1999年の結成から15年、そして3年ぶりのニューアルバム『liberation』をリリースするnative。
ライブ感あふれるアルバムであり、nativeがあくまでライブにこだわり続けているということに納得させられる。
今回は中村智由さん(sax,flute)にニューアルバムについて1曲ずつお話を伺った。(2014.10.14)


---1曲目のliberationはアルバムタイトル名。
最初からnativeの音楽世界に引き込まれる疾走感のある曲だと感じます。
「liberation」に込めた想いを教えていただけますか?


中村:liberationは、「解放」っていう意味なんですが、nativeを結成した当初は、ノンカテゴライズ、ジャズをベースにしつつもジャンルにとらわれずnative独自の音楽性を大切にしていました。
活動していくうちに、ちょうど生音クラブジャズのムーブメントが起こって流行りだして、そこに乗っかっていくかたちでnativeの名前も広めることができるように、、、その流れに乗れたのは、本当にラッキーだったと思っています。
ただ結成当初のノンカテゴライズとは逆にジャンルに対する縛りを意識して音楽を作るようになりました。
現在は一時期のようなムーブメントが去って、結成当初のノンカテゴライズの精神でバンドとしての個性を尊重する作品を作るときだと、そういう思いがあり、ジャンルの縛りからの「解放」という意味です!
疾走感ある曲調にもぴったりきました!


influence from the earth
---ベースラインがかっこいい!フロアを沸かせる場面が目に浮かぶようです。
ベーシストの大久保健一さんについてご紹介をお願い致します。


中村:大久保さんは、結成時からのメンバーで、その前にやっていたバンドでも一緒だったので僕の音楽人生の中で一番長く行動を共にしているミュージシャンです。

僕達のやっている音楽は隙間をぬう音楽で、ジャズだけど、いわゆる普通のジャズファンが期待するようなジャズではなくて、かと言ってロックやファンクでもない。この隙間の感覚を理解してくれるミュージシャンはなかなかいなくて、大久保さんは、本当にそういうことをよく理解してくれる音楽を作る上でのパートナーです。

高校時代にベースを始めて、最初はヘビーメタルから入ったそうです(笑)
僕と共通する音楽観も持っていますが、もっとセンシティブで、ブラジル音楽にも興味があります。
大久保さんの作る曲は、独特な浮遊感があるメロディアスな曲が多いです。
今回のアルバムでは、"past and future"、"soup d'amour"、"my car 660"の3曲が大久保さんの曲です。
過去のnativeの大久保さんの曲、歌ものの"whispery voice"と、ニコラコンテがリワークした"prussian blue"は、是非聴いてほしい名曲です!!

あとは、A型で協調性もあり、人の話もちゃんと聞いてくれます。
究極のマイペースで、忘れ物、落し物が多いです!!(笑)


je suis comme je suis
---スローナンバー。女性のVoice(MC)が美しいですね。平光広太郎さんのピアノ、そしてサックスのメロディーも心地良くていつまでも浸っていたくなります。平光さんはどんな方なんですか?


中村:この曲は、平光君作曲のワルツで、これまでのnativeの曲調にない曲かもしれません。

平光君は、昨年加入した新メンバーで、名古屋の若手実力No.1のピアニストとして、native加入以前からも精力的に活動しています。
演奏スタイルは、正統的なジャズを基盤にしながらも幅広いジャンルに対応できる柔軟なセンスを持っている素晴らしいミュージシャンです。
普段のライフスタイルは、演奏とは正反対の気さくな感じで、カラオケで江南スタイルを熱唱したりします。
nativeでアー写やPV撮影もしたんですが、そういう撮影に慣れてないせいか、演奏では無駄な力が全く入らないのに、撮影ポーズが妙に堅いのがおかしかったです(笑)

結成当初、当時のメンバーのギターの椎原さんが仏語を喋ることができたので曲に仏語のMCを入れていました。
原点回帰の意味もこめて今回の作品には仏語MCを入れたいと思い、フランス留学経験のある知り合い(前メンバー杉丸君の高校時代の同級生)の長井"マチロン"牧子さんにお願いしてMCを入れてもらいました。
MCが入ったことで、曲の雰囲気もぐっと増しました!!


past and future
---nativeの曲はメロディーがすぐに馴染める親密さが魅力だと感じます。
このタイトルには、長きにわたり精力的に活動してきた中に込められた想いを感じますがいかがでしょう。


中村:活動歴が長いのは、いいこと、難しいことの両方があります。
新しい作品を作って最大限にいい発信ができるのは、これまで築いたコネクションのおかげで、新しい作品ができるのを楽しみにしていただいているファンの方がいるのも本当にありがたいです。

難しいと思うのは、現役の音楽ファンの多くは新しい情報に敏感なので、すでにあるイメージが強すぎたり、過去にあったものに対してあまり興味がないことです。

nativeは、メンバーチェンジもあったり、常に変化しています。
結成当初のnativeとは、別バンドと言っていいくらいかもしれません、、、。
今回の作品もこれまでのnativeカラーを継承しつつ、新しい可能性が見える作品が完成したと思っています。
この作品を聴いて新規のnativeのリスナーが増えてくれると嬉しいです!!


conversation with the moon
---ロマンティックなタイトル!
平光さんのピアノが冴えわたり印象的です。


中村:この曲は、僕の作ったバラードですが、これまで作ったバラードの中でも上手くできたと思える曲です。
作曲していたたときの気持ちがうまく反映できました。
ピアノのバッキングも平光君にリクエストして、ただハーモニーを刻むバッキングでなくて、印象が残る旋律的なバッキングにしてもらいました。


samba de brisa
---サンバのリズムが軽快で心地良い曲!テンション上がります。
ドラムがまたいいですね。ドラムの深谷雄一さんについてご紹介をお願い致します。


中村:深谷君は、2010年からメンバーに加わり、バンドの中では最年少の27歳。
ワイルドなイケ面で、ライブでは女の子の視線が深谷君に集中しています!(笑)
ルックスもいいんですが、頭もいいです。
元々ジャズドラマーではなくロック畑での活動が長くて、nativeに加入した最初の頃は演奏にとまどいもありましたが最近は迷いもなくなり、ロック、ヒップホップからの影響と、ジャズへの憧れがうまくミックスした独自のグルーブをキープしてくれます。
見た目はワイルドで、声のトーンも低く落ち着いているので実年齢よりも大人っぽく見えるのですが、実際には好奇心旺盛な若者で、案外緊張もする方なようです!?


soupe d’amour
---中村さんのフルートが美しい一曲。フランス語タイトルですね。
これまで何度も海外公演やワールドリリースを行ってきたnative。
どこに行っても国境を越えて盛り上がったことと思いますが、海外での印象的なお話を伺いたいです。


中村:最初に行った海外公演ドイツフランクフルトでのライブは、ヨーロッパ人の音楽に対する懐の深さを感じることができた、いいライブでした。
老若男女が集うイベントで、ジャズライブから始まって、最終的にはトランス、テクノになっていくんですが、世代が違う参加者みんな楽しんでいて違和感なくイベントが成立するというのは感動的でした!
あとは昨年行った中国南京でのライブ、圧倒的な人口の多さと、生活レベルが上がって文化的なことに興味を持つ人が多くなっている現代中国での音楽マーケットとしての可能性を感じることができました。


my car 660
---楽しい曲で、ライブでは盛り上がりそうですね。
タイトルもどういう意味だろう?と思わされます。nativeの魅力が凝縮された曲と感じます。


中村:大久保さんの曲です。
曲想は、僕の別ユニットBLACKQP'67、Tomoyoshi Nakamura quartetでもやっているようなジャズロック調な曲ですが、リズムがドラムンベースだったり、サビの進行がポップなのは、僕が作るジャズロックよりも洒落ている感じがします。
長年トヨタのマークUに乗っていた大久保さんですが、昨年ワンボックスの軽自動車に乗り換えました。
維持費が半分以下になったそうです!
軽自動車は、イイねっていう意味ですね!(笑)


compass
---ドラマティックな曲調、メンバーそれぞれが縦横無尽に演奏している印象です。
アルバムを締めくくるのにぴったりな曲ですね。

中村:平光君の曲で、サンバ〜スイング〜ファンク〜ロックと4パターンのリズムが場面場面に変化する劇的な曲です。
平光君は、自身がリーダーの二管のハードバップバンドや、コンテンポラリーなファンクを機軸とするピアノトリオのバンドをやっていますが、リズムの変化に焦点をあてて作ったこの曲は、まさしくnativeにぴったりはまった曲です!!
この曲は、ライブで盛り上がるので、是非ライブでも聴いてもらいたいです!!


---「native」という名称は"メンバーの持つオリジナルな魅力を形にする"という由来とのこと。まさにメンバーそれぞれの魅力が輝くアルバム。
nativeの他にBLACKQP'67、Tomoyoshi Nakamura quartetを率いたり、サウンドプロデュースやイベントオーガナイズなど多彩な活躍をしている中村さんですが、中村さんにとっての「native」はどんな存在ですか?


中村:nativeは、自分自身の音楽活動で一番長い時間を費やしてきたバンドあり、僕自身のことをたくさんの人に知ってもらうきっかけになったバンドです。
バンドプロフィールに書いていることですが、車一台で全国を駆け巡ってライブを行ってきました。
バンド活動を通じて本当にたくさんの人と出会って、そのことが僕達の財産です。
今後も地道に活動していくことで、これまでの繋がりを大切にしていきたいですし、もっといろんな人にnativeを知ってもらえるよう頑張っていきたいと思います。
先ほどの質問でも回答したんですが、長く活動していくと壁にもぶち当たります。
それを乗り越えてやっていく価値や意味がnativeにあると信じています。
これからもメンバーの個性を尊重しながら、オリジナリティー溢れるサウンドを作っていくので、どうぞよろしくお願いします!



---今後の「native」の活動について教えて下さい。


中村:3年ぶりのニューアルバム「liberation」のリリースツアーを各地で行います。
最高のライブがお届けできるよう全力で頑張ります!


native ニューアルバム「liberation」 リリース記念ライブ 

2014年11月8日(土) 宇都宮  スノーキーレコード
2014年11月9日(日) 東京自由が丘 ハイフン
2014年11月22日(土) 名古屋 ドキシー
2014年11月23日(日) 札幌 円山夜想
2014年12月28日(日) 渋谷 サラヴァ東京


native / liberation



001 liberation
002 influence from the earth
003 je suis comme je suis
004 past and future
005 conversation with the moon
006 samba de brisa
007 soupe d'amour
008 my car 660
009 compass

NBCD-50 ¥2,300(tax/inc.)

label information nature bliss
http://www.naturebliss.jp/


native メンバー:
中村智由 (sax flute)
平光広太郎 (piano)
大久保健一 (bass)
深谷雄一 (dr)






native プロフィール:

結成は1999年。ストリートから活動をスタートし、自主制作で2枚のミニアルバムを発表後、レコードメーカー数社より7枚の作品をリリース。
国内外を始め様々なアーティストとのコラボレーションやプロデュースも数多く手掛ける日本屈指のアコースティック・ジャズ・コンボ。

2006 年:ドイツ- フランクフルト"Walden"にて初の海外公演を実施
2007 年:ニコラ・コンテによるリミックスを含む、"Prussian Blue EP" とフルアルバム"Prussian Blue" でワールドデビュー
2008 年:台湾公演
2009 年:サマーソニック2009 に出演
2010 年:Big Bang やMarco di Marco などのリリースで知られるイギリスの有力レーベル"arision" より2度目のワールドリリースとなる"possibility"を発表
2011 年:通算9 枚目となるオリジナルアルバム"going with the flow"をリリース
2013 年:中国南京国際ジャズフェスティバル出演


native Official Website
http://www.cnative.com/

中村智由 Official Website
http://blackqp.iiyudana.net/

中村智由 Twitter
https://twitter.com/blackqp67



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