今回ご登場下さったのは、兵庫県宝塚市を拠点として長年にわたり良質なポップミュージックを発信し続けるThe Penelopesの渡辺達彦さん。
Cheer Up!では、紙媒体のマガジンをはじめ、シンガーソングライター特集や連載コラムを寄稿頂くなどコンスタントに登場頂いているので、お馴染みの方も多いことだろう。
今回は、2015年11月に配信限定でリリースされたアルバム「Spellbound」のお話をはじめ、渡辺さんの音楽ヒストリー、そしてThe Penelopesの26年を振り返って頂くなど濃い内容となっており、ぜひじっくりお読み頂きたい。(2016年6月)




---The Penelopesは1990年に始動とのことで、今年26年目なのですね。
アルバムによってクレジットが違いますが、渡辺さんのソロユニットという位置付けになりますか?



渡辺:私が曲を書き、歌い、アレンジを考え、多くの部分の演奏をしますし、他のメンバーはかなり変遷がありましたので、客観的にみるとバンドではなくて、ソロユニットなのでしょうね。
でも、自分では極力そう捉えない様にしてまして、常に変転して行く緩やかなプロジェクト、という感じです。それは、80年代に特に流行った方法論だったのかも知れません。



---よろしければ、メンバーの変遷について教えて頂けますか?


渡辺:一番最初の90年〜91年頃はギタリストとして弟の聡が手伝ってくれてました。
CDデビューする前、カセットでデモテープを作ってた頃です。
これがいわば第一期で、ここでは兄弟二人組。
ギターのアイデアは弟がだいぶ出してました。

それから91年の秋にポルスプエストさんからオムニバスCD"The Birth Of the True"(1992年リリース)への参加のお話があって、メンバー募集をプレイヤー誌に出して、西出君(Kb)ともうひとりギタリストが参加しました。そこで揃った4人が第二期ですね。ギター2本とオルガンが入った音。

次に1stアルバム"In A Big Golden Cage"(1993年リリース)の録音をし始める頃に弟とそのギタリストが去り、粟谷君(G)が加入してトリオになります。これが第三期。

セカンドアルバム"Touch the Ground"(1994年)の録音前から宮田智種さん(B)が入り、ベースに関しては以後ずっとほとんどの曲が彼女です。
この4人がいわば第四期。ドラム以外は完全に揃いました。

セカンド録音後、レーベルが変わって、少し音楽性も変えたくなって、3rdアルバム"Kiss Of life"(1997年)では便宜上私と西出君の二人組になります。これが第5期。
実際のところこのあたりからほとんどソロユニットみたいになって行きました。

4thアルバム"A Place In the Sun"(1997年)、5thアルバム"Inner Light"(1999年)では、曲によっては歌う人も変わったりして。これが第6期です。

6thアルバム"Eternal Spring"(2003年)でドラマーの梨本君が加わって、私、宮田さんのトリオになります。
これが第7期。

7thアルバム"Summerdew Avenue"(2006年)では私と宮田さんの二人組となり、これがいわば第8期で、今もこの形でずっと続いているのです。



---The Penelopesと名付けた経緯を教えて頂けますか。


渡辺:子どもの頃好きだったイギリスのSF人形劇「サンダーバード」に登場する女性キャラクター、ペネロープから取ったのです。
90年代初めは、世界的 に草の根的な60'sリバイバルが始まり出した頃で、新鮮な感じがしたし、ノスタルジックな響きがその時は新しくて面白いと思ったんですね。
それまでは、当時のイギリスのインディーポップにリンクするような名前をあれこれ考えてたんですが、しっくり来なかったのです。



---The Penelopesは、90年代の雑誌「米国音楽」によく投稿なさっていて、情報掲載されていましたよね。
当時はどんな反響がありましたか?海外からの反響は?



渡辺:The Penelopesの音楽自体はイメージほど「渋谷系」でもなかったし、「ギターポップ」っぽい音でもなかったのですが、田舎街のバンドの割には注目してもらえたように思います。
当時はまだ携帯もインターネットも本格化してない時代で、ダイレクトな反応はわからなかったので、本屋や輸入盤屋に行ってチェックするしかなかったのです。
ですので、実際に聴いた方にどれくらい気に入ってもらえたのかはわからなかったんですけれど、後になって聴いてましたよとか言われて物凄く励みになりましたね。
おかげさまで、海外からもコンピレーションへの参加依頼がちょこちょこ来ましたし、本当に感謝しています。



---渡辺さんはずっと関西を拠点に活動されているわけですが、90年代、関西の当時のギターポップシーンではどんなイベントが行われていたか教えて頂けますか?


渡辺:たぶん草の根的に沢山あったのだと思いますが、私の知っている限りですと、アンダーフラワーさんのコンピに参加されていたバンドの方達 - クリストファーロビンさんやブルーベリー・ベリーブルーさん、チェルシー・テラスさんらが企画したイベントを覚えています。
誘われてカセットコンピに参加したと思います。
皆さん、フリッパーズ・ギターから始まるいわゆる渋谷系、ギターポップの動きを熱心に追っておられて、ポルスプエストのこともよくご存知でした。
80年代の英国ニューウェイヴやネオアコ/ギターポップなどは当然基本知識で、同時代に同じような音楽をよく聴いている人たちがあちこちにいたということがわかって嬉しかったですよ。



---1997年、自主レーベルVaudeville Park(ボードヴィルパーク)を設立されましたが、そのきっかけや経緯など教えて下さい。


渡辺:95年にポルスプエスト/レイルからクリエイティヴマンディスク傘下の新レーベルに移籍したのですが、そこで出す予定だった3枚目のアルバム"Kiss Of Life"のリリースが大幅にずれ込んでしまったんですね。
今から考えればそんなのは別に珍しいことでもなかったのですが、当時は必死でしたので(苦笑)、出ないんじゃないかと心配になりまして。
それで、自分でレーベルを興して別の作品を出す事にしたのです。
幸い"Kiss Of Life"は97年の1月に出ることになりましたので、ほんの数ヶ月後には4枚目の"A Place In the Sun"がボードヴィルパークから出るという、ちょっと変わった事態になりました。

ボードヴィルパークという名前は、ジェットセットという80年代のネオモッド系のバンドのアルバムから来ています。何とかパークという名前を探していたんですよね。
当時だったら、プリンスのペイズリーパークとか、プリファブスプラウトのラングレーパークとか、スプリングスティーンのアズベリーパークは言うまでもなく、良い音楽に、よくそんな名前があったんです。
それに、地元に昔あった宝塚ルナパーク(宝塚ファミリーランドの前身) とか、甲子園にあった阪神パークとか・・・そういうのも想起出来たらというのがありました。



---The Penelopesは海外インディーズミュージシャンとの交流も深いですよね。
どうやって出会うのでしょうか。実際会うこともあるのですか?



渡辺:昔はメールさえありませんでしたから、初めの頃はアーティストに手紙を書いてました。
それがきっかけで、来日したときに会いに行ったことも、前座をしたこともありました。
20数年前は、英語で歌って世界と繋がりたいと思ったら、それが普通だったと思います。
ここ10年はメールですけれど。



---The Penelopesのニューアルバム「Spellbound」が2015年11月20日に配信限定でリリースされました。
今回配信限定にした理由を教えて頂けますか?



渡辺:まず、10何年前の話ですが、それまで一番取り扱ってくれていた配給会社がなくなってしまったんですね。
そして、インディーの音楽の扱いがだんだん厳しくなって、他に配給していただいていた会社も、相手にしてくれなくなってしまいました。
それで買い取りではなくて委託で小売店にお願いするという形に移行したのですが、売上げを考えるとCDの制作コストの高さが馬鹿になりませんでした。

そして何よりこの10年で、世間一般の音楽の聴き方が、CDをプレイヤーで聴く、というのから、音源をパソコンや携帯で聴く、という風に根本的に変わって来たことがありますね。
仕事柄、中高生の部屋を見ることが多いのですが、ここ10年くらいで、ほとんどCDを見かけなくなったんです。

もちろん音楽はCDやレコードで聴きたい、という層が一定数あるのはわかっていますし、何よりレコードやCDには思い入れもあります。でも、私の音楽を聞いて下さる方というのはある特定の年齢層に偏っていて、しかも多くない。
作る限りは、若い層も含めたもっと多くの方にも聴いて欲しいですし。

これらががここ数年配信限定にしている理由ですね。



---アルバム8曲の内容ですが、The Penelopes4曲、コラボ2曲、Splendidvilleの曲が2曲なのですね。
Splendidvilleについてご紹介お願いします。



渡辺:Splendidville(スプレンディドヴィル)は、私と、東京都内で活動するシンガー/ソングライターのMarsh Branchさんからなるデュオです。
もう何年も前から録音を進めて来ていたのですが、ようやく形になりました。
彼女がリードVoで、私がバックの演奏をしていまして、所々ではバッキングVoも務めています。
今回のコラボの中では、一番ロック寄り、ニューウェイヴ寄り、という感じでしょうか。
ブロンディーやカーズ、それにスミスのエッセンスを自分なりに昇華した音楽にしたいというのがありましたが、今回の2曲は、彼女の歌唱の存在感が、それだけに終らない独特の世界を作り出して下さったと思います。



---The Penelopesの曲は、長年変わらずいつも心地良く聴けるのが魅力と感じます。
曲作りはどのように行っているのですか?
ふとひらめくのでしょうか?それともじっくり作るのでしょうか。



渡辺:ありがとうございます。両方ですね。
メロディーやコード進行がひらめいた時のために小さなMP3レコーダーとアコースティックギターを常にそばに置いてまして、すぐ簡単な形に出来るようにしてます。
また歌詞のアイデアやタイトルなどをどんな時でも残しておくために、ノート、メモ帳はいつも持ち歩いてます。

それとは別に、歌メロや歌詞以外からじっくりと組み立てて作って行く場合もあります。
ベースラインから作って行ったり、シンセやピアノでアレンジを先に組み立てたり。
リズムだけを最初に作る場合もあります。
そうやって作って、後から歌のメロディーを考えて付け加えて行きます。
アコギばかりで始めると、どうしても曲のタイプが偏りますし、自分にとっても新鮮味がなくなって来ますので、できるだけ色んなアプローチで行こうとしています。



---今回、The Penelopesとコラボしている2曲がまたいいですね。
Nana Ishiiさんとの曲「Shangri-La Green」は、雨音のようなサウンドがきれいで楽しい気持ちになりました。Nana Ishiiさんのご紹介、そしてこの曲についてどんなイメージで作ったか教えて頂けますか。



渡辺:ありがとうございます!
いつも、映像的というか、何か風景が甦って来るような音にしたいと思っているのです。
この曲の場合は春の始まり、4月の雨から始まって、徐々に上がり、やがて晴れ間が見えて来る・・・みたいなイメージが自分のなかではありました。

Nanaさんは普段はボサノヴァやビートルズのカヴァーを中心に関西で歌っておられるシンガーです。
どんな曲を歌っていただこうか、となった時、 御自身の昔録音したものを聴かせていただいたんですね。
それで最初はフレンチポップやシンセポッブが念頭にあったんです。
でも実際にお会いして録音をやってみると、もっともっと幅広く歌える方だとわかりまして。
モータウンっぽいガール・ソウルポップみたいなのはどうだろうと思って曲の原形を聴いて頂いたら、ぜひやりたい、とのことで、この曲がどんどん大きくなって行ったんですね。



---もう1曲のコラボ曲、Marilyn Loさんとの「Fundamental Thing」では、彼女の美声にうっとりしました。
Marilyn Loさんのご紹介もお願い致します。



渡辺:嬉しいお言葉です。1999年にThe Penelopesで"Inner Light"というアルバムを作ったのですが、そのレコーディングの時に初めて色んな女性シンガーの方と本格的なコラボをやり始めたんですね。
それが新たなプロジェクトへと発展して行きまして、2000年にはRhythm Fantasy(リズム・ファンタシー)という女性デュオへの楽曲提供、プロデュース、リリースへと繋がったんです。
Marilynさんはそのデュオの一人だった方で、ニューヨーク出身のシンガー/ソングライターです。
2000年に1stアルバム、2003年に2ndアルバムをリリースして、以後は活動を休止されていたのですが、10数年ぶりに作品を提供し、The Penelopesをバックに歌ってもらうチャンスを得た、というところです。
大変美しい声とハーモニーを持った方で、多くの方に聴いていただきたいですね。



---「Spellbound」は、結成25周年を記念する作品とのことですよね。
このアルバムについての想いを教えて頂けますか?



渡辺:今回は少し今までとは毛色の違う作品に見えるかも知れませんが、これも旅の途中なんです。
8曲のなかにこれまでThe Penelopesでやって来たことのエッセンスを存分に詰め込んだつもりです。

みなさんにほんの少しの時間、私共の列車に乗車して、一緒に音楽旅行を楽しんでいただきたいですね。







---ここからは、渡辺さんの音楽ヒストリーについて教えて下さい。
まずは小さいころ、どんなきっかけで音楽に触れ、どんな音楽を聴いていましたか?



渡辺:一番最初のきっかけは、やっぱり子ども向けのTV番組やレコードですね。
テレビでは、当時は特撮/怪獣/変身もの大流行りでしたから、まず「ウルトラマン」「マグマ大使」、「ジャイアントロボ」・・・このあたり語り出したらキリがないですね(笑)。

それにアニメ。「リボンの騎士」や「ワンダースリー」、「黄金バット」・・・このへんもキリがないですけれど、こういったTVから流れて来る音楽がいわば子守唄だったと思います。
あとは NHKの子ども向け番組で覚えた歌、人形劇とか「みんなのうた」・・・このあたりも重要でした。
うちにあったレコードもやっぱり「怪奇大作戦」や 「ウルトラマン」「サスケ」それに童謡などでした。
特別音楽的な家庭でもなかったのですが、子ども向けのクラシックの全集みたいなのもあって、それらも好きでした。

レコードが好きなあまり、紙を切り抜いて自分でレコードを作ったりしたのも覚えています。
もちろん音は出ないですけどね (笑)。



---紙を切り抜いたレコード、なんかほっこりしますね。
楽器はいつ頃から始めたのですか?



渡辺:最初にやり出した楽器はエレクトーンで、小学校低学年の頃は音楽教室に通ってました。
それで発表会に出たりもしたんですが、その後、絵とか野球、相撲、プラモデルとか(笑)、他の色々な事に興味が広がってしまって、楽器からは離れてしまいました。

ギターに触れたのは兄貴の影響で、高校の頃でしたが、本気でやろうとかは全く思ってませんでした。
大学に入ってから、アルバイトで自分のを買って、そこで初めて真剣にやり出しましたね。
でも、誰かのギタープレイをコピーするとかにはほとんど興味がなくて、ただ曲を作ってみたい、そのための道具という感じでした。



---学生時代はどんな音楽を聴いていましたか?


渡辺:高校時代に兄の影響で英国ニューウェイヴに本格的に触れたんですね。
兄貴はカセットテープに当時でいうエアチェックでその系統の音楽を中心に凄まじいコレクションを持っていまして、またロッキングオンやミュージックライフ、音楽専科といった洋楽雑誌のバックナンバーも一杯あったんです。
ですので色んな洋楽の情報が突然入って来まして、大いに刺激されました。

その当時洋楽で目立っていたのはやっぱりイギリスを中心とするニューウェイヴ、それにアメリカンロックやAORといったところだったかと思います。
それで私自身が一番惹かれて行ったのは、XTC、エルヴィス・コステロ、スクイーズ、ジャムといった英国のニューウェイヴ勢だったんですね。
後から考えると、派手なルックスよりも曲の良さで勝負してる人たち・・・だったんだとわかりましたが、当時はそんなことを考えて意図的に選んだというよりも、色々聴いてるうちに理屈抜きで、なんか違うってんで、残って行ったんですね。
曲が具体的にどう良かったとか、理由はわからなかったのですが、とにかく好みだったんです。
よく言うのですが、"雛の刷り込み"という感じです。
ピンと来て、あっ、自分の音楽的な親だ、と思ってしまったんですね。



---お兄様のコレクション、どんなお部屋だったのかとても気になります。いい環境だったのですね。
バンド活動を始めたのはいつ頃からですか?



渡辺:デモテープを作り出したのは大学の頃(1986年頃)でしたので、まぁその頃が始めた頃、ということになると思います。
でもライヴをやるということにはあまり興味がなくて、ただただ当時のイギリスのインディーポップみたいな曲を作りたい・・・それだけでした。
こういう音楽をやっている人たちも周りにいませんでしたし、何処かにいることも知らなかった。
初めてそういう人たちがいることを知ったのは90年ぐらいで、その時は会社員しながら、やはりデモテープを作っていました。



---このWEBマガジン恒例の質問です。
渡辺さんにとってのCheer Up!ミュージックを教えて頂けますか?
(Cheer Up!ミュージックの解釈は、元気が出る・気合いが入る・落ち込んだ時に聴きたいなど自由にお願い致します。)



渡辺:思うんですけれど、一般的に言って、幼い頃の、瑞々しい感覚や自由な想像力、とてつもない吸収力を持っていた時期や、思春期の、人格が形成されて行く段階特有の、何かしら精神的な模範や支えを必要としていた時期に出会った音楽や本、絵画や映像作品というのは、その後ずっと生きて行く上での大切な活力源、インスピレーションの大きな源泉になるんじゃないでしょうか。
少なくとも私にとってはそうだったんですよね。
素晴らしい音楽や絵本 や映像作品が心を作り、鍛え、今もアイデアを与えてくれ、大きな支えになってくれると言うか。
大事なことを忘れそうになったり、原点を見失いそうになると、必ず立ち戻る大切な場所なんですね。

ですので、音楽に限ってですと、大まかに言って、(1)幼少期(1960年代後半〜70年代前半)に出会ったテレビから流れて来た音楽、その中で も特に子ども向け番組、特撮やアニメなど、(2)10代半ば〜20代初めに出会ったニューウェイヴ、ネオアコースティック、ギターポップなど 1970年代終わりから80年代にかけてのイギリスの音楽、(3)そのふたつを結ぶ60年代〜70年代の音楽・・・この3つが私にとってのもっとも大きなCheer Up!ミュージック、ということになりますね。

これらの音楽がなければたぶんThe Penelopesをやっていなかったでしょうし、自分の音楽はいまでも、その時代にもらった音楽という贈り物へのお返し、という要素が強いのです。
もちろんそれだけではないですけど、でも、それらの音楽に鼓舞され、勇気づけられて来たことへの感謝の意味合いが強いんです。

元気づけられる曲は大変多く、全てをリストにするのは正直難しいので、(2)に限って浮かんだ音楽を列挙してみますと、以下のようになります。
もちろんこれもしょっちゅう変わりますけれども、今回は特にメロディーが素晴らしいものを中心に書いてみました。
YouTubeでも見つけられるものばかりだと思いますので、ぜひチェックしていただきたいですね。
名付けて、80's 80 (エイティーズ・エイティー - 80年代の80曲)!


"80's 80"

01. XTC - Senses Working Overtime
02. Elvis Costello and The Attractions - Love For Tender
03. Squeeze - Another Nail In My Heart
04. The Jam - Man In the Corner Shop
05. The Records - Rumour Sets The Woods Alight
06. The Vapors - News At Ten
07. The dB's - Black and White
08. The Undertones - It's Going To Happen
09. The Stranglers - Strange Little Girl
10. The Teardrop Explodes - Treason
11. Orange Juice - Rip It Up
12. The Pale Fountains - Jean's Not Happening
13. The Lotus Eaters - Love Still Flows
14. China Crisis - Wishful Thinking
15. The Sound - Total Recall
16. R.E.M. - So. Central Rain
17. The Colourfield - Castles In the Air
18. Fiat Lux - Secrets
19. Culture Club - Time (Clock Of A Heart)
20. The Smiths - Heaven Knows I'm Miserable Now
21. Madness - Our House
22. Prefab Sprout - Johnny Johnny
23. The Style Council - Speak Like A Child
24. Tears For Fears - Pale Shelter
25. The Bongos - Tiger Nights
26. The Kane Gang - Closest Thing To Heaven
27. The Blow Monkeys - Digging Your Scene
28. The Chameleons - Nostalgia
29. The Faith Brothers - A Stranger On Home Ground
30. The Pretenders - Message Of Love
31. The Psychedelic Furs - Love My Way
32. The Icicle Works - When It All Comes Down
33. The Armoury Show - Sleep City Sleep
34. Simple Minds - Someone , Somewhere In Summertime
35. The Comsat Angels - High Tide
36. Crowded House - Something So Strong
37. Microdisney - Town To Town
38. Silent Running - Home Is Where the Heart Is
39. Echo and The Bunnymen - Back Of Love
40. The Bluebells - Young At Heart
41. Friends Again - State Of Art
42. Modern English - Hands Across the Sea
43. Bourgie Bourgie - Careless
44. The Blue Nile - Tinseltown In the Rain
45. Nik Kershaw - I Won't Let the Sun Go Down On Me
46. Kate Bush - Sat In Your Lap
47. The Associates - 18 Carat Love Affair
48. The Housemartins - Build
49. The Smithereens - Behind the Wall Of Sleep
50. The La's - I Can't Sleep
51. The Waterboys - Red Army Blues
52. Eurythmics - Sweet Dreams (Are Made Of This)
53. Del-Lords - Cheyenne
54. Zerra One - Ten Thousand Voices
55. The Stone Roses - Made Of Stone
56. The Chills - Doledrums
57. The Fixx - Lost Planes
58. O.M.D. - Souvenir
59. The Bangles - If She Knew What She Wants
60. Depeche Mode - People Are People
61. The Blades - Chance To Stop
62. Fiction Factory - Time Is Right
63. The Silencers - The Real McCoy
64. The Maisonnettes - Heartache Avenue
65. The Church - Spark
66. The Mighty Wah! - The Lost Generation
67. Altered Images - Funny Funny Me
68. The Cure - In Between Days
69. Marc and The Mambas - Untitled
70. Big Country - Where the Rose Is Sown
71. The Truth - A Step In the Right Direction
72. Everything But the Girl - Bittersweet
73. The Belle Stars - Sign Of the Times
74. Nick Heyward - When It Started To Begin
75. Nits - The Tender Trap
76. The Assembly - Never Never
77. Mood Six - I Saw the Light
78. It's Immaterial - Rope
79. Mari Wilson - Just What I Always Wanted
80. Aztec Camera - We Could Send Letters



---今の渡辺さんのお話にはとても共感します。私も元気がない時などに、幼い頃や学生時代に親しんでいた楽曲に触れると、なんともいえない安らぎを感じて自分を取り戻せる気がします。
"80's 80"もじっくりチェックしてみたいです!
渡辺さんの、今後のご予定や夢を教えて頂けますか?



渡辺:いま録音中の作品は、たぶん来年のリリースになると思います。
全6、7曲、今度は全てThe Penelopes名義での作品です。
また、それとは別に、今回参加していただいたシンガーの方の単独作品も進めて行きたいですね。
他にも色んなユニットを構想していますが、今のところは内緒です(笑)。

夢は至って単純ですが、やっぱりもっともっと良い曲を作ること。
そしてもっと多くの方に聴いてもらえるようになることです。



---The Penelopesを続けていらして、長い間にいろいろなことがあったと思います。
振り返ってみてどんな想いがありますか?また、続けてきた原動力は?



渡辺:The Penelopesの音楽というのは結局、60年代後半から80年代の音楽を聴いて育った人間ならではの産物で、そして90年代初めだったから始められたもので、今だったらこういう音楽はたぶん始めることは出来なかっただろうな、そう思ってるんです。
デビュー当時、雑誌で愛読していた有名な洋楽ライターの方に初めてお会いしたとき、一番日本で売りにくいタイプの音楽をやってる、と言われたのは忘れられませんね。ああ、やっぱりそうだったかと。

それを踏まえて、まずはこういうことが思い出されます。
一杯失敗したし、後悔することも山のようにあります。不運だけで片付けたくはないけれど、 良い作品を作った筈なのに今度は配給会社がなくなってしまったり、レコード店に宣伝に行っても、もう素人インディーの類いは相手にしない、っていう風に時代がどんどん変わって行き・・・そんな事態に理不尽を感じたものです。
音楽が売れたかどうか、という話になると、もう答えは出ていて、明らかに自分は音楽業界に向いてなかったし、失敗だったと。The Penelopesは自分の人生の汚点で、金食い虫でしかなかった・・・そんな風に思った事も正直ありました。

でも、同時にこうも思って来たんですよね。それでも自分はメゲてないし、自分の音楽が気に入っている(特にアタマで鳴っているものは!)。
基本的には自分が良いと思う音楽を精一杯やって来たし、これからも出来限りやるつもり。
だって、まだ何も始まってないと思っているから。
まだまだ試せてないことが一杯あるし、山のようにあるデモを、きちんと形にしない限り死ねない。
それらに死ぬ瞬間まで夢中になって取り組めたらいいなと思うし、 取り組めることが目標なんです。
そんな思いの前では、売れる売れないとかは全くどうでもよくなるんです。
たぶんもって生まれた性格なんだと思いますが、どれだけ落ち込んだり辛い思いを抱えても、何日か経ったら立ち直って、またやってやろうという気持ちが湧いて来るんです。

馬鹿みたいに聞こえるかも知れませんが、そんな創作意欲、何度でも立ち直るエネルギーがある限り、ずっと続けると思いますね。



---貴重なお話を沢山伺ってますますThe Penelopesが好きになりました。The Penelopesの作品をこれからも楽しみにしております。
今回はどうもありがとうございました。




【編集後記】
1990年代からコンスタントなリリースを続けて、海外アーティストとの交流も多く、常に精力的な活動を行っている印象の強いThe Penelopes。
渡辺さんの原動力は何だろう?とずっと思っていました。やはり長い年月の間には苦悩や葛藤もあった、けれどそれを凌駕する深い音楽愛と尽きることのない創作意欲。
感慨深いお話を伺えて本当に良かったです。






The Penelopes/Spellbound

01 Here Comes the Light---The Penelopes
02 Shangri-La Green---Nana Ishii and The Penelopes
03 Eye Of A Needle---Splendidville
04 Fundamental Thing---Marilyn Lo and The Penelopes
05 All That Glitters---The Penelopes
06 Hello New World---The Penelopes
07 Back In Time---Splendidville
08 Carry On---The Penelopes


発売日 : 2015.11.25
レーベル : ボードヴィルパークレコード
国内での配信サービス: iTunesミュージックストア、アマゾンMP3、Mora、レコチョク














◆The Penelopes プロフィール

渡辺達彦(Vo/G/Kb)、宮田智種(B)を核とするポップユニット。90年代初頭のネオアコースティック/ギターポップのシーンで注目され、 92年に東芝EMI傘下ポルスプエストのコンピレーション"The Birth Of The True"に参加、93年には1stアルバム"In A Big Golden Cage"をリリース。以来7枚のアルバム、2枚のミニアルバム、2枚のシングルをリリース。96年には自主レーベルVaudeville Parkもスタートさせている。
最新作は2015年発表のミニアルバム"Spellbound"。メロディアスなポップロックを特徴とする。


The Penelopes Official Web
http://the-patrasche.jimdo.com/

PENELOG (Penelopes Watanabe's Music Diary)
http://penelopes.exblog.jp/

The Penelopes News Blog
http://blog.goo.ne.jp/pib

The Penelopes facebook
https://www.facebook.com/The-Penelopes-new-album-out-on-Nov-20th-2015-149130651823951/

The Penelopes ReverbNation
https://www.reverbnation.com/thepenelopesvaudevillepark




<Cheer Up!関連リンク>

連載コラム:"Twee Pop A Lula" (トゥイーポップ・ア・ルーラ) - 徒然と綴れ(つれづれとつづれ)(2013年)
http://www.cheerup777.com/tweepop.html

特集 Cheer Up!がお薦めするシンガーソングライター:The Penelopes
http://www.cheerup777.com/penelopes.html

ディスクレビュー:V.A./Sweet Psychedelic Orange
http://ameblo.jp/cheerup2009/entry-10815764306.html




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