シンガーソングライター、サウンドクリエイターとして多彩な活躍を続ける中塚武さん。
通算7作目のオリジナル・アルバム『EYE』には圧倒された。
緻密なアレンジとサウンド。本田雅人さん(SAX)、佐々木史郎さん(Tp)、エリック・ミヤシロさん(Tp)、中川英二郎さん(Tb)などJAZZ/FUSIONの実力派プレイヤーによるゴージャスなホーン。
そして、中塚さんの歌声は時に切なく、時に力強く、聴く者の心を鷲掴みにする。
曲それぞれの世界は眩いばかりの生命力にあふれていて、ストレートに「音楽はいいなぁー!」と嬉しくなってしまう、そんな凄いアルバムだ。
音楽を愛する人みんなに聴いてほしいと願わずにはいられないこの名作『EYE』について、中塚さんにインタビューさせて頂いた。
まずは一曲目「JAPANESE BOY」のMVを味わってからお読み頂ければと思う。(2016年3月)










---オリジナルアルバムについては2013年の『Lyrics』以来3年ぶりなんですね。
久しぶりにオリジナルフルアルバムを制作なさってのお気持ちはいかがですか?



中塚:長丁場でしたが、高い達成感があります。



---タイトルは『EYE』。アルバムジャケットの中心にある目も、とてもインパクトがあります。
シンプルなこのタイトルにどんなお気持ちがこもっているか教えて頂けますか?



中塚:聴くと目の前にビジュアルが広がる音楽、という意味を込めました。



---沢山のミュージシャンが参加されていますが、アレンジを伝えるのは譜面でびっちり指定なさったのでしょうか?


中塚:大前提は譜面での指定ですが、アーティキュレイションは佐々木史郎さん、NAOTOくん、五十嵐誠さんなど、長年信頼している方々にお任せします。



---ここからは一曲ずつお伺いします。

01. JAPANESE BOY
---アップテンポで心弾むサウンドにのせて、歌詞の不思議さに驚きました。
スキャット?外国語?と思ったら、日本語のようで・・・もしかして何か言葉を逆に読んでいるんだろうか?と思ったりもしました。



中塚:歌詞は祝詞からインスパイアされたものなので、確かに日本語ではあります。



---今回、ドラムとベースは打ち込みなのでしょうか?


中塚:ドラムは生演奏と打ち込みのハイブリッドで、ベースはほぼアルバム全編生演奏です。



02. プリズム
---ラテンジャズのリズムが心地良く、後半、トランペットとサックスのスリリングな掛け合い。その中を自由に泳ぐように歌う中塚さんの声が印象的。
歌詞がまた深くて、中塚さんの創作のご様子を歌っているのかな?と思ったり、SNS時代の様子を描いたようにも思えたりしました。



中塚:仰るとおり、歌詞は創作の瞬間を切り取ったものをモチーフにしています。
他人や社会との繋がりを断絶する一瞬がなければ、なかなか創作物は生まれないな、と。



03. 律動(リズム)
---リズム、ホーンセクション、打ち込み、歌詞、ピアノ、全て絡み合って凄い迫力ですね。
どんどんアルバムの世界に惹き込まれます。



中塚:曲のタイトル通り、複数のリズムが混ざり合った楽曲にしようと思いました。



04. あの日、あのとき
---イントロからストリングスが美しいですね。
切ない歌詞に涙が出そうになります。めくるめくようなドラマティックなアレンジにも感激しながら聴きました。



中塚:イントロはヴィオラとチェロです。曲中ではNAOTOくんのソロが幾度か登場します。
僕も思い入れのある1曲です。



05. 初夏のメロディ
---中塚さんの歌声もコーラスワークも本当にきれいで、胸にストレートに響いてきて、"歌の力"を感じました。
後半「手と手」の部分のコーラスにも聴きほれます。
歌う時に心に留めていることはありますか?
コーラスアレンジする時は、どんな風に響くように考えていらっしゃるでしょうか。



中塚:ありがとうございます。
後半のコーラスはドラムの鈴木郁さんのアイデアです。
できるかぎり歌詞の内容が伝わるように歌っています。
コーラスはクローズドボイシングで書くことが多いです。



06. 〇の∞(album version)
---NHK Eテレ「サイエンスZERO」のオープニングテーマ。「ゼロの無限」と読むんですね。
2014年リリースのベスト盤『SWINGER SONG WRITER』の最後にも収録されました。
中塚さんの歌に"いのちのきらめき"や"生"を感じます。迫力あるホーンセクションのゴージャスな響きが心地良いです。



中塚:ホーンセクションはトロンボーンの五十嵐誠さんがキャスティングしてくださいました。
今回はアルバム収録のために、あらためて歌を録り直し、コーラスパートも加えました。



07. ふれる
---アップテンポな曲が多い中で、ちょっとスローで落ち着くナンバー。
情報過多ともいえる時代において、自らの体験が大切だなと常に思っているので、歌詞に共感しました。



中塚:ネット社会の今は、一般論を振りかざす場面に遭遇することが多いです。
でも一般論は一般論であって、その人自身が感じたことや考えたこととは違う。
受け売りではなく、いつも「僕がどう感じたのか?」を考えの軸にしています。



08. 苹果
---「りんご」と読むんですね。
悲しくなりつつも、温かな涙が流れてくるような・・・切ない気持ちが募ってきます。
曲は変拍子を取り入れているような?



中塚:変拍子ではなく4/4拍子ではありますが、8分音符分だけ裏返って聞こえるアレンジにしています。



09. parkour
---スキャットとホーンでユニゾンの部分がとてもスリリング。本田雅人さんのソロにも聴きほれました。


中塚:サックスの本田さんのソロは超絶です。素晴らしい演奏を収められて嬉しいです。



10. ひとしずく
---この歌もまた切なくも幸せな気持ちになれて、そういう歌がたっぷり詰まったアルバムなんですね。
このアルバムを聴いていると、インストもいいけれど、歌が入ると楽器との絡み合いも楽しめて、歌詞の内容も立体的に楽しめていいものだなあと感じさせられます。
インスト曲も多く手掛けていらっしゃる中塚さんですが、歌ものとインストについて、ご自身では表現手段としてどのように違いをとらえていらっしゃいますか?



中塚:歌ものだとやはり歌詞があるので、どうしても音楽と歌詞内容が同等に入ってきてしまう。
そのジレンマを今回は「JAPANESE BOY」で乗り越えられたと思っています。



11. ひねもすえそらごと
---高速ラテンジャズで、松岡"matzz"高廣さんのパーカッションが最高ですね。
サックスソロとエレピソロも大迫力。ときめきっぱなしのハイな状態になりました。



中塚:マッツのコンガがこの曲の肝であり背骨です。素晴らしい演奏をしていただきました。



12. からまるゆるめる
---歌詞にやさしさを感じます。ずっとずっと中塚さんの歌を聴いていたい気持ちになり、そしてアルバムの最初からリピート。
このアルバムは楽しくて、切なくて、あったかくて・・・
ひととおり聴いてみて、大きなパワーをもらえるアルバムだと感じました。



中塚:ありがとうございます。
自分自身でも大好きなアルバムに仕上がったと自負しています。



---ここからは、中塚さんご自身についていくつか質問させて下さい。
中塚さんの音楽制作における世界観に影響を与えたものはどんなものですか?



中塚:小さいころからゲームプランナーになりたくて、実際にゲームを作っていたことは大きいと思います。



---普段、どんなジャンルの本をお読みになっていますか?


中塚:ノンフィクションや評論は読みますが、小説はほとんど読みません。
コミックは、藤子・F・不二雄全集全巻はiPadに常備しています。



---音楽を離れてのご趣味やマイブームはありますか?


中塚:リアル謎解きゲームです。ヘタですが。



---中塚さんはお菓子がお好きとのこと。最近のおすすめお菓子をぜひ教えて下さい。


中塚:最近はマルセイの新商品バターケーキを取り寄せたりしていました。



---このWEBマガジンのインタビューでは恒例の質問です。
中塚さんにとっての「Cheer Up!ミュージック」を教えて頂けますか?



中塚:最近は落語をオーディオブックで聴くのが好きです。
音楽でないインプットが耳に心地よい時もあります。



---音楽活動における今後の夢、展望などを教えて頂けますでしょうか。


中塚:今はまだ達成感でいっぱいなので、まずは『EYE』の曲をライヴで披露したいと思っています。
その中で必然的に見えてくることに身を任せようと思います。



---今回はどうもありがとうございました。







『EYE』 中塚武

01. JAPANESE BOY
02. プリズム
03. 律動(リズム)
04. あの日、あのとき
05. 初夏のメロディ
06. 〇の∞ (album version)
07. ふれる
08. 苹果
09. parkour
10. ひとしずく
11. ひねもすえそらごと
12. からまるゆるめる

発売日:2016年3月16日
価格:2,800円+税
品番:UVCA-3035






中塚武プロフィール

シンガーソングライター、サウンドクリエイター。
自ら主宰するバンドQYPTHONE(キップソーン)としてドイツのコンピレーションアルバム『SUSHI4004』で海外デビュー以降、CM・テレビ番組・映画音楽の制作・アーティストへの楽曲提供と幅広く活動。これまでに6枚のオリジナル・ソロアルバムをリリース。
2013年にソロ活動10周年を迎え、作詞・作曲・編曲・歌唱・ピアノ演奏をすべて一人で行ったフルアルバム『Lyrics』、新世代ビッグバンド“イガバンBB”とのコラボレーション・カヴァーアルバム『Big Band Back Beat』を立て続けにリリース。
2014年4月には、自身初のベストアルバム『Swinger Song Writer』をリリース。新曲「〇の∞」がNHK「サイエンスZERO」のテーマ曲となり、iTunes Store JAZZチャート1位を獲得した。
2014年11月、Disneyオフィシャルアルバム『Disney piano jazz HAPPINESS Deluxe Edition』をリリース。「Let It Go」を含むDisney楽曲を独自の編曲とピアノ演奏によって再解釈し、Disneyファンからも大きな反響を得た。


中塚武 オフィシャルウェブサイト
http://www.nakatsukatakeshi.com/

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♪中塚武 最新インフォメーション

2016年3月19日(土)
中塚武インストアライブ@渋谷HMV
会場:HMV&BOOKS TOKYO 7F イベントスペース


2016年3月23日(水)
中塚武×BATICA presents 『Delica LAB』
会場:恵比寿BATICA


2016年3月26日(土)
Q’ulle初主催対バンLIVE「アジアツアー秒読みガチLIVE!!」
会場:渋谷サイクロン


2016年4月21日(木)
中塚武NEWアルバム「EYE」RELEASE PARTY 〜目玉の飛び出す夜〜
会場:代官山UNIT


各ライブ/イベントの詳細についてはOFFICIAL SITEにてご確認下さい。
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