今回ご登場下さったのは、1999年にソロユニット"パトラッシュ"を開始して以来、心弾む楽曲、優しく温かい歌声で高い人気を誇る諏訪好洋さん。
英語の詞で歌われる疾走感あふれる楽曲、「雪のひとひら」をはじめとするストレートに諏訪さんの気持ちが伝わってくるような日本語詞による楽曲、そのどちらも素晴らしくて音楽には人の心を癒す力があるんだなあと実感させられる。
今回は諏訪さんの音楽性はどのように作られたのか?について迫ってみた。
ぜひインタビューを読みながら、SoundCloudでパトラッシュの音楽に触れてみて頂ければと思う。(2016年4月)




---パトラッシュを始めたきっかけを教えて下さい。
「フランダースの犬」からユニット名を名付けたそうですね。印象に残る名前だなあと思うのですが、名付けた経緯についても教えて頂けますか?




諏訪:パトラッシュを始める前は専門学校でバンドを組んでいました。
曲は僕のオリジナルで、Oasisやblurなどのブリットポップに影響を受けた感じのサウンドでした。

専門学校の講師をされていたミュージシャンの方に音楽事務所を紹介していただき、ちょっとだけ所属する運びとなり、それに伴ってソロアーティスト名を考えようということになって、ぱっと思いついたのが「フランダースの犬」のパトラッシュでした。
かっこいい名前というよりは愛嬌のある感じの名前にしたかったのと、パトラッシュという音の明るくて元気な響きが気に入りました。

その後所属事務所を離れ、2000年にインディーズレーベルからファーストミニアルバムを発表させていただきました。



『Where are little memories had gone?』





---2013年から同郷出身のシンガー&ギタリストのACKY LONDONさんとライブをするようになったそうですね。


諏訪:ACKY LONDON君とは高校生の頃知り合いました。
別々の高校だったのですが、共通の友人を通してお互いのオリジナル曲を録音したカセットテープを聴いたというのが始まりでした。
お互い上京してそれぞれ別々で音楽活動をしていていました。
僕が活動を再開しようと思っていた時に彼に連絡を取って、いろいろ手伝ってもらったりしてるうち、二人でライブをするようになりました。



---最近のパトラッシュの活動状況についてはどのような感じですか?


諏訪:現在はソロに戻って活動していますが、活動といっても、新曲を作ったらsoundcloudで発表するというくらいで、ライブもしばらくやっていません。
今後は、アルバムみたいなものが作れたらいいなぁと思っています。思い出に…。



---パトラッシュはあったかく明るいメロディを持つ楽曲が特徴と感じています。
英語詞と日本語詞の両方を作っていらっしゃいますが、そのあたりのお考えについて教えて頂けますか。



諏訪:ありがとうございます。
同じ音楽の趣味を持った方にもアピールしたい。でも、幅広い層に届けられる歌も作りたい。またサウンドにこだわりたいという部分と、シンガーとして歌でいろいろな想いを表現したいという部分など、自分の中で一人何役もの想いがあり、それらのバランスを取りながら曲を作っているうち、そのような感じになりました。

英語は歌えたらかっこいい、でも日本語のほうが気持ちが乗る、みたいなのがあります。



---諏訪さんは日本のギターポップ/ネオアコシーンに身を置いて、変遷をどのようにお感じになってきたでしょうか?


諏訪:シーンに身を置いたというほど大きく関与はできなかったのですが、大好きなシーンとして見てきた感覚で僕なりに思うのは、80年代後期くらいから始まって現在まで流れが続いているというのはあらためてすごい事だと思います。

ネオアコに関しては、本場もののネオアコと渋谷系的なネオアコとで微妙に違っていて、インドのカレーと日本のカレーはちがうみたいなのに似てて面白いです。







---ここからは諏訪さんの音楽ヒストリーについてお伺いします。
小さい頃は、どんな音楽が好きでしたか?また、楽器はいつ頃から始めたのでしょう?



諏訪:小学生の頃、誕生日に兄がBOØWYの「GIGS」というアルバムのCDをくれました。
初めて自分で買ったのはPERSONZのCDでした。

楽器は中学一年生の頃に、姉が持っていたエレキギターを借りて、兄にコードを教えてもらい、JUN SKY WALKER(S)の「声がなくなるまで」という曲を歌いながら弾く、というのが記念すべき第一歩でした。
他にもユニコーンやレピッシュ、THE BOOMなど、兄弟の影響で音楽を聴いていました。



---歌うことが好きになったのはいつ頃ですか?


諏訪:歌うことや音楽に興味を持つようになったきっかけは間違いなくカラオケです。
小学生の高学年の頃に友達とゲームセンターに行き、ゲームセンターの中にあったカラオケボックス(当時は電話ボックスみたいなガラス張りの小部屋みたいになっているやつでした)でみんなで歌ったりした時に、みんなより自分は歌がイケてる気がし、ふつふつと自信がわいてきました。



---諏訪さんの歌の原点がゲーセンのカラオケだったとは意外です!
バンド活動はされていたのですか?



諏訪:中学生の頃、友達とバンドを作ろうという計画もしましたが実現せず、代わりに自分たちをモデルにしたバンドが成長していくさまを描いた漫画を作り、漫画の中でバンドを組むという夢を実現させてました。

高校生になってやっとバンドを組みました。BOØWYのコピーバンドで、ボーカルをやっていて、文化祭に出たりしていました。部活も軽音部でした。
BOØWYのほかにもユニコーンや、僕のオリジナル曲などもやっていました。
ほかにJUDY AND MARYのコピーバンドではギターを弾いていました。



---その漫画読んでみたいですね。学生時代はどんな音楽を聴いていましたか?


諏訪:その頃好きだった音楽は、コーネリアスや小沢健二さんやスピッツ。
「前略小沢健二様」という本にフリッパーズ・ギターの元ネタが載っているのを見て、ネオ・アコースティックと呼ばれる音楽を集め始めました。
当時ファッション雑誌なんかにも特集されていた渋谷系や、スウェーディッシュ・ポップ、ブリットポップなんかも聴くようになりました。
友達の間ではメロコアとかアシッドジャズ、レゲエとかが流行っていたので、そういうのも好きでした。
また、姉の影響でビートルズやカーペンターズなどの古い音楽も聴いていました。



---曲作りはいつ頃から始めたのですか?


諏訪:高校生の頃に4トラックMTRという機材を買い、デモテープを作るようになりました。
それはもう、バンドとはまたひとあじ違う、創造する感動がありました。
姉が持っていたキーボードに、シーケンサーという打ち込み機能がついていて、打ち込みやアレンジを独学で覚えていったのが、現在の音楽制作スタイルにもつながっています。

音楽は習ったことはありませんでしたが、姉や兄が音楽が好きで、家にギターがあったりドラムセットがあったりしたので、わりと音楽環境に恵まれてたなと思います。



---このマガジン恒例の質問です。
諏訪さんにとってのCheer Up!ミュージックを教えて頂けますか?



諏訪:いっぱいありますが、今回のCheer Up!さんのギターポップ特集の始まりでもある、小林しのさんの曲の中から、「記憶のプリズム」という曲を選びたいと思います。

この作品は、作詞が小林しのさん。作曲がthe Sweet Onionsの近藤健太郎さん。アレンジがthe Sweet Onionsの高口大輔さんで、しのさんの歌声や、録音された音質等も含めてすべてにおいて素晴らしく、先日発売された小林しのさんのアルバム「Looking for a key」のなかでも僕の中ではベストソングです。
歌詞の中で、人が時をかけて成長していく中で、ささやかだけどかけがえのない大切なものに気づいていくという様子が歌われていて、素敵なことだなと感動すると共に、自分も前に進んでいくぞっという気持ちにさせてもらえる、そんな作品です。



---今後の抱負や展望などを教えて下さい。


諏訪:今回インタビューしていただいたことがきっかけで、自分が音楽を始めた頃のなつかしい記憶を思い出したわけなのですが、その頃と同じような気持ちを持ち続けながらこれからもやっていけたらいいな、という思いに現在至っています。
楽しそうなことにはいろいろチャレンジしていきたいです。
インタビューを読んで興味をもってくれた方にはぜひ音源も聴いていただき、今後のパトラッシュの活動も気にかけていただけたらなと思います。よろしくお願いします。



---沢山のお話を伺えて良かったです。どうもありがとうございました。



【編集後記】
諏訪さんの歌声を聴いているととても幸せな気持ちになれます。
そんな、長年気になっていた諏訪さんの音楽の原点をたっぷり伺えて嬉しいインタビューでした。
パトラッシュの新しい歌をもっともっと聴きたい!と望んでいるファンは多いことと思います。
パトラッシュの今後の活動も、Cheer Up!で応援させて頂きたいと思っています。






◆諏訪好洋 プロフィール

山形県米沢市出身。
1999年、「Patrasche」(パトラッシュ)の名でソロアーティスト活動を開始。
2000年、モータウンやソフトロックなど60〜70年代の音楽に影響を受けた宅録サウンドで、minty fresh japan/Happy merry tuneから1stミニアルバム「Where are little memories had gone?」を発表。
音楽活動休止から時を経て、2011年に活動再開。
web上での音源発表とライブを中心にマイペースな活動で今に至る。


the Patrasche Official Web
http://the-patrasche.jimdo.com/

Twitter
http://twitter.com/#!/ThePatrasche

音源の試聴(携帯やスマートフォンでも試聴ができます)
http://soundcloud.com/the-patrasche




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