KYOTO JAZZ MASSIVEの沖野修也さんがプロデュースする新ユニット、KYOTO JAZZ SEXTETの1stアルバム『MISSION』が2015/4/15にリリースされた。 内容はBlue Noteのカヴァーがメイン。メンバーは平戸祐介さん(Piano)、類家心平さん(Trumpet)、栗原健さん(Tenor Sax)、小泉P克人さん(Bass)、天倉正敬さん(Drums)。 ウェイン・ショーターの「Speak No Evil」と、KYOTO JAZZ MASSIVEの「Eclipse」ではサックスの菊地成孔氏がゲスト参加。 このアルバムは、4/18〜5/10に京都で開催される「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭」と連動される。 LiveやDJイベントなど様々な関連企画が目白押しだ。 今回は沖野修也さんにインタビューに応じて頂いた。 また、メンバーの中から、平戸祐介さんと類家心平さんよりKYOTO JAZZ SEXTETについてのコメントを頂いた。 ★平戸祐介さんコメント ★類家心平さんコメント ---Blue Noteのカヴァーとはいえ、KYOTO JAZZ MASSIVEのイメージでもうちょっとダンサブルなアレンジになっているのではないかと思っていたので、聴いてみてちょっと意外でした。 アレンジは沖野さんがなさったのでしょうか?また、選曲の基準は? 沖野:今回、踊れるかどうかには全くこだわっていません。結果的に踊れる曲もありますが(笑)。僕のヴィジョンをミュージシャンがどうやって形にするかという事が最重要課題だったので。アレンジは全て僕が考えました。池田憲一(ROOT SOUL)がデモ制作の際、プログラムを担当してくれたんですが、彼が音楽的に僕の思いつきをまとめてくれたという意味でその貢献は大きいです。僕が、彼に「こんなベースラインで」とか、「あの曲とこの曲を合体できたら・・・」なんて風に口頭で伝えて、コンピューターで打ち込んで行ってもらったので。アレンジには1ヶ月以上かかりましたね。選曲の基準は、63年から66年までの新主流派と呼ばれた楽曲の中から選んでいます。 ---今回のアルバムはモード・ジャズの魅力が詰まっており、落ち着いた心持ちで何度も聴いています。全てアナログの作業にこだわったとのこと。 これはぜひいい音で聴きたい!と思わされます。 アナログ盤の発売予定はあるのでしょうか。 沖野:自分のキャリアを振り返った時に、自分名義の作品で全編アナログ録音をやった事がなかったんです。去年、東洋化成というプレス工場に見学に行く機会があったので、そこでやはりアナログの魅力を再確認したってのは大きかったでしょうね。モンド・グロッソは、既にコンピューターを導入してましたし、プロデュースを手掛けたSLEEP WALKERでさえも、レコーディングはアナログでしたが、カッティングは海外で行なっていたので、マスターはデータだったんです。念願の全編アナログ録音〜マスタリング〜カッティングでレコードが作れて感無量です。アナログ盤は4/18のレコード・ストア・デイで販売されたんですが、まだ残ってるんでしょうか・・・? ---アルバムタイトル『MISSION』には、このKYOTO JAZZ SEXTETの持つ様々な"ミッション"という意味が込められているとのこと。 沖野さんの解説文から引用させて頂くと、「ジャズとクラブ・ミュージックの融合は勿論の事、新主流派/モード・ジャズの再評価、USジャズへの日本からの返答、異なる世代の連携」とあります。USジャズへの日本からの返答、という点についてもうちょっと詳しく教えて頂けますでしょうか。 沖野:今、ロバート・グラスパーやグレゴリー・ポーター、そして、ホセ・ジェームスを始めとするUSのジャズが注目されているんですが、現在のブレイクの前に彼等の存在にいち早く気付いたのは日本やイギリスのファンだったりしたんです。ホセ・ジェームスはジャイルス・ピーターソンに見出されたし、グレゴリー・ポーターは、パトリック・フォージやケビン・ビードルというジャズDJ達にプッシュされてましたからね。僕自身も、ロバート・グラスパーの2NDアルバムをリリース前にNYでディレクターに聴かせてもらい、日本盤のライナー・ノートを執筆しています。 実は、彼等は3人共ブルー・ノートに所属している訳ですが、彼等がクリエイトする現代的なジャズに拮抗出来るアルバムを日本から発表するというのが僕のモチベーションでもありました。彼等の成功を予見できた日本やイギリスが、僕達なりのジャズを提案する事で、単なる受け手ではなく発信者となる事は可能だと思うんです。プロデューサーとして自分の力量を試してみたかったという事ですね。 ---今回、「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭」と連動とのこと。 京都の街のあちらこちらで様々な企画が行われるかなり大規模なイベントのようですが、その中の一つ「フランシス・ウルフとブルーノート・レコード」との連動なのですね。 フランシス・ウルフ撮影のジャズの伝説たちの写真が展示されるとか。 まさにこのアルバムとぴったりの企画だと感じます。 沖野:KYOTO JAZZ SEXTETの構想は2年前からあったんです。去年KJMのデビュー20周年だったので、それを機に本格的なジャズ・プロジェクトを始めてみたいなと。実は、ブルー・ノートが去年75周年だったんですが、その時にKJSでブルー・ノートのカバー・アルバムを出すという話もあったんです。ただ、担当者がお辞めになってしまって・・・。ところが、昨年の11月にKYOTOGRAPHIEの主宰の方とお会いする機会があり、コラボのオファーを頂きました。逆にブルー・ノートのカバー・アルバムの提案をした所、ご快諾頂いたんです。ですから、この『MISSION』でカバーしたブルー・ノート楽曲8曲中、5曲がKYOTOGRAPHIEで展示される写真を使った名盤に収録されている曲なんですよ。 ---KYOTO JAZZ SEXTETのメンバーが豪華! 当WEBマガジン"Cheer Up!"でお馴染みのピアニスト、平戸祐介さんも参加されています。 沖野さんのブログで、平戸さんとの出会いについて書かれていたのがとても素敵でした。 メンバーの皆さん、沖野さんとのご縁がそれぞれあって、今回集結したわけですね。 沖野さんのおっしゃる「異なる世代の連携」ということで、あえて少し世代が下の方々にお声掛けしたのでしょうか。 世代が下のミュージシャンたちに沖野さんが託したいもの・伝えたいことがあればぜひ教えて下さい。 沖野:これまで僕は、吉澤はじめさんという偉大なピアニストとずっと仕事をしてきましたし、ファラオ・サンダースやカルロス・ガーネットと言った偉大なレジェンド達ともレコーディングやイベントを通じて交流する事ができました。そこで得た事、学んだ事を若い人にも伝えて行きたいと思っているんですよね。マイルス・デイビスやアート・ブレイキーが若手をバンドに抜擢して育成したように、僕も下の世代にもっとチャンスを与えたいと思っているんです。今回のメンバーは既に活躍している人達でもありますが、ブルー・ノートからリリースするとか、海外でライブをするとかいい経験ができると思うんです。僕が託したいものや伝えたいことは、ジャズはコミュニケーションであるという事、それは、ミュージシャン同士の会話であるだけでなく、オーディエンスとの対話でもあるし、時代との問答でもあるという事ですね。既にライブや次作で10代のメンバーを起用する構想もあるんですよ。 ---私的なことですが、沖野さんが1997年に雑誌「バァフアウト」に連載なさっていたコラムを読み、カルチャーが東京に一極集中するように感じられて焦る中、「東京に行けばなんとかなるなんて大間違い」「地方に居ても、自分自身を充実させる方法は色々あるはずだ」「地方にいても楽しめる筈。君自身が楽しい人間になり、君自身が地方を盛り上げなければならないんだよ」という文章に心打たれました。18年たった現在、やはり同じお考えでしょうか。 地方で悶々とする、かつての私のような若者にメッセージをお願い出来ないでしょうか。 沖野:僕自身も4年前に京都に戻り、悪戦苦闘していますよ(苦笑)。カフェやバーやゲスト・ハウスで小さなイベントをこつこつと続け、ようやく今年は、KYOTOGRAPHIEという国際写真祭とのコラボでKYOTO JAZZ SEXTETを京都から発信できますしね。自分の外側に面白い事を求める人は、常に追いかける立場になってしまいます。僕は、常に自分が面白い事ができるかどうかを考えていますし、自分の半径1m以内が世界で一番楽しい場所にしたいと思っています。だから、京都にいても、ウィーンにいても、ザグレブにいても、北海道であろうと九州であろうとそこが自分にとって一番興味深い場所な訳です。今は、ネットもあるから地方のハンデは随分減りました。勿論、ニーズや需要という意味では東京に適う街はないですが、ターゲットを世界と考えれば、地方にだってチャンスはあると思いますよ。 ---このWEBマガジンのタイトルは"Cheer Up!"です。 参加して下さる方々に"Cheer Up!"な音楽(曲でもアーティストでも)を教えて頂くのが恒例になっております。聴いて励まされたり、元気が出たり、気合が入ったり。 沖野さんにとって、そんな"Cheer Up!"な音楽を教えていただけますか? 沖野:GIL SCOTT HERONの「It's Your World」ですね。そう、世界はあなたのもの。 ---KYOTO JAZZ SEXTETの今後の展望を教えて下さい。 沖野:海外リリース果たしたいですね。今、オーストリアが手を挙げてくれていて、ドイツも興味を持ってくれています。ベルリンで、イギリスの担当者にも会ったのでプッシュしておきました。海外公演も実現したいです。2ndアルバムも作り始めていて、次回は全曲オリジナルに挑みたいと思っています。今後もKYOTO JAZZ MASSIVEのみならず、KYOTO JAZZ SEXTETの活動もチェックして下さい! ---どうもありがとうございました。2ndアルバムも楽しみにしております。 KYOTO JAZZ SEXTET 『MISSION』 1. Search for the New Land (Lee Morgan) 2. Speak No Evil (Wayne Shorter) 3. The Melting Pot (Freddie Hubbard) 4. Sccotash (Harbie Hancock) 5. Mr.Jin(Art Blakey) 6. Jinrikisha (Joe Henderson) 7. Up a Step (Hank Mobley) 8. Eclipse (Kyoto Jazz Massive) 発売日: 2015.04.15 価格(税込): \2,916 品番:UCCJ-2121 沖野修也 プロフィール: DJ/クリエイティブ・ディレクター/執筆家/選曲評論家/Tokyo Crossover/Jazz Festival発起人/The Roomプロデューサー。KYOTO JAZZ MASSIVE名義でリリースした「ECLIPSE」は、英国国営放送BBCラジオZUBBチャートで3週連続No.1の座を日本人として初めて射止めた。これまでDJ/アーティストとして世界35ヶ国140都市に招聘されただけでなく、CNNやBILLBOARD等でも取り上げられた本当の意味で世界標準をクリアできる数少ない日本人音楽家の一人。ここ数年は、音楽で空間の価値を変える"サウンド・ブランディング"の第一人者として、映画館、ホテル、銀行、空港、レストラン等の音楽設計を手掛けている。著書に、『DJ 選曲術』や『クラブ・ジャズ入門』、自伝『職業、DJ、25年』等がある。2011年7月、2枚目のソロ・アルバム『DESTINY』が、iTunesダンス・アルバム・チャート第1位、総合アルバム・チャートでも第3位を獲得。2013年11月にはバーニーズ ニューヨーク新宿店で初のイラストレーション展を開催。現在、InterFM『JAZZ ain't Jazz』にて番組ナビゲーターを担当中(毎週水曜日22時〜)。有線放送内I-12チャンネルにて"沖野修也 presents Music in The Room"を監修。新たにプロデュースしたプロジェクト、Kyoto Jazz Sextetのデビューアルバム『Mission』を、ブルーノート・レーベルより4/15(水)に発売した。 www.kyotojazzmassive.com/ www.extra-freedom.co.jp/artists/shuya_okino/ KYOTO JAZZ SEXTET プロフィール: Kyoto Jazz Massiveの沖野修也がメジャー・デビュー20周年を期に発足した本格的ジャズ・グループ。quasimodeの平戸祐介、DCPRGや菊地成孔ダブ・セプテットに参加する類家心平、Mountain Mocha Kilimanjaroの栗原健、松浦俊夫 presents HEXに参加する小泉P克人、Jazztronikのドラマーとして知られる天倉正敬ら国内屈指の若手ミュージシャンを招集し、レコーディングを敢行。ゲストに菊地成孔を迎え、録音からマスタリングまで全てアナログでの作業にこだわり、Kyoto Jazz Massiveの"Eclipse"の再録音を含む全編BLUE NOTEのカヴァー・アルバム『Mission』をリリース。この6人編成の完全生演奏グループは、ジャズとクラブ・ミュージックの融合は勿論の事、新主流派/モード・ジャズの再評価、USジャズへの日本からの返答、異なる世代の連携、音楽と写真の異業種交流(国際写真展『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2015』とも連動)等、様々な使命を持っている。ライブでは、フレキシブルに国内外のミュージシャンを招集し、トリオやカルテットでの編成も可能。 http://www.universal-music.co.jp/kyoto-jazz-sextet Live Information KYOTO JAZZ QUARTET Live Session 2015年5月2日(土) The Room(渋谷) [LIVE Kyoto Jazz Quartet (平戸祐介(Piano)、小泉 P 克人(Bass)、天倉正敬(Drums) 、沖野修也(SE/MC)) [DJ] 沖野修也(KYOTO JAZZ MASSIVE) [Open/Start] 19:00 [Live Start] 20:30 [CHARGE] 2500yen(1d) http://www.theroom.jp/schedule/2015/05/1kyoto_jazz_quartet_live_live_session_2kyoto_jazz_massive_dj_session_-okino_brothers_dj_set-.php https://www.facebook.com/events/1428719197439575/ Kyoto Jazz Sextet 『Mission』 Special Live 2015 Guest 菊地成孔 2015年5月25日(月) ビルボードライブ東京 出演: 平戸祐介(p) 類家心平(tp) 栗原 健(ts)小泉 P 克人(b) 藤井伸昭(ds) 沖野修也(se/mc) 【Guest】菊地成孔(ts) http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=9434&shop=1 Tel. 03-3405-1133 |