今回は名古屋で結成されたバンド、HUSHにご登場頂いた。 メンバーは、近藤知広さん(Ba&Cho)、小出雄司さん(Gt&Vo)、岩月貴幸さん(Dr&Cho)、山崎晃浩さん(Gt&Cho)の4人。皆さん就職してから本格的に活動を展開しているという。 彼らのキャッチ―な曲「Woo-Wah」は台湾いすずのCM曲として使われ、耳にしたことのある方もいるのではないだろうか。 6/29に2nd EP「When You Smile EP」をリリースするHUSHについて、Vocalの小出雄司さんに詳しく伺った。 また、いくつかの質問についてはメンバー全員に回答頂いた。(2016年6月) ---HUSHの結成は2009年だそうですね。 結成のきっかけや、現メンバーの皆さんの出会いについて教えて下さい。 小出:僕が高校生の時にギターで曲を作るようになって、大学に入ってからしばらくしてから地元の同級生とバンドを組みました。 ライブをやるためにドラムを探そうとSNSで検索して、連絡を取ったのが今のドラムの岩月君です。 みんなすごくヘタクソでしたが、最初にスタジオで自分たちの曲がリズムに乗った瞬間は興奮しましたね。 その後すぐに地元の同級生は抜けることになってしまうのですが、別の同級生の紹介でベースの近藤君が加入することになりました。 ちょうどその頃、岩月君は既に働いていましたが、僕と近藤君は就職を控えていて、楽しいバンド活動の瀬戸際を迎えまして・・・。 今振り返ると「このまま終わりたくない」っていう気持ちがあったと思うのですが、「働きながら定期的にライブを続けていくの、どうかな?」と近藤君に聞いた時に「やろう!」と即答してくれたのを覚えています。 ---就職したら忙しくなるでしょうし、皆さんいろいろ迷う気持ちもあったのかな?と思いますが、その後はどのように活動をしていかれたのですか? 小出:就職してからも、定期的に月1か2のペースでライブをやるようになりました。普通は逆ですよね(笑)。 ただステージ上で演奏するという経験値を得るために、特に戦略も考えず、ガムシャラに活動していた時期です。 そのうちに曲がラジオ局でオンエアされるようになって。 もっと幅を広げるためにメンバー募集したところ、連絡をくれたのが山崎君でした。 彼は当初「歌は自信ない」と言ってましたが、今では率先してコーラスをしてくれるようになりました(笑)。 それがいつしかバンドのカラーのひとつになって、少しずつ認知され始めたのがちょうど2009年になります。 僕がバンドを組むという夢を志してから、岩月君が入ってようやくバンドが形になって、近藤君が入ってきちんと活動ができるようになり、山崎君が入って音楽の方向性が定まってきたと感じています。 ---HUSHというバンド名は短くてインパクトありますよね。由来について教えて頂けますか? 小出:Deep PurpleやKula Shakerもカバーしてる「HUSH」という曲名から拝借しました。 後から知りましたが、「静かにさせる」とか「内緒にする」という意味があるらしいです。 曲が好きだっただけで、ぶっちゃけ名前に特に強い思い入れはないのですが(笑)。 キャッチーだけど、ちょっと貧弱なところが自分たちらしいのかなと思うようになりました。 そういえばPULPとかBLURとかブリットポップのバンドの名前と並べてもあまり違和感ないですね。 ---HUSHのロゴもインパクトがあって、HUSHの音楽にもピッタリですね。 デザインはメンバーの方が手掛けたのですか? 小出:山崎君と電話で「バンドのロゴが必要だよね」って話をしてて、myspaceでMGMTというバンドのページを見たら、数あるロゴの中に唇に"MGMT"と書いてあるロゴがあって。 HUSHというバンド名の意味にも繋がるし、これを使おうじゃないかということで山崎君がチャッチャッと仕上げて。 それをしばらく使っていたのですが、マイナーチェンジを繰り返して、現在使用しているものが3代目です。 今回はジャケットを担当してるデザイナーにお願いしました。ちょっとサイケデリック仕様なところも気に入っています。 ---メンバーのお人柄について、相互紹介をお願い出来ますか? 小出: →近藤 名古屋で唯一のソフトロッカー →岩月 がんばるドラムパパ →山崎 黄色いジミヘン(最近サボり気味) 近藤: →小出 しっかりしている部分とだらしない部分を両方持ってる →岩月 比較的しっかりしてる →山崎 しっかりしてるかもしれないけれどマイペース過ぎてそうは見えない 岩月: →小出 ネットの申し子 →近藤 ムードメーカー →山崎 ジミヘンの生まれ変わり 山崎: →小出 デーモンアルバーン →近藤 ブライアンウィルソン →岩月 ジョンボーナム ---HUSHの「Woo-Wah」は台湾いすずのCM曲として使われたとのこと。とてもキャッチ―で耳に残る曲ですよね。 台湾いすずCMのお話が来た経緯など教えて下さい。 小出:レコーディングをしたらSoundcloudに曲をアップするというのを繰り返してたんですけど、ある日、「どこかの会社と契約してますか?」と書き込みがあって、「いいえ」と答えると、メッセージが来るようになって、それが台湾の広告代理店の方からでした。 僕等ももちろん初めてのことだったし、英語で契約の話をされてもちんぷんかんぷんなので、思い切って「日本語で連絡できますか?」と訊ねたところ、ちゃんと翻訳者を通じて返信が来るようになって。 ---突然のお話だったんですね! 小出:それでも半年くらいはゆっくり話し合いを続けてから、数曲をその代理店に預けることにしました。 それから3か月くらい経った後にいきなり「good news」という件名でメールが来まして(笑)。 本文には「Woo-Wah」が使われてる台湾のいすずのCMのyoutubeのURLが貼られていて、かなり驚きました。 「これは本物のCMなのか?」とか「曲と映像はちゃんと合ってるのか?」とかいらない心配して、何度も見直しましたよ(笑)。 このCMは台湾でしかオンエアされないので、全然実感が湧かなかったのですが、報告した周りの知り合いの驚きの反応と、メンバーの知人が台湾でこのCMを見たっていう話を聞いたりして、少しずつ。 でもやっぱり一番はギャラが発生したというのが大きかったです。 趣味の延長線上で活動を続けていたとはいえ、僕等もそろそろ「第三者に商品価値があると認められたい」という欲が出てまして。 とはいえ、うまくいかない状況をのらりくらり過ごしてた時期だったので、CMの件は僕に自信を与えてくれて、意識を変えてくれました。 お金儲けをするつもりは全然ないけど、せっかく続けてるんだから、少しでもお金が発生したらこんな幸せなことはないよねって。 ---お気持ち、よく分かります。 小出:同時期にTOWER RECORDS主催のオムニバスCDに参加したり、流通会社の方と連絡が取れるようになったりして、目標でもあり、ある意味では発表のタイミングを探っていたともいえる中で、ようやく流通盤「About A Fever EP」を昨年リリースできました。 まだ台湾に行ったことはないですが、僕等を見つけてくれた代理店の女性には本当に感謝してます。 いつか会ってみたいです。 ---曲作りは主に小出さんがなさっているのですか? セルフライナーを読むと、アレンジは皆さんでなさっているようですが、曲作りについてやり方を教えて頂けたらと思います。 小出:基本的には僕が歌詞、メロディ、尺や構成等を用意しています。 それでまず宅録デモを作って、各々のPCに送って、各担当がアレンジを考えたり、新たな案を出してもらったりという感じです。 バンドの中には「0を1にする人」と「1を10にする人」というのがそれぞれ必要だという話題が出るのですが、HUSHの場合は前者が僕であれば、後者は近藤君になると思います。 僕がイメージするものを近藤君が具現化していく作業が、バンド内での曲作りと言えるんじゃないかなと。 もちろん他の二人も貢献していて、岩月君は日に日にドラムの腕を上達させているし、山崎君はとても慎重ですが、納得させてくれるフレーズを用意してくれる印象があります。 曲作りの時が、それぞれの役割が一番はっきりと出る瞬間じゃないかなと思います。 ---英語詞と日本語詞の両方の曲を作っていらっしゃいますが、そのあたりのお考えについて教えて頂けますか。 小出:まず僕は日本人だからっていう理由でもないですが、なるべく日本語で曲を書きたいとは思っています。 日本のバンドが英語で歌うことに関して、実はそんなに寛容ではないのです(笑)。 ただ、やはり譜割の問題で、日本語を乗せるとどうしても陳腐になってしまう曲に関しては英語にしています。 母国語ではないし、ボキャブラリーや発音の問題もあるので、あくまでシンプルな語感性で成立させることを心がけています。 たまに海外志向とかグローバルだとか茶化されることもありますが、それは一切考えたことはありません。 個人的にはあくまでも日本人向けに「あぁ英語で歌ってるんだな」と認識させるだけの言語だと割り切っています。 だからか海外の人に「Great!」的なコメントをもらうと、意外にも伝わってるんだなと思って嬉しくはなります(笑)。 ---6/29に、2nd EP「When You Smile EP」が全国TOWER RECORDS限定&Amazonで発売されるそうですね。 聴かせて頂きましたが、小出さんの素直な感じで温かみのあるVocal、明るく元気で時にはナイーブなポップス、心地良い曲ばかりですね。 小出:ありがとうございます。 雑な言い方をすれば、前作はバンドのスケジュールに合わせた"寄せ集め"的な内容になっていまして。 初の流通盤ということで、準備が足らない部分もあり、最善の状態でのリリースではなかったかもしれないです。 その前作の反省を生かして、次作も早くリリースしたいなと考えていました。 今ならCDを流通させてるバンドってたくさんいると思うんですけど、結果的に記念碑的にアルバム1枚ってパターンも非常に多くて。 僕等はその中から脱したいという想いと、シングル盤なので定期的にリリースを重ねてバンド活動を活気づけたかった。 それにやっぱりタワレコに常に在庫保持してもらえるようなバンドになりたいっていう野望もあります。 ---ミニアルバムの4曲、どんな想いが込められているのか教えて頂きたいです。 小出:今作はまずバンドの代表曲でもある「When You Smile」を盤として残したい気持ちが強かったです。 この曲は僕の曲作りをするうえでも、バンドの方向性としても、ひとつの指針になった気がしています。 「18 -eighteen-」では同じく名古屋で活動するCRUNCHの堀田さんをゲストボーカルに迎えました。 下手すれば聞き流されてしまいそうな淡々とした進行ですが、それも思惑通りで素敵な曲になって嬉しいです。 「Ellie My Love」は僕等が割と得意とするナンチャッテ英語の3分間ポップスなのですが、「シングル候補にしても良いんじゃないか」と話が出るくらいキャッチーな曲に仕上がっています。 「Woo-Wah (House Of Tapes Remix)」のリミックスを担当してくれたHouse Of Tapes氏は古くからの仲でもあり、一緒に何かできたらと考えていたので、実現することができて本当に音楽続けてよかったと思ってます。 原曲は先述の通り、台湾のCMで使われている楽曲で、僕等の曲の中でも恐らく最も有名です(笑)。 興味を持ってくれた方がいたら、ぜひ前作「About A Fever EP」に収録されてるので聴いて欲しいですね。 ---ここからは、メンバーの皆さんお一人お一人に伺わせて下さい。 このWEBマガジン恒例の質問ですが、皆さんそれぞれにとってのCheer Up!ミュージックを教えて頂けますか? 元気が出るとか、気合いが入る、落ち込んだ時に聴きたいなど、解釈は自由にお願いします。 小出: T.Rex - Metal Guru Mott The Hoople - The Golden Age Of Rock n' Roll Hedwig and the Angry Inch - Wig in a Box 近藤: Curtis Mayfield - Move On Up 岩月: The Beatles - Drive My Car B'z - Ultra Soul 山崎: The Rolling Stones - Gimme Shelter ---HUSHというバンドの音楽性を作ってきたのはどういう音楽なのかな?と興味を持っております。 皆さんが影響を受けた音楽についても教えて頂けますか? 小出:自分の好きな音楽からHUSHに還元しようとしてる・参考にしてるバンドはこんな感じですかね。 The Beatles、The Velvet Underground、The Byrds、The Hollies、The Beach Boys、 The Ronettes、The Ramones、Jesus And Marychain、Primal Scream、The Stone Roses、 Teenage Fanclub、The Pains Of Being Pure At Heart、フリッパーズギター、スーパーカー、大瀧詠一 近藤:60年代のロック、ポップスとそれに影響を受けたであろう80年代後半から90年代前半のインディーロック。 そしてそれらを踏襲して鳴らされる、わりかしピュアでジャングリーな10年代的インディーポップス。 を意識してるので根本はやっぱりビードルズ。 岩月:何気にIron Maidenなんかも参考にしてたり(笑)。 山崎:ウィーアーティーンエイジファンクラブ! ---今後の展望や夢について教えて下さい。 小出:とにかく続けることを最優先にしていきたい。 曲自体が僕たちよりも有名になって、日常に溶け込んでくれたら嬉しい。 近藤:素敵な音楽を作って、素敵な女性に素敵な音楽を作る人だと思われたい。勘違いでも良いから。 岩月:バンドとしてはもちろん有名になる。だが、ドラマーとしても何かしら残したい! 山崎:お金持ちになりたい。 ---HUSHの皆さんのこれからをますます応援しております。 今回はご登場頂き、どうもありがとうございました。 【編集後記】 メンバーがお互いを信頼し合い高め合いながら音楽活動を続けている様子が伝わってくるインタビューとなりました。 心躍る曲を作りだすHUSHの皆さんの音楽をもっと聴きたいですし、ますますパワフルに活躍してほしいな!と思います。 When You Smile EP/HUSH 1.When You Smile 2.18 -eighteen- 3.Ellie My Love 4.Woo-Wah (House Of Tapes Remix) 発売日:2016.6.29 品番:sxne-006 価格:1,000円(税抜) 【現在取り扱い店舗】 全国TOWER RECORDS限定+Amazon販売 ◆HUSH プロフィール HUSHは名古屋で結成されたロックバンド。 ZIP-FMで曲がオンエアされたことをきっかけに、定期的に音源制作を開始させる。 積極的に自主企画ライブを行い、2012年にはレーベル「69 records」を設立。 以後i-tunesを中心にデジタルリリースを重ねる。同年「SAKAE SPRING 2012」に参加。 2014年に「Dear Tracy Remix EP」をライブ会場&店舗限定でリリース。 Soundcloudにアップしていた楽曲が台湾の広告代理店のディレクターの目に留まり、台湾いすずのCMで「Woo-Wah」が抜擢される(2016年秋頃までオンエア予定)。TOWER RECORDS×nothingman企画のオムニバスCD「circle of life」に参加。 2015年には初の流通盤となる「About A Fever EP」をリリース。名古屋TOWER RECORDS近鉄パッセ店でインストアライブを行う。 海外バンドとの共演を経て、2016年6月に2nd EP「When You Smile EP」をリリース。 アメリカンポップスを彷彿とさせる暖かみのあるメロディにノイジーな90年代オルタナティヴを経由した、どこかノスタルジックなサウンドが特徴的。 音楽好きが愛する幅広い音楽性から、独自の飾り気のないストレートなポップスに昇華。 ローファイでアンニュイな楽曲は昨今の海外インディともシンクロする。 HUSH Official Web http://hushjp.jimdo.com/ https://twitter.com/HUSH_JP https://www.facebook.com/hushushjp/ ♪最新Live インフォメーション 2016年6月11日(土)@岡崎CAM HALL 2016年7月15日(金)@大阪Fireloop 2016年7月24日(日)@TOWER RECORDS近鉄パッセ店 2016年7月18日(月祝)@鶴舞DAYTRIP & 鶴舞KD JAPON[NAGOYA SHOEGAZER EXPO] 2016年8月7日(日)@浜松Force |