今回ご登場頂くのは、the Caraway(キャラウェイ)のシマダオサムさん。 人気バンドSwinging Popsicle(スウィンギング・ポプシクル)のメンバーとしてもお馴染みのシマダさん、キャラウェイではご自身のギター&ヴォーカルをフィーチャーして「ギターポップはいいなあ!」と嬉しくなるようなキラキラした音楽、聴いていてウキウキするような音楽を奏でている。 2006年にブルーバッヂレーベルよりリリースされた1stアルバム『the Caraway』は、何度聴いても楽しい気持ちになれる名盤だ。 今回は、キャラウェイの結成や最近の活動についてシマダさんに詳細に語って頂いた。 そして、シマダさんはどんな音楽ヒストリーを歩んできたのか?についても教えて頂いた。 1stアルバム『the Caraway』を聴きながらぜひじっくりお読み頂きたい。(2016年8月) ---the Caraway(キャラウェイ)は2002年にスタートし、メンバーの変遷を経ていますね。 現在の編成や、サポートメンバーの皆さんについてご紹介をお願い致します。 シマダ:2002年に初期オリジナルメンバーのシマダ、フカツ、ミユキでバンドを始めました。 色々な理由で2013年くらいに活動できるメンバーが僕ひとりになりまして・・・。 このまま活動をフェードアウトしちゃおうかな・・・と思ってたら、現在のベースのサポートで参加されてるtenちゃんが声をかけてくださいまして。 「よかったらベース弾きますよ!」と言ってくださって、じゃあ、もう一度バンド編成でやってみよう!と思い、他のパートの方々に声をかけて、再びバンド形態が実現できたわけです。 ベースのtenちゃんは、僕が並行してやってるバンドSwinging Popsicle(以下、ポプシ)などを見に来てた方で、いわば"お客さん"だった方です。 ある時、ご自身で「以前はバンドでベースをやってました」と、僕にこっそり言ってきまして。 「じゃあお願いします!」という風に決まりました。 デカパンチョというバンドで、初期はアンダーフラワーのコンピに参加したりしてました。 僕は憧れのレーベルだったので、すごくテンション上がりました。 で、音源を聴かせてもらったら、ビートルズみたいで、ロックなんだけどすごく曲が親しみやすくて好きになりました。最近では、トミカのプラレールのテーマ曲を制作されたりしてます。 ドラムのサポートの高口さんは、the Sweet Onionsのメンバーで、そのバンドでは主にドラムや鍵盤を担当してます。 バックボーンがクラッシックで、楽器をなんでもこなすマルチプレーヤーです。 最近では、小林しのさんの音楽プロデューサーとして活動されてます。 ギターとキーボードのサポートの及川さんは、僕がギターを手伝ってるhumming parlourというバンドで知り合いました。 彼はベーシストなのですが、彼もまた楽器をなんでもこなすマルチプレーヤーで、キャラウェイではギター&キーボードがいなかったので、思い切ってお願いしました。 因みにtenちゃんも、小林しのさんのバンドでキーボードをサポートしてます。 自分のメイン楽器に拘らず、マルチに活動されてる方々が周りにすごく多いですね。 ---シマダさんがメンバーのバンド、Swinging Popsicleは1995年結成、1997年メジャーデビューとのこと。 1999年頃には多くの音楽番組に出演されています。Swinging Popsicleでご多忙な中で、キャラウェイを始めた経緯やきっかけなど教えて頂けますか。 シマダ:2001年頃からポプシの活動が、メジャーからインディペンデントな活動へと変化していきました。 それに伴い、ポプシとはまた違った、もっとパーソナルな自分のやりたい音楽・・・それを追求したいという思いが強くなり、旧友のフカツ君を誘うことになりました。 ビターチェリージャムという、友達がやってるインディーバンドがあるのですが、当時フカツ君と僕でベースとドラムを手伝っていました。2002年くらいでしょうか。 その時にフカツ君にまたバンドをやろう、ともちかけました。 それがキャラウェイ結成のきっかけです。 以前にフカツ君とはデイジーと名乗ったアマチュアバンドで一時期、一緒に活動しておりました。 ポプシを結成する以前に組んでたバンドで、フカツ君がベース、シマダはギター&ボーカル。 現在のキャラウェイの曲のレパートリーの大半はこのバンドですでに演奏してましたね。 そして新たに、予てから親交のあったミユキさんをキーボードに誘い、サポートのドラマーを迎えて2003年からライブ活動を始めました。 ---キャラウェイの音楽は本当にキラキラしていて、これぞギターポップ!と嬉しくなるような躍動感が魅力と感じています。 曲作りはどんな風に行っていますか? シマダ:ありがとうございます。そうおっしゃってくださると、とても嬉しいです! 1stアルバムの大半の曲は、20代前半に作ったものです。 もう20年ほど前です・・・。 そう考えると今だにライブで演奏してるっていうのは凄いなと、ふと思う時がありますね。 ある意味、初期衝動というか、手探りで作ってましたが、自分が普段聴く音楽と並べて、遜色がないように意識して曲を作ってました。 今はパソコンで作ってますが、当時は4トラックのカセットレコーダーに音を重ねていって、デモを作ってました。 ドラムマシンやシンセサイザーなどの機材を揃えてそれを打ち込んだり、ギター、ボーカル、ベースなどを1人で演奏して録音してました。 すごく楽しくて毎日夢中でやってましたね。 録音してる時が一番ワクワクして楽しいです。 今も作り方はあまり変わってないのですが、最初は歌とギターの弾き語りでベーシックを決めて、それに他の楽器を重ねていく感じです。 英語がほとんど出来ないので、歌詞は辞書を見たり、英語のテキストなどを参考にして書きました。 でも昔から英語を喋ったり、歌ったりするのだけはなぜかすごく好きでした。 カセットのデモテープの表紙やインデックスも他の雑誌から切り貼りしたフォントで作ったりしてました。 人様に聴かせられるような感じになったら、色んな人にデモテープを配りました。 バンドや音楽をやってる人から褒められたりすると、すごく嬉しかったですね。 この頃作った曲が、初期のポプシやキャラウェイのレパートリーに繋がっていくわけです。 デモテープのままだった曲をちゃんと生ドラムも入れて、CDのクオリティで形にしたいという思いも、キャラウェイをやるきっかけになったのかもしれません。 1stアルバム『the Caraway』(2006年/bluebadge label) ---1stアルバムでは全曲英語詞ですが、日本語詞の曲もレパートリーにはあるのですか? シマダ:日本語詞のオリジナル曲はないのですが、過去に、河合奈保子の「スマイル・フォー・ミー」、カジヒデキの「La boom〜だってマイ・ブーム・イズ・ミー〜」をカバーしたことがあります。 ---キャラウェイという名前は響きがとてもいいですよね。 どなたが名付けたのですか?由来を教えて頂けますか? シマダ:旧友のビターチェリージャムのミキちゃんが名付けてくれました。 香辛料の名前なのですが、「人を惹きつける」という意味もあるそうです。 ポプシ(Swinging Popsicle)は僕が名付けたので、今度は他の人に付けてほしくて、深くは考えずにミキちゃんのアイデアを受け入れました。 ポプシが長いので、簡潔な名前で気に入ってます。 ---最近は、イベント「ギターポップレストラン」を中心に出演されていますね。 日本のギターポップシーンについて思うこと、最近変わってきたなぁとか、こんなところが面白いとか、お感じになることを教えて頂きたいです。 シマダ:ありがたいことに、ギターポップレストランはイベント初期からお誘いいただいてまして、すっかりホームな感じがします。 主催のナカムラさんは渋谷系と呼ばれる90年代の音楽にすごく影響されてて造詣も深いです。 最近のギターポップ系のイベントは、ゲーム音楽やアニメの影響を受けたいわゆる"アキシブ系"の音楽を意識したイベントが多くなったような気がしますね。 そこが昔のインディーズとは違うところだと思います。 アニメっていう要素はまったくなかった。 僕が昔好きだったインディーレーベルのアンダーフラワーは、洋楽のインディーズの感覚で日本のバンドを聴けたっていうのはありますね。 当時すごく憧れて、レーベルのイベントによく行ってました。 ---Swinging Popsicleとthe Caraway、シマダさんにとってそれぞれどんな存在なのでしょう。 シマダ:ポプシもキャラウェイも、僕にとってとても大切な表現の場です。 それぞれが相互作用してると思います。 ポプシで得た人脈、ライブやレコーディングの経験をキャラウェイで生かしてると思うし、ポプシの世界観で表現できない部分をキャラウェイでやってるところもあります。 逆にキャラウェイで刺激を受けた曲の着想をポプシで生かす場合もあります。 時系列でいうと、実はキャラウェイの曲が一番古いんです。 初期ポプシのライブのレパートリーにはキャラウェイの曲がたくさん入ってたりしました。 ---ここからはシマダさんの音楽ヒストリーをお聞かせ下さい。 小さい頃、どんな音楽の記憶がありますか? シマダ:子どもの頃、たしかポンキッキだったと思うんですが、ビートルズが流れてたのを覚えてます。「Please please me」や「When I'm sixty four」が流れてて。もちろんその時は何の曲かは、分からなかったのですが・・・。 それが音楽の原体験だったのかもしれません。 あと父親が多趣味の人で、バイクいじり、カメラ、アイドルなどの音楽が好きでした。 それから昔はでっかいコンポがあったので、そこから漏れてくる音楽を聴いて育ちましたね。 松田聖子や岡田奈々とか。 それからコニーフランシス、ニールセダカ、ポールモーリアからYMOまで、節操なく聴いてました。 今の自分も洋邦、古今東西問わず聴いてるのは、きっと父親の影響が大きいと思います。 両親が自宅で理髪店をやってましたので、ずっと親が家にいる感じでした。 ---学生時代はどんな音楽を聴いてらっしゃいましたか? 楽器や歌などはいつから始めたのでしょうか? シマダ:小学校6年生からラジオを聴き始めて、中学に上がったときにはエアチェックに夢中になってましたね。 昔はネットやケータイがない時代なので、テレビやラジオが情報源でした。 特にMTV、ベストヒットUSA、セーラのポップスベストテン、メタル番組のピュアロックは特に熱心に見てました。 中学の頃は洋楽ばっかり。We are the worldに出てくるような人たちばかり聴いてました。 中3くらいになってくると、次第にもっと激しい音楽を聴きたくなっていくんです。ハードロック、へビーメタルにのめり込んだ時期もありました。 中学の卒業の時期に在校生と卒業間際の生徒で親睦会が体育館であって。 落語をやる生徒がいたり、バンド演奏をする生徒がいたり、すごく楽しかったんです。 で、その同級生が組んだバンドにすごく影響されて、高校行ったら絶対バンドやる!と決心したんです。 ちなみにそのバンドはブライアンアダムスのカバーとかしてました。 今思うと、中学生にしては渋かったなぁと思います(笑)。 歌や楽器は高校以降ですね。 ---高校時代はどのような音楽活動をされていたのですか? シマダ:高校3年間は軽音楽部に所属して、3年間ドラムをやってました。 でも家ではバイトして買ったエレキギターを弾いたり・・・。 ほんとはギターがやりたかったんですが、ドラムを誰もやりたがらなくて、僕が引き受けることにしたんです。 1年生の頃はレインボーやボンジョビ、モトリークルーやハノイロックスなどのハードロック。 次第にメンバーの影響で、ラモーンズ、ピストルズ、ダムドなどのパンク色が強くなっていきましたね。 学園祭でライブをやったり、先輩のバンドについていって、新宿ジャムや新宿ヘッドパワーでライブをやってました。 ---オリジナル曲を作るようになったのはいつ頃からですか? シマダ:高校の時は楽器に夢中でしたし、聴く音楽がハードロックやパンクだったので、歌うことはまったく意識したことはなかったんです。 高校を卒業して専門学校に入ったら、友達や環境の変化のせいか、一気に聴く音楽が変わってしまいました。 同級生のBOOWYのコピーバンドをドラムで手伝いつつ、ビートルズや日本のフォークソングやニューミュージックのコードブックを買ってきて、家でアコギを弾き語るのが日課になっていきました。 同時にUKではマンチェスターブームの頃だったので、ストーンローゼズやシャーラタンズを聴くようになり、愛読書がバーンやヤングギターから、ロッキンオンやクロスビートに変わりました。 同時にテレビでやってた深夜番組のビートUKに当時すごく感化されてたような気がします。 その感覚は今でも脈々と自分の中にあります。 UKものに触発されて、最初はカセットMTRでオリジナルのインスト曲を作ってました。で、弾き語りの流れで、それに歌をつけてみようと思ったのが、作曲の始まりだと思います。19,20歳頃だったような・・・。 ---1994年にはバンド「デイジー」を結成。当時のエピソードを教えて頂けますか? シマダ:1994年以前に音楽雑誌のメンバー募集で複数の人と頻繁に連絡を取ったりしてました。 デイジーはそんな中、集まったメンバーでした。 20代前半には自作のオリジナル曲が溜まってて、これをやるバンドを密かに企んでました。 キャラウェイの前メンバーのベースのフカツくんはこの時からいました。「シマダの曲はポップなのに、たまに変なコードが入るのがすごく良いよね〜」と言ってくれて、すごく嬉しかったです。僕の曲の良き理解者でした。 当時の編成は、ドラムの人、フカツくんのベース、ギターボーカル(自分)、キーボードの女の子、という感じでした。 最初で最後のライブを一回だけ新宿ロフトの昼の部でやったのですが、その当時のライブハウスの担当の方が今のポプシのベースの平田氏です。 ポプシのボーカルの藤島さんと出会ったばかりで平田くんを紹介してもらったんだと思います。 デイジーではキャラウェイの曲をやってたんですが、当時僕がそのバンドにしっくりこなくて、フェードアウトしたんだと思います。 そしていくつか違うバンド活動があってから、ポプシの本格的な活動に入っていきました。 フカツくんとはポプシ活動中も、音楽友達として連絡を取り合ってて、いつかまた一緒にやりたいなぁーとずっと思ってて、2002年のキャラウェイの結成に繋がるわけです。 ---このWEBマガジン恒例の質問です。 シマダさんにとってのCheer Up!ミュージックを教えて頂けますか? シマダ:たくさんありますが、エブリタイムベストな感じでは、 ・The Boo Radleys/Find the answer within ・Super chunk/Art class ・Louis Philipe/You mary you ・Swan dive/Groovy Tuesday あたりですね。 聴くとすごく元気になるのはもちろん、多幸感に包まれてなんとも幸せな気持ちになれる曲です。 ---キャラウェイの今後の予定や展望を教えて下さい。 シマダ:子育てや他の音楽活動などがあって、なかなか制作が進まないのですが、次のフルアルバムは8割以上出来つつありますので、それをなんとか形にするのが一番の目標ですね。 あと、その未発表の新曲をライブイベントでどんどんやっていきたいです。 現在のメンバーはなんでも楽器をこなすマルチプレーヤーが多いので、ライブでの表現も面白くなりそうです。このバンドでのステージをぜひチェックしてほしいですね。 ---今回はありがとうございました! Swinging Popsicleとthe Carawayでのシマダさんのますますのご活躍を応援しております。 【編集後記】 Swinging Popsicleについては、様々な音楽雑誌や「ポプシクリップ」でインタビュー記事を読む機会が多いですが、キャラウェイについて一度シマダさんにじっくりインタビューさせて頂きたい!とかねがね思っていました。 今回は念願叶って、キャラウェイそしてシマダさんのヒストリーを伺えて、この特集もますます内容が濃くなったと思います。2ndアルバムが本当に待ち遠しいです。 ◆the Caraway プロフィール: Swinging Popsicle(スウィンギング・ポプシクル)のメンバー、シマダオサム(Vo&Gt)によるユニット。 2002年結成。2006年ブルーバッヂレーベルより1stアルバム『the Caraway』をリリースし好評を博す。 ギターポップ関連コンピレーションにも積極的に参加している。2008年コンピアルバム「渋谷系インディーポップ・コレクション Vol.1 V.A. headstart for happiness」に「sunny side up」で参加。2010年配信コンピ、「Tokyo Auto-Reverse〜ネオ渋谷系×80's」に河合奈保子「スマイルフォーミー」のカバーで参加。2012年コンピアルバム『渋谷系リスペクト』に、カジヒデキのカバー「ラ・ブーム 〜だってMy boom is me〜」で参加。 メンバーの変遷を経て、現在はシマダ(Vo&Gt)、サポートメンバーのten(B)、高口大輔(Dr/the Sweet Onions)、及川雅仁(Gt&Key)といった編成でライブを行っている。 現在、待望の2ndアルバム鋭意制作中。 the Caraway Official Web Site http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Keyboard/8246/ |