニット「The Bookmarcs」。 地道に配信での楽曲発表を重ね、ついに待望のフルアルバム『BOOKMARC MUSIC』を10月にリリースした。
いまこのアルバムがじわじわと静かな話題を呼んでいる。TVや映画音楽の世界で活躍中の作編曲家、洞澤徹さんの生み出すサウンド、そして稀有な歌声を持つ近藤健太郎さんの歌詞と歌が融合して唯一無二の幸せな世界を作りだしている。まさに良質なポップス。心地良い時間を過ごせることうけあいだ。
今回は洞澤徹さん・近藤健太郎さんのお二人に、このアルバムのお話をメインにじっくり伺った。(2017年11月)


---The Bookmarcs結成のきっかけは、洞澤さんが近藤さんの声にとても惹かれて「何か作りたい!」と思ったことだそうですね。
印象的なユニット名「The Bookmarcs」の名前に込めた思いについても教えて頂けますか?


洞澤:ブックマークと言うと直訳は"栞"ですが、今はインターネットの"お気に入り"という意味が大きいです。
僕らの音楽もいろいろな人の"お気に入り"に入れてもらえたらいいなという思いで名付けました。

---これまでに数曲ずつ配信リリースされてきて、その都度話題になり、フルアルバムを待ち望んでいたファンも多いことと思います。今回、フルアルバムとしてリリースすることになった経緯を教えて頂けますか?

洞澤:今まで配信で少しずつリリースしてきた曲も、全て合わせるとフルアルバムが作れるボリュームになったことと、やはりモノに残るCDを作りたいよね、と二人で話し合った結果、今回のリリースに辿り着きました。

あとはFLY HIGH RECORDSの土橋一夫さんが気に入ってくださり、レーベルから出しましょうという話をいただけたのも大きいです。

---今回は新曲が3曲、そして過去に配信した音源もリミックスされたり、再録音&リアレンジしたりと聴き応えがあります。このような構成にした経緯について教えて頂けますか?

洞澤:新曲に関しては、もっとキャッチーでリード曲になるような曲が欲しかったので書き下ろしたのと、アルバム制作のモチベーションとして何曲かは新曲を入れたかったというのはあります。
再録音・リアレンジに関しては、結構リリースしてから時間が経っている曲も多いので、ミックスなどに古さを感じたこともあるし、近藤くんのリクエストでボーカルを録り直したいという意見があったので、ならば録り直そうと。
それと曲によっては打ち込みを生演奏に差し替えた方がクオリティが上がるので、可能な範囲で差し替えました。

---アルバム制作期間はどのぐらいかかったのでしょう?
曲順については、どのように決めたのでしょうか?


洞澤:制作期間はマイペースにやってたので8ヶ月くらいでしょうか。
曲順に関しては、1曲目と最後の曲がすぐ決まり、あとは飽きさせないようにするにはというところを考えました。あと既存曲は作った時期によって随分アレンジの雰囲気に幅があるので、違和感がないように気をつけました。

---The Bookmarcsの曲は、詞先、曲先どちらなのですか?
洞澤さんは、作曲や編曲はどのように行っているのでしょう。時間はかかるほうでしょうか?


洞澤:全て曲先です。
曲作りの方法は様々で、ハンディレコーダーにギターを弾きながら鼻歌を入れることもあるし、最初からMACでシーケンサー(曲を作るソフト)を立ち上げてリズムの打ち込みから始めることもあります。最近は鼻歌が多いかな。
時間はあまりかからない方です。1曲1日か2日くらいです。

---作詞は全曲近藤さんですね。近藤さん、どういう時に詞が浮かぶのでしょう。時間はかかりますか?

近藤:僕の場合、さー書くぞ!と思って取り掛かるとなかなかうまくいかないんです。
曲をいただいたらiPodに入れて、移動中ひたすら聴き込みます。なんとなく口ずさんだりしながら、しっくりくる言葉を探して、いいなと思ったフレーズはメモします。いつもどこかで曲のことをぼんやり考える日々が続き、ふとした瞬間に火が点いて(笑)、一気に書き上げたりします。
そんなわけで、比較的時間がかかる方です。

もちろん全てがこのやり方というわけではなくて、なぜかあっという間に書ける時もあります。
歌詞を書くという行為は自分にとってはある意味挑戦ですが、The Bookmarcsという場所でいい機会を与えてもらってるなと感謝しています。

---歌詞を聴いていると、何かしら物語が思い浮かびますし、もしかして近藤さんの実体験が多く含まれているのかな?とも思いますが、そのあたりいかがですか?
曲のタイトルは後で付けているのでしょうか。


近藤:歌詞の内容はですね、物語を紡ぐ方が多いですね。
あとは、年月と共になかなか会えなくなってしまった友人のことを思い出してみたり、男女に限らず素敵だなって思う人をイメージして書いたりとか。
具体的な体験をそのまま歌詞にすることはあまりないけど、自分が経験したり見聞きしてきたことは無意識に反映されているのかなとは思います。
タイトルは先に仮タイトルをつけちゃいます。そのまま採用するかしないかは五分五分です。

---近藤さんの詞は切なく寂しいイメージのものも多い気がします。
反面、洞澤さんのメロディやアレンジは明るく爽やかなものが多く、重い気持ちにならない・・・そして絶妙なアレンジで切なさを盛り上げてるように感じるんですよね。
そのあたり、お二人はどのように感じていらっしゃいますか?


洞澤:そうですね、近藤くんの詞は、切ない感じのものが多いですね。
僕のメロディも同じく切なさを前面に出してしまうと、ちょっと歌謡的な要素が大きくなりすぎてしまうので、バランスとしてとっても良いと思っています。もちろんメロディにも切なさは盛り込んではいるのですが。

近藤:音楽や小説、映画でもそうですが、自分はわりとその“切ない”という要素を備えた表現物に惹かれるので、The Bookmarcsの作品に切なさを感じてくれるのは素直に嬉しいですね。
むしろ僕は洞澤さんのメロディにとても切なさを感じていますよ。素のメロディがまさにそうなんです。
確かに絶妙なアレンジでそこが中和され、ひたすらなんか切ないとか悲しい曲にはなっていないですよね。

あと二人とも根はきっと能天気なので、決して重すぎたり、お涙頂戴みたいにはならないんだと思います(笑)。




---今回のアルバムは、今までにない感じの曲調の新曲「I Can Feel It」から始まります。
キャッチ―なホーンが爽やか、柔らかく美しい近藤さんの声で、大人女子は1曲目からノックダウンですね。
そして続く「Let Me Love You」も新曲。スローな16ビートにのせて都会の切ない恋。近藤さんの透明な歌声で映像が浮かんでくるかのようです。
8曲目の「Oh Wonder」も新曲。今回の新曲3曲はどのような考えで制作されたか教えて頂けますか?


洞澤:幾つか新曲を作って詞が上がってきたのがこの3曲です。
「I Can Feel It」はすぐに完成系が浮かんでイケる!と思ったのでリード曲にふさわしいようにアレンジをポップに仕上げました。
「Let Me Love You」は仮歌を入れた段階で、これはAOR色を強く出そうと思いリファレンス曲を何曲か聴いてアレンジを詰めました。
「Oh Wonder」はソフトロックのタッチとアナログシンセのイメージがあって、詞が上がってきたところでさらにアレンジを詰めていきました。

近藤:今回の新曲も全て大好きな曲になりました。
「I Can Feel It」は出だしのサビの言葉をまず決めてイメージを膨らませていきました。とにかくキャッチーなメロディを壊さないように言葉を選びました。歌入れまでは不安でしたが、録音後、洞澤さんが手応えを感じる表情をしてくれていたので安心しました。
「Let Me Love You」はメロディが綺麗ですよね。歌っていてとても気持ちいい曲です。映像が浮かんでくると言っていただきとても嬉しいです。この曲のMVを勝手に想像しながら歌詞を書いていました。
「Oh Wonder」は自分の中ではとてもストーリーを感じる曲に仕上がりました。聴く人がそれぞれ自分でイメージを膨らませて楽しんでくれたら嬉しいです。

---サウンドについても伺いたいのですが、「眩しくて」「Oh Wonder」など80年代っぽいシンセが懐かしくも新鮮ですね。「Transparent」のサックスが、大人の恋を盛り上げていましたね。アレンジのアイディアはどうやって思い浮かびますか?近藤さんもアレンジにアイディアを出すこともあるのですか?

洞澤:どこか懐かしさを出すというTheBookmarcsの一つのテーマの中で80'sによく聴いたブラスシンセの音はとっても特徴的なのでよく使います。
「Transparent」のサックスは譜面は書かず”浮遊感”を出してくださいという注文のもと、ユーミンのツアーメンバーでもある伊勢賢治さんにデータを渡したら素晴らしいサックスが返ってきました。全てネットのやりとりでした。こんな風に手伝っていただくミュージシャンにアレンジイメージを助けてもらうこともしばしばです。

近藤:コーラスアレンジは互いにアイデアを出し合って色々試していきます。わりとお任せしてくれることもあって楽しいです。
ボーカルが入ってコーラスも加わると、やはり楽器のアレンジも微妙に変わってくるので、その段階でこんなフレーズが思い浮かましたがどうです?って意見を交わし合うことはありますね。

---「そばにいるよ」は個人的にも大好きで、寂しい時にふと聴きたくなります。The Bookmarcsの曲のなかでも、私のオススメ曲です。今回はVocal再録音なのですね。再録音された経緯は?
あと、歌の録音は、いつも何テイクぐらい歌うのですか?


近藤:「そばにいるよ」は僕も大好きな歌です。一見シンプルなメロディに聴こえるのですが、コード進行は凝っていてなかなか難しい歌なんですよ。
再録音を希望した動機は、単純にもっと上手く歌えるかもと思ったから(笑)。配信リリースしてから客観的にこの曲を繰り返し聴いて、メロディをより理解できたので、改めて歌うことにより歌詞の内容も含め、もっと素敵にこの曲が伝わればいいなと願い録音しました。
ボーカルレコーディングは大体3テイクくらいで打ち止めです。





---2011年に結成、お二人で組んで間もなく丸6年ですね。お互いについてどのようなお人柄と感じていますか?
他己紹介的な感じで伺いたいです!


洞澤:近藤くんは、いつも言ってるんですが”丁寧”な人です。人とのコミニュケーションにおいては特にちゃんとしている人で、ユニット活動をしている上でもずいぶん助けられています。私がズボラですから。

近藤:洞澤さんはとてもストイックな人なんです。仕事に対する考え方やスタイル、余暇の取り方、力を入れるとこ抜くとこのバランス加減がとても上手で素敵だなって思っています。自分がズボラなので見習いたいです。・・・って、お互いズボラって言ってますね。。

---The Bookmarcsを結成して、変わったなあと思うことはありますか?たとえば生活パターンとかご自身の考え方とか。

洞澤:仕事の音楽以外に、とことん”好き”を追求できる場所ができたということです。人生において大切なことだと思います。

近藤:歌うことが以前より好きになりました。バンドをやっている時は、曲を作ってギターを弾いて!という意識が強かったので、ボーカリストという自覚があまりなかったんですよね。そこが一番変わったことかなぁ。

---このWEBマガジン恒例の質問です。
お二人にとってのCheer Up!ミュージックを教えて頂けますか?


洞澤:時によって変わってゆくのですが今はThundercat の「show you the way」です!

近藤:チャップリンの「スマイル」です。このメロディと歌詞に何度勇気や元気をもらったか。
どうしてこんなにも心を揺さぶるメロディなんでしょう。いつかカバーもしてみたいです。

---今後のThe Bookmarcsについての展望や夢を教えて頂けますか?

洞澤:まだまだ世の中の人に知られていないので、知ってもらえる様頑張って、次のアルバム作りに備えたいと思います。

近藤:地道にリリースを続けていければなと。アナログでリリースもいいですねぇ。あと、フルバンドでライブがしたいですね。ホーンやストリングス、パーカッション等々豪華編成で(笑)。色々欲張りでしたね(笑)。

---どうもありがとうございました。このアルバムでますますThe Bookmarcsが好きになりました。
もっと多くの方に広まってほしいですし、この素敵な歌&サウンド&歌声に癒されてほしいです!





『BOOKMARC MUSIC』The Bookmarcs

01.I Can Feel It
02.Let Me Love You
03.眩しくて
04.想い出にさよなら
05.黄昏のメトロ
06.遥かな場所
07.追憶の君
08.Oh Wonder
09.Transparent
10.そばにいるよ
11.消えない道
12.真紅の魔法

レーベル:FLY HIGH RECORDS
ディストリビューション:ヴィヴィド・サウンド・コーポレーション
形態:CD(通常盤ジュエルケース仕様)
企画番号:VSCF-1763(FRCD-053)
価格:2,500円(税込)/2,315円(税抜)
発売日:2017年10月11日






◆The Bookmarcs プロフィール:

the Sweet Onionsの近藤健太郎と、TV・ラジオ・映画音楽などを手がける作曲・編曲家の洞澤徹が2011年に結成した男性2人組ユニット。70's AOR/ソフト・ロックと、ほのかな80'sのテイストを効かせた少し甘酸っぱい大人のポップスを展開。2012年5月にファースト音源となる『Transparent EP』を配信リリースし、iTunesヴォーカル部門チャートで最高9位を記録。J-Wave、各FM局でオン・エアーされ話題となる。
2013年3月、バート・バカラック、伊藤銀次等のカヴァー曲を収録したアルバム『音の栞〜Favorite Covers〜』を配信リリース。同年夏、劇場公開映画『風切羽』の音楽を洞澤が担当。また劇中挿入歌にThe Bookmarcsの「君と」が起用される。2014年4月、配信シングル「眩しくて」をリリース。同年7月に、TVCM映像作品のイメージ・ソングを集めたコンピレーションCD『Sweet wedding, Sweet home』がリリースされ、The Bookmarcsの「遥かな場所」が収録される。
2016年6月、配信シングル「追憶の君」をリリース。2017年4月、文化放送のジングルを担当。そして10月11日、初となるCDフル・アルバムをFLY HIGH RECORDSからリリース。


◆メンバー・プロフィール:

洞澤 徹(ほらさわ とおる/作曲・編曲担当)
配信専用レーベルsmall bird recordsを運営し、The Bookmarcsをはじめいくつかのユニットをプロデュース。作家活動としては映画音楽やJ-POP、ゲーム音楽、放送音楽まで幅広く手がける。
アコースティック・ギターを軸にしたオーガニックな曲作りを得意とする。

【過去の代表的な仕事】
日本テレビ「Oha!4」(2006〜2015年)テーマ他BGM
映画『風切羽』音楽(2013年公開/小澤雅人:監督)
映画『奴隷区』一部音楽(2014年公開/佐藤佐吉:監督)
映画『U-31」音楽(2016年公開/谷健二:監督)
Hey ! Say ! JUMP「百花繚乱」 (作曲・編曲/作曲は共作)
パクヨンハ「覚めない夢」(作曲)等々。


近藤健太郎(こんどうけんたろう/作詞・歌担当)
POPグループthe Sweet Onionsのヴォーカル/ギター、作詞・作曲を担当。自主レーベルphilia recordsを主宰。現在までにCDプロデュースや、カフェやホテルにてライヴ・イヴェント等をゆるやかに企画展開。
2016年2月、シンガー・ソングライター小林しののアルバム『Looking for a key』を自身のレーベルからリリース。

【過去の代表的な作品】
『pictures』the Sweet Onions
『Life is Beautiful』the Sweet Onions
「記憶のプリズム」小林しの(作曲)
『Easy Living Vol.1』(コンピレーション・アルバム/プロデュース)
『Looking for a key』小林しの(レーベル・プロデュース)


The Bookmarcs Official WebSite
http://smallbirdrecords.com

アルバム特設サイト
http://smallbirdrecords.com/the-bookmarcs_bookmarcmusic/

Twitter
https://twitter.com/TheBookmarcs

Facebook
https://www.facebook.com/TheBookmarcs/


♪最新Liveインフォーメーション

2017年12月15日(金)
「The Bookmarcs Meeting Vol.2」
〜ワルイコさんとブクマくん〜
時間:19:30開演 20:00スタート
出演:The Bookmarcs / ワルイコ
料金:ミュージックチャージ500円+投げ銭(任意)
場所:ボーダーライン(横浜野毛)
http://borderline-noge.com/borderline.html


<Cheer Up!関連リンク>

The Bookmarcs「Transparent」インタビュー(2012年)
http://www.cheerup777.com/bookmarc1.html

The Bookmarcs「追憶の君」新譜情報コメント参加(2016年)
https://ameblo.jp/cheerup2009/entry-12175348906.html




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