CHEER UP! COLUMN 「死語を承知でマイ・ブーム」 Watusi (COLDFEET) 遂に2013年の幕が開きました。 様々な事があった2012年、沢山の出来事に沢山の強い思いもありますが、ここは正月らしくポカッ〜とシンプルに心を開いて、昨年のHappyはナンダッタのか探しをしてみました。 昨年は・・・というか実はここ数年激しく火が着いてしまっているマイブームが、青春のリベンジなんです(笑)。 といってもその中身はいたって子供っぽいシンプルな事で、学生時代に買いたくて買いたくて仕方なかったけれど予算の都合で買えなかった、聞いてこなかった当時のアーティスト達のレコードを大人買いすることなんです(勝手に青春のリベンジ買いと呼んでいます/爆笑)。ミュージシャンという仕事柄、様々なジャンルの音楽を一通り聞いているつもりではいますが、それでも特定のジャンルが抜け落ちていたり、興味はあっても他のジャンルを追いかけるのに忙しく、聞き逃したままだったりするものも少なくありません。 そんな事をボーっと考えていたらそうした「あのアーティスト、このアーティスト、このレーベル、あんなジャンルの音楽」を聞かずに死ねるか(笑)って思っちゃったんです。特に、実はリアルタイムで触れてはいながらも、1970年代当時はディスコよりロック!の時代でしたし、その後もソウルは1960年代のサザン・ソウルだぜ!なんていう個人的指向もあり、積極的にアルバム単位までは聞き込んでいなかったフィリーソウルを始めとする、メジャーどころではないNYやイタリアやドイツ始めとするヨーロッパ各国の1970年代から1980年代中頃にかけての、ダンス・クラシックとかディスコ・ブギーと呼ばれているジャンルのレコードを買い集める事にハマっています。 週末になると全国各地を旅するDJ稼業も営んでいますので、「レコード・マップ」という各地のレコ屋さんが載っている本を片手に全国のお店回りも以前から大好きでした。世の中的には遂にその「レコード・マップ」自体も最終号になってしまうくらい、店舗としてのレコ屋さんは少なくなってしまった状況です。お店での出会いや店員さんに新たな情報を教えてもらうなんて最高の楽しみを失う代わりに、今度はインターネットを使って簡単に欲しいレコードを探す事ができるようになりました。それも日本だけでなく世界中からなので・・・情報さえ掴めば大人には自制心を保つのが難しい時代でもあります(笑)。 特に僕が気に入っているのが、ディスコグス(Discogs)という様々なアーティストのディスコグラフィが載っているサイトにリンクしている、ここで売ってますよ情報機能。 欲しいレコードが今、世界各国のどの国のお店でいくらで売っているのかが一望できます。しかも・・・国内中古マーケットに比べると当時のそうしたレコード達もリリース元の国だと安い事安い事。もちろん海外からですので送料と言う落とし穴に目配りしながらなのですが、ずっと探していた中古レコードを、800円なんかで見つけてしまうとアドレナリンは急上昇し、その勢いだけで1,500円の送料も支払って買ってしまっている毎日です(苦笑)。よくどれくらいレコード買ってるんですかとも聞かれるんですが、もぅ言えません(笑)。言える範囲で告白すると昨年は休む事無くほぼ毎日ポチッとやっていました。レコードのトータル枚数は押し入れ含む自宅や仕事場に別れているので明確では無いのですが、2万枚前後になっていると思います。 CDが、音楽が売れなくなったという声が聞こえ始めてから、もう長い時間が過ぎていると思いますが、個人的には音楽ソフトにお金を使う一大ブーム。もちろん理由のひとつにはそんな風潮へのナニクソ的反発心が入っている事も否定出来ませんが、単純に、聞いていず通り過ぎてきた沢山の音楽に対してもっともっと生きている内に1曲でも多くの、知らない名曲達を聞いておきたいと言う衝動が自然に大きくなり、身を任せたという事だと思ってます。そして時を同じくして起こった風営法による全国のクラブ営業に対する突然の取り締まりに対しても、ダンス・クラシックス等と呼ばれるオヤジ音楽を、なんとかもう一度今の場にそぐう見せ方で復活させ、その先に当時目の色を変えディスコに通っていた世代の皆様をも含めたこれからの新しいクラブ遊びを模索してみたい、そんな欲求とも次第にリンクしていきました。 僕らは実は2010年、マイケル・ジャクソンが亡くなった年に全曲彼のカバーというアルバムを作ったのですが、それは実は彼の生前に1年半かけて彼の曲のカバーを作る許諾を取り(マイケル曲のカバーを正式にやるという事は実際には非常に難しく、幸いタイミング的にもちょうど彼の復活という事が追い風になったようです)実現させたものでした。そんな制作の最中に飛び込んで来たのが彼の突然の死。一時は頓挫しかけたプロジェクトでしたがそれでも完成させようと思ったのは、そんなマイケル本人の復活に際して果たしたかった思いや、彼が作って来たダンス・ミュージックの軌跡を僕なりに伝え、少しでも繋げて行けないかという思いからでした。 そうなんです。いつしか「繋げて行く」というキーワードが僕の中で大きく膨らみ、それまでは一番新しいタイプの音楽、これからの音楽にしか目が行っていなかった、僕自身の音楽の聞き方自体もどんどん変わって行きました。同時にそれまでオヤジ臭いと感じるような事も意識して避けて来ていたのですが、逆にリアルタイムで袖触り合って来た懐かしいダンス・クラシックを新しい見せ方ができないかと、まずは自身のブログで毎晩のように紹介しはじめたり、“ETARNAL”というダンス・クラシックのみがプレイされるパーティも催すようにとなってもいきました。 旧知の友人m-floのタカハシ・タクくんが立ち上げたインターネット・ラジオ “block fm” で、しぶや花魁のプロデューサー、ヴィーナス・カワムラユキさんがパーソナリティを努められている番組“shibuya OIRAN warm up Radio”の中でも、今定期的にゲストに呼んで頂きダンス・クラシックの特集をさせて頂いてます。僕の娘のような世代のヴィーナスさんですが、子供の頃からそうした「大人の音楽」に貪欲に生きて来た彼女ともすっかり意気投合し、人気作詞家でもある彼女と今年は二人でダンス・クラシックに関する新しいプロジェクトも始まりそうです。 そして実はこの場をお借りして初めてお伝えする事になりますが、ここ数年書いて来た僕のダンス・クラシックのブログを面白いと思ってくださった出版社からお話を頂き、ブログのように僕の所有するダンス・クラシックのレコードをまとめて紹介するディスク・ガイド本も出版することになりました。今、春以降の発売を目指して急ピッチで書き始めています。 音楽という子供の頃からの最大の趣味を仕事にしてしまった僕は、やはり直接関係なくても音楽にまつわる事柄をマイ・ブームにしてしまうと、やがては仕事と絡んで行く事になるのも必然と言う事なのかもしれません。今年はそうしたここ数年のマイ・ブームも真剣に仕事の舞台に上げ、僕なりに料理していってみようかと思っています。さて、それらは一体どんな味付けがされる事になるのか? 2013年のお楽しみにして頂けたら幸いです。 ディスコグス :http://www.discogs.com/ block fm “shibuya OIRAN warm up Radio” :http://block.fm/sp/program/oiran.html ブログ :http://coldfeet.jugem.jp/ facebook :http://facebook.com/Watusi.COLDFEET ◆Watusi (COLDFEET) プロフィール: Lori FineとのユニットCOLDFEETのプログラマー/ベーシスト/DJ。COLDFFETのユニークな世界観は国内外で評価を受け、UK、US、EU各国から香港、韓国、台湾、タイ等アジア各国でも多くの作品がリリースされている。ソロワークも英Climate Records、米Kriztal Records,ドイツPerfect Toy Records等からリリース。国内では中島美嘉の多くのシングルを始めhiro、安室奈美恵、BoA、Chemistry等を手がけ、アンダーグラウンドとメジャーを繋ぐ多忙なプロデュース・チームとしても活躍。またChristian Dior、Hermes、Cartie等ハイブランド系の海外をも含むパーティへのLiveやゲストDJ、楽曲提供も多く独特のポジションを築いている。Sound & Recording Mgazine等音専誌に連載含む執筆活動も多く、著書「MPCで学ぶリズム打ち込み入門」は数々のDTMソフト書籍部門で売り上げ上位となる。オリジナリティ溢れるHouseテイストの4th Album「BODYPOP」は、アジア5カ国で同時リリースされ、主要ラジオ局でのチャートインを果たす。’07年には5th Album「Feeling Good」をリリース。シングル「I Don’t Like Dancing」は、この年のパーティーアンセムとなり、ソウル、台北、上海等を含む36カ所のツアーは各地で動員記録を樹立。デビュー10周年目となる’08年、コロンビアに移籍し12月にアルバム「TEN」を発売。iTunes Store1位を始め数々のダンスチャートを席巻。'09年11月には生前のマイケル・ジャクソンから許諾を得、進めて来たカバーアルバム「MJ THE TOUR」を発表。豪華な参加ゲストと共に大きな話題となる。現在全国でイベントを開催する傍らCOLDFEET次作アルバムを鋭意制作中! www.coldfeet.net |