名古屋と浜松で主に活動する5人組ロックバンドHUSH(ハッシュ)が、ニューアルバム『Pretend As Youth -A Young Person's Guide To HUSH-』をリリースした。新曲も含みつつもベスト盤的なこのアルバムは、楽しく時には切なくカラフル。
今回はヴォーカル&ギターの小出雄司さんに、このアルバムのお話を中心にじっくり伺った。
また、新メンバーの松田浩太朗さん(ベース)のご紹介やコメント、メンバーからこのアルバムについてのコメント、小出さんによるセルフライナーノーツの掲載など盛り沢山の内容になった。動画も沢山貼っているので、これを機にHUSHの音楽に触れてみて頂きたい。(2019年1月)

---今回のアルバムは、「過去にリリースした2枚のEPからの選曲と、新曲3曲、再録1曲、新バージョン1曲を追加した全11曲を収録のベスト盤的アルバム」とのこと。このアルバムをリリースすることになった経緯について教えて頂けますか?

小出:本来は3枚目のEPを用意する予定でレコーディングをすすめてましたが、あるタイミングでSpotify(定額ストリーミングサービス)に加入したのが大きかったです。
それ以前の楽曲は何曲か配信をしていたんですが、2枚のEPは意図的にさせていませんでした。
過去の実績からあまり重要視をしなかったというのが正直なところです。

しかし実際自分がサブスクに加入してみると、確かに便利だし、人によってはこれで音楽がすべて事足りてしまうだろうなぁというのを実感しました。
そしてここに「自分たちの聴かせたい最新の音楽が存在してないのは非常にマズイ」という危機感も芽生えました。
それを受けて、同時進行でレコーディングしてた楽曲と共に既存曲を同時に配信をさせようと考えたのが始まりです。
準備を進めていく中で、やはりCDでの販売の要望もあり、現状のような販売形態になりました。

---アルバムタイトル「Pretend As Youth -A Young Person's Guide To HUSH-」に込めた意味について伺いたいです。年齢の若いファンも増えてきて、その方々にHUSHを紹介したいという意味合いもあるのでしょうか?

小出:直訳すると「青春ごっこ -青少年のためのHUSHの音楽入門-」といったところでしょうか。
どこか自虐的でもあるし、おじさんになっても楽しく音楽やってますよ的な意味合いですね。
この「A Young Person's Guide To〜」という表記はオーケストラの名の通りの入門曲からの引用で、偶然にもベスト盤的な内容になったこともあり、HUSHの入門編!というのを知らせたくてサブタイトルにしました。
ちなみに若いファンが増えてきてるという実感はまったくありません(笑)!




---今回のアルバムはHUSHの魅力が詰まっていますね。明るくてポップで、ちょっぴりやんちゃな楽しい気分になる曲が多い中、「Yesterdays」のような切なさのある曲があったり。「Dear Tracy」はパーティー感あるというバブルガムポップスで、流れているだけで気分がアガります。
多くの人にすんなり受け入れられる心地良い曲が多いし、アルバムを通して聴くとバラエティに富んでいるのもHUSHの魅力だと思うんですよね。


小出:実はリリースに際してセルフライナーノーツなるものを書いたので、こちらに掲載させてください。
ぜひアルバムを聴きながら読んでもらえると!より楽しくなる可能性がない訳でもないこともなくなくないことは否めません。

小出さんによるセルフライナーノーツはこちらからどうぞ。

---前回HUSHにご登場頂いたのは2016年。2nd EP「When You Smile EP」についてのインタビューでした。
あれから2年以上過ぎ、その間にはどのようなことがあったか、またバンドをされている中で心境の変化などあったかどうか伺えますか?


小出:僕等は生活環境的に実はそんなに頻繁に会うことができないんです。
だからという訳ではないですが、各々何かしらバンドとは異なる音楽活動していますね。

例えば僕はDJ活動を頻繁にしています。ありがたいことにイベントに呼んでもらうことも多くて。
バンドとはまた違った交流もできるし、なんならバンドよりも喜んでもらえてるかもしれない(笑)。
とにかく人知れず誰かのために選曲して、反響があった時の喜びに病み付きになっています。

近藤君は一番DTMをうまく使いこなせているので、宅録なんかしてるみたいです。
たまに聴かせてもらうんですが、出来が非常に良いんですよ。ただ本人に主張性がないのが残念。
彼の才能をもっと公にできたら、このバンドは売れるんじゃないかと思います(笑)。



岩月君は仕事もして結婚もして子供もいるのに、バンド掛け持ちしてドラムスクールも通ってるという(笑)。
だから誰よりも現場の空気に触れているかもしれない。ある種、理想の音楽生活スタイルだと思っています。
彼にはドラマーとしてもっと外で活躍してほしいですね。色々吸収してバンドに還元してくれるので。

山崎君が一番会えていない!彼は本当に元気でやっているんでしょうか?(笑)
ひさしぶりに会ったら新しいギター買っていたり、別の新しい管楽器を始めていたり、会うたびニュースがあります。仕事も充実してるみたいで、話題になった崎山蒼志くんとツーショットの写真見た時は驚きましたね。

一方、バンドの方は2017年から2018年前半はひたすら籠って新曲の練習したり、レコーディングしたりしてました。厳密には2017年の年末から新メンバー(当時はサポート)を入れて音を合わせる作業をしていたんですよ。

---そう、そのbassの松田浩太朗さんが正式加入なさって、5人組バンドになったそうですね。
そのいきさつや、松田さんのお人柄などご紹介お願い致します。


小出:ある日、スタジオに近藤君がEpiphoneのカジノ(ギター)を新調して持ってきたことがありまして。
彼はベーシストでしたが、ギターを持ってる姿が非常に様になっていたんですよ、これは冗談ではなく。
そこで彼をギタリストにして、新しくベーシストを入れようとその場でメンバー募集Tweetをしました(笑)。



決定打はこんな感じでしたが、実は以前からちょっと考えてはいたことだったんです。
普段の活動は月1回のスタジオで練習するか、レコーディングするかぐらいの籠るようなものばかりで、ちょっと空気がマンネリ化してるのを感じるようになりました。僕だけかもしれないですが...
もちろん理由は一つだけじゃなくて、一応自分の中でも葛藤はあったんですけど。
近藤君の持ち味的に曲を俯瞰で見れる立ち位置にしたほうが良いのではないか...とか。
ちょうどその頃は僕自身も歌を歌うのが楽しいなと心から思えるようになってきて。
「曲は作る!歌も歌う!だけどゴメン、ギターはよろしく!」という気持ちで割り切りました(笑)。

そのメンバー募集Tweetをした3日後くらいに松田君から連絡をもらいました。
バンドの繋がりで少し話をしたことがある程度でしたが、年齢や境遇も近いので、すぐ会うことになりました。
数年前に音楽を辞めて仕事のみの生活をしていたみたいなんですが、年齢も30を迎えて結婚も控えているのに、既存のバンドに飛び込んでくる勇気って相当だよなと感心したのを覚えてます。
彼は単純に年齢が少し下ということもあり、弟感が強いですね。礼儀もちゃんとしてるし素直だし。
ただ天然ボケというかどこか抜けてる感は否めないです(笑)。
最初は前任の近藤君とはまったく違うタイプのベーシストだなと思っていたのですが、何回かスタジオに入ってると少し似てるところも出てきたりして面白いですね。
彼もそれまでに培ったプレイスタイルがありながらも、バンドに合わせる努力を続けてくれています。
全員が同じ熱量で同じ方向を向くことを心がけながら、長い付き合いにしたいと思います。


松田君からのコメント

以前所属していた激しめのオルタナバンドが活動休止し、不完全燃焼のまま4年が過ぎようとしていたある日、Twitterで昔から知っているHUSHがベーシストを募集しているのを知り、衝動的に応募しました。
一週間後にユウジさんから突然電話がかかってきて、それからまた一週間後ぐらいに当時僕の住んでいたアパート界隈の居酒屋に名古屋メンバーが押しかけてきて、意外にアグレッシヴでフットワークが軽い人たちだなって思いました(笑)。

とにかく、演奏以外の時間はひたすら音楽談義!
HUSHはパワーポップとかギターポップ、オルタナティヴにカテゴライズされることが多いのですが、メンバーは色々な音楽に精通しているのが印象的でした。特に近藤さん、ユウジさんの幅広い音楽のルーツに脱帽しました。
岩月さんのドラムプレイはタイトで正確、ベーシストとしてもっと頑張らないといけないなぁと思います(笑)。
それまでベースを深く考えず、わりと衝動的に弾くほうでしたが、最近はきちんと弾かないといけないなぁと思って家でよく練習しています(笑)。
あきひろさんは、飄々と良い音、印象に残るフレーズを繰り出してきて、佇まいがカッコいいなと思います!
加入して一年経ちまして、ライブは一度しかしてないですが、バンドは新しい音楽との出会いだったり、技術上の課題が見つかったり、新しい発見があってやっぱり楽しいなと思っています。
不満と言えば、名古屋メンバーが僕以外お酒を飲まないので、バンド内に呑み仲間がいないことぐらいですね(笑)。





---台湾いすずのCMで「Woo-Wah」が使われていたことが記憶に新しいですが、今度は台湾スズキのCMで「Ready For The Blue」が抜擢されたとか。その経緯や評判など伺えますか?




小出:いすずのCMのギャラの振り込みもひと段落してたのですが、ある日急に代理店から売り上げレポートが送られてきまして。
中を確認すると、金額の横に「Commercial」と記入されてました(笑)。
催促してようやくCMの動画を教えてもらったという感じですね。しかもその数か月前からオンエアされてたという。



これはさすがに驚きましたよ。でも1回目の時より嬉しかったです。
もう1回採用されることで、絶対マグレではないことを自覚して、楽曲に魅力があることを自信に変えたかったんです。

実は日本のSUZUKIに連絡をしてみたんですよ。
丁重に「台湾での弊社製品の販売にご協力いただき誠にありがとうございます。」と返信をいただきました。
ただ「ぜひ日本のCMでもHUSHの曲を使ってください!」とまでは言うことができませんでした(笑)。

あぁあと、個人的に音楽活動をしていることを普段の生活で積極的に話すことはないんですけど、このCMを機会に完全にバレましたね。親戚だけではなく仕事先のお客さんにまでも。
僕の立場的に宣伝はしないといけないので、SNSをきっかけに広まっていくような感じで。
非常に照れくさいですけど、仕方ないですね。こればかりはいずれ受け入れなきゃいけないと思ってましたから。





---今後の夢や展望、次のアルバムの予定などあれば伺えますか?

小出:現在は5人での音源を制作中です。
今まさにレコーディング中なので、早く誰かに聴いて欲しい気持ちでいっぱいです。

夢や展望となると、正直ミーハーなことばかり思い浮かんでしまいます...
例えば台湾のCM以来、ずっと目標にしているのは日本のテレビで曲がオンエアされてるのを聴いてみたいと思っています。
これを読んでいる関係者の方!権利関係はフリーなので、ぜひ僕達の曲を使ってください!
あと自分達で作ったものを誰かに託したらどうなるか興味あります。楽曲提供とか編曲依頼とか。
バンドの手を離れて、どんな反響があるのか、一度経験してみたいことです。
あ、あとカラオケ!よく行くので、DAMやJOY SOUNDに入るようになったらシンプルに嬉しい。
これってどうやったら採用されるんでしょうか?権利関係の話もあるようなのですが...誰か詳しい方教えてください。

これらのことは以前までは思うことはあっても、あまり口に出して言うことはなかったかもしれない。
自信がついた...というのもあるかもしれないですが、ここ最近は意識が少し変わったように感じます。
誰かの為にではなく、自分達が好きだからという理由だけで音楽活動をしていますが、多かれ少なかれ色々な人の協力と理解があって続けられてるなと思うようになりました。
だからせめて楽しんでもらいたい。それで一番手っ取り早く効果的なのは、僕達がわかりやすい露出をすることなのではと。
もちろん良い曲を作り続けるというのが大前提ですけど。今後も可能性の幅を少しずつ広げていくのが目標ですね。

---どうもありがとうございました。HUSHの音楽がもっともっと大きく広がって聴かれることをCheer Up!でも応援していきますね。


今回HUSHメンバーから、このアルバムに込めた想いについてコメントを頂きました。

小出雄司
「このアルバムがまだ"通過点"で良かった。
今もロック少年だった時の気持ちは忘れていない。」

近藤知広
「ここ数年の間に僕らがやってきたことの総決算であり、
僕たちが青春時代に聴いていた音楽に対するひとつの答え。
10代の頃の自分に聴かせたい。」

岩月貴幸
「今までを振り返る事が出来る集大成。
その時々の今出来ることを込めた、まるで成長記録とも言える。
古くなればなるほどだんだん恥ずかしなる。そんなアルバム。」

山崎晃浩
「ギターキッズが大人になっていき、
アンプの音量は小さくなる一方でした。
トレーシーに捧げます。」




『Pretend As Youth -A Young Person's Guide To HUSH-』HUSH

1.When You Smile
2.Ivory
3.Ellie My Love
4.Yesterdays
5.Ready For The Blue
6.18-eighteen-
7.Woo-Wah
8.Dumb -She's Electric-
9.About A Fever
10.Good Good Times
11.Dear Tracy

発売日:2018/08/12
レーベル:69 records
規格品番:SXNE-007

通販でも購入いただけます。
●THISTIME RECORDS
https://ttosdomestic.thebase.in/items/14613738
●HOLIDAY!RECORDS
http://holiday2014.thebase.in/items/14618674
●Let's Rock RECORDS
http://letsjustrock.net/?pid=136920903
●Amazon
https://amzn.to/2P0JVaN


HUSH are:
小出雄司(Vo&Gt)
近藤知広(Key&Gt&Cho)
岩月貴幸(Dr&Cho)
山崎晃浩(Gt&Cho)
松田浩太朗(Bass)





HUSH プロフィール:

HUSH(ハッシュ)は名古屋で2009年に小出雄司を中心として、近藤知広、岩月貴幸と山崎晃浩の4人が揃って結成されたロックバンド。
ライブ活動を続ける中、ZIP-FMで曲がオンエアされたことをきっかけにコアな音楽ファンの間で徐々に名が知られるようになる。
積極的にセルフプロデュースライブを行い、2012年にはレーベル「69 records」を設立。
以後i-tunesを中心にデジタルリリースを重ねる。この頃から海外のサイトでも取り上げられるようになる。
同年、名古屋の繁華街である栄を中心に開催されたライブサーキット「SAKAE SPRING 2012」に参加。
2014年:ライブ会場&店舗限定で「Dear Tracy Remix EP」をリリース。
10月:soundcloudにアップしていた楽曲が台湾の広告代理店のディレクターの目に留まり、いすずのCMで「Woo-Wah」が抜擢される(約2年間オンエア)。
12月:TOWER RECORDS×nothingman企画のオムニバスCD「circle of life」に参加。
2015年5月:「About A Fever EP」をリリース。多くのWEBサイトでも紹介され、名古屋TOWER RECORDS近鉄パッセ店でインストアライブを行う。
2016年6月:代表曲でもある2nd EP「When You Smile EP」をリリースし、しばしレコーディング期間に突入。
2018年5月:THISTIME RECORDSからリリースされたギターポップオムニバスCD「Guitar Pop Festa」に参加。
9月:New Album「Pretend As Youth -A Young Person's Guide To HUSH- 」をリリース。いすずのCMに引き続き、台湾SUZUKIのCMで「Ready For The Blue」が抜擢される(約1年間オンエア予定)。
新メンバー松田浩太朗が加入し、現在は5人体制での音源制作を中心に活動をしている。
主に名古屋と浜松で活動中。
アメリカンポップスを彷彿とさせるメロディに90年代オルタナやブリットポップを経由した、ノスタルジックなサウンドが特徴的。
幅広い音楽性から、飾り気のないポップスへの昇華を志している。


HUSH Official Web
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<Cheer Up!関連リンク>

HUSHインタビュー(2016年)
http://www.cheerup777.com/gp/hush.html




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