CHEER UP! COLUMN


「しなだの伊勢旅行日記」 しなだあやこ(Yucca)


みなさま、はじめまして。
Yucca(ユッカ)というバンドで、歌やパーカッションを担当しているしなだあやこと申します。現在35歳、独身、恋人もおらず、趣味は、スタジオと読書という生活を送っております。ここで出会ったのも何かのご縁ということで、どうぞしばしおつきあいくださいませ!

さて、今回は人生初、1人旅日記を書かせていただこうと思います。
バンドをはじめてから今まで「旅」というより、地方へ演奏に行く事の方が多く、違う土地へは行っても、メンバーもいるので勝手に行動するわけにも行かず、各地をじっくり見て回るということができていませんでした。

この十数年、バンド活動ばっかりやっている間に、周りは家庭を築いていき、気がつけば旅行に誘える友人も、子育て中という感じで、しかもプライベートも相変わらずの枯渇状態のため、何か楽しい事ないかな〜と日々考えていたのでした。
とはいうものの「自分で楽しい事見つけようぜ!オー!」みたいなノリは、私のような引きこもりには正直なところ、難易度が高いのです。

人から「行動的だね」「いつも忙しそうだね」と言われますが、暇さ故、毎日書いてる日記を読んでいただければお分かりいただけると思うのですが、私の1週間は以下のような流れを繰り返しています。

月曜日〜金曜日 遅くまで仕事→帰宅して食事、お風呂→就寝
土曜日 migスタジオ
日曜日 Yuccaスタジオ

土日は1日中スタジオなわけでないので、空いている時間に友人と会って食事したり、図書館へ行ったり、食材を買い込んで1週間のお弁当のおかずをまとめて作ったり。

基本は、家でネットやってSNSから感動する記事を教えてもらったり、いい音楽教えてもらったり、、、自分で探すって感じではないです。(まあ、ネットをやるっていうのも自分で動くってことにしますが)

そんな時、伊勢神宮へ行ってきた友人から「伊勢神宮は天国だった!」という感想を聞き、また同時に、伊勢のゲストハウスで働いている絵描きの友人から「遊びにきて下さい」という電話があり、「こ、これは、、、伊勢に呼ばれたのだ〜!!!このタイミングを逃してはいけない!!!」と思い、翌日には有給取得の申請をし、宿の予約、バスの手配をしたのでした。

7月27日金曜日、お客様との打ち合わせが長引き、バス出発時刻22:10の5分前に新宿都民広場バス乗り場に到着し、夕飯を食べないまま空腹でバスが出発しました。
なんと、最初のSAまで3時間ノンストップと聞き、お腹のリズムを抑えるべくガムを食べ、神経を食欲以外へ飛ばすべく「M/D」(菊地成孔・大谷能生 著 )を読みながら耐えました。SAでは運悪く、おにぎり、サンドウィッチが売り切れ状態で、何故かたくさん売れ残っていたメロンパンを購入し、一気食いをして空腹を満たしました。
(腰痛持ちなので軽く腰回りのストレッチしたり、ツイッターみて暇つぶしたり、つぶやいてみたり。)

その後も数回の休憩を経て(運転手さんは2名で安全運転でした)、7:30に伊勢市駅前に到着。「やっとご飯が食べられる!」と思ったのですが、伊勢市駅付近にはモーニングをやっているお店がほとんどなく、コンビニでサンドウィッチを購入して食べて、すぐに伊勢神宮(外宮)へ向かいました。
駅からは徒歩10分と近く、伊勢神宮に入った途端、友人の感想通り、空気が全く違っていて、奇麗な色の蝶々が飛んでいるのです。1人大興奮し、ゆっくりと深呼吸して「伊勢神宮に来たー!」と喜びを噛みしめました。昔から日本を見守ってきた、と思わせる佇まいと雰囲気に、自分のテンションが変になっているのを感じました。睡眠不足で暑いのに力が漲る感覚を味わいました。

元気になった勢いで、伊勢市駅に戻ってバスに乗り内宮へ。
空腹で限界だったので目の前にある店に飛び込み「伊勢うどん」を注文。
香川や岡山の、コシがあるうどんに慣れていたため、一口食べた感想は「柔らかい・・・そして甘い・・・」というものだったのですが、疲れた体には、柔らかくて甘いものが絶妙に良かったです。



そして、観光名所「おはらい町」へ。
江戸の町並みを再現した石畳の通りに、土産物屋や軽食屋などが連なっており、満腹なのに「冷やし胡瓜」「松坂牛コロッケ」を買い食いし、やっと内宮へ。

外宮とは違ってかなり開けた世界。
それでも神聖さは変わらなくて、中に流れる川も透き通っていて、見ているだけでも癒される不思議な感じ。(私が単純なので伊勢神宮マジックにかかっているだけの可能性もありますが・・・)

外宮よりも広いため一周してたらあっという間に時間が過ぎ、炎天下の中歩き回って体力を消耗してしまったので、内宮を後にし「カップジュビー」という喫茶店で一休み。
膨大なレコードの数に興味津々だったのですが、店内が混んでいたため店主に声をかけることができず、後でサイトをチェックしたところ、ご主人がミュージシャンということでした。

旅の醍醐味、「人との交流」をすればよかった!と、ちょっとだけ反省しながら歩いていたら「赤福本店」を発見し、迷わず入店。
赤福と緑茶(おかわり自由)のセットを、縁側で風鈴の音を聴きながら川の流れを見て過ごす、という贅沢を味わいました。東京のアパート暮らしでは、縁側で風鈴とか実現不可なので、いい気分になりました。(いつも隣の人の生活音を聞いて過ごしてるので、笑。)

そして友人から聞いて楽しみにしていた「おかげ横丁」を散策。
このゾーンの真ん中では、矢倉の上で和太鼓の演奏が行われ、お祭りムード満々。少し歩くと紙芝居小屋や江戸っぽい茶屋などがあり、友人が「アミューズメントパーク」と言っていた意味がすぐにわかりました。ただ、この場所に関しては1人だとちょっと淋しかったです。みんなでワイワイ言いながらまわると楽しい場所でした。


チェックインの時間になったので、友人が働くゲストハウス「風見荘」移動。
1年ぶりに再会した友人の表情は生き生きとしていました。ゲストハウス内の壁に描かれた絵も彼の作品だったりするので、新作を見れた事も嬉しいし、創作を続けられる環境を見つけたことも、彼にとってよかったなと思いました。

はじめてゲストハウスにとまるので、個室はやめてドミトリーにしました。2段ベッドが6個あって、読書灯とWi-Fiありで、お布団もふかふかで、2段ベッドって20年ぶりで、子供の夏休み気分でお昼寝しました。

夕飯の時間になったのでふらふら宿付近を散策。
小道を曲がって入ったところに「じろべえ」という伊勢うどん屋さんがあったので入店。
ご夫婦がとっても親切で、この街の歴史とか、伊勢神宮と市民の関わりについて色々お話してくれました。偶然居合わせたお客さんも、私が一人旅とわかると「夜は伊勢神宮で薪能やるから行きなよ!ラッキーだね、今日だけなのよ!」と教えてくれました。

夜の伊勢神宮はライトアップされてて、池畔に作られた舞台は松明で照らされ、幻想的な雰囲気の中、4つの演目を楽しむ事ができました。薪能の中身はほとんどわかりませんでしたが、笛、太鼓、小鼓、大鼓の音の絡みが気持ちよかったです。
予定を立てず突然動く、旅の醍醐味だな〜としみじみ思いました。

ゲストハウスに戻った後は、各地から来ている宿泊客のみなさんがUNOをやっていたので混ぜてもらい(まるで夏合宿!)、みなさんと乾杯。偶然、同じ「あやこ」という名前で、同じく今回が初1人旅という女性と出会い、お互いの仕事の事や、その方がDJやってるというので音楽の話をして、盛り上がったのでした。

翌朝は早めに起床し、また外宮へ。
これまた偶然なんですが、1500年毎日続けられているという神様に食事を届ける儀式(日別朝夕大御饌祭)に遭遇!といっても壁の隙間から見れただけなのですが、本当にやっているんだって事がわかり感激しました。この地は日本のことを本当に守っているんですね。とてつもなく素敵な場所です。

そのあとはチェックアウトをして名古屋へ移動。
学生時代は名古屋で過ごしたので、思い出巡りをしてきました。
あの頃は、まだドラムもはじめてなかったし、まさか自分がバンドをやるなんて考えてもいなかったので、名古屋の町を歩きながら、人生って不思議なことの連続だな〜と思いました。けっして楽しい事ばかりではなく、振り返ると、どちらかというと、辛い事や悲しい事の方が多いのですが、それもひっくるめて人生が楽しいもんだなぁと、ようやく思えるようになってきました。

はじめての1人旅を終え、ますます1人でも生きていける自信がついたのですが、美味しいものを食べる時は、パートナーや仲間が居た方がより幸せかもしれないな〜と思いました。

また、定期的に一人旅は続けたいな、と思いました。
それはやはり、旅先での一期一会が楽しかったからだと思います。東京でも一期一会はあるのでしょうが、東京だと引きこもってしまうので、、、笑。

では、1人旅日記、長くなりましたがお付き合いいただきありがとうございました。
次回は旅の日記なのか、コラムなのか不明ですが、また本誌で「しなだあやこ」をみかけたら読んでやってください。

どうもありがとうございました。






 しなだあやこ プロフィール



□写真と音楽好きのためのPDFマガジンP+M magazineに写真とコラムで参加しています。
http://onimaga.com/

□音楽活動
Yucca: http://www.yucca-sounds.com/ ※アルバム全曲無料ダウンロード中
conchill: http://www.conchill.com/
mig :http://miggsh25mm.tumblr.com/





(C)2011-2012 Cheer Up! Project All rights reserved.