サックス奏者の日野林晋さん率いるフュージョン・バンド"NF4"(エヌエフフォー)。フュージョンファンにはたまらないエッセンスに満ちたサウンドでじわじわ人気を集めています。今回は今年リリースされた3rdアルバム『Third Party』のお話を中心に、NF4の結成エピソードやメンバー紹介など、日野林晋さんにお伺いしました。(2019年8月) ---NF4(エヌエフフォー)は、2011年に結成なさったとのこと。結成のきっかけや経緯について伺えますか。 日野林:元々自分が音楽を聴き始めたのは1970年代後半から80年代に音楽シーンを席巻したJazzとロックを融合した「Fusion」というジャンルの音楽でした。 その後しばらくして「Jazz」に傾倒していたのですが、原点に戻って見ようとふと思い立ち最初は一回だけのつもりでやったライブがお客様より思いの外好評をいただきました。 それがきっかけになってこの方向をもっと突き詰めて行こうと思ったのがきっかけです。 ---NF4というユニット名がシンプルで印象的だなあと思うのですが、由来について教えて頂けますか? 日野林:結成当初は「日野林晋NF4」と言う名前でした。 理由は、並行して行ってたジャズのカルテットが「日野林4」だったもので。 演奏する内容もパフォーマンスも大きく異なるため「日野林4」のメンバーに誤解を与えないためにも「日野林のNew Fusionカルテット」と言う意味で名付けました。 ---3枚目のアルバムということにかけて『Third Party』というタイトルなのかと思いますが、ひねりがあって面白いタイトルですよね。 日野林:そうですね。「Third Party」には第三者と言う意味があります。 バンド結成以来8年と言う歳月を経て第三者であるメンバーと仲間になって来た事。そして3枚目と言う事。あと日本人の感覚での「Party」と言うある種の熱狂を感じる言葉。 色々な捉え方をしてもらえる言葉だなと思って名付けました。 ---作曲は日野林さんがされているのですか? 今回のアルバムの制作期間や、レコーディングで印象的なエピソードがあればご披露頂けますか? 日野林:作曲は今の所全て僕が担当しております。 ライブではメンバーがアレンジしてくれたカヴァー曲なども演奏します。 ベーシックなレコーディングは3日間かけて行いました。 前作、前々作は2日だったのですが。。 結局時間がギリギリになってしまい。。 エンジニアの菅原さんには大迷惑をかけてしまいました。。 3日間ほぼ休憩なしという。。。 すみませんでした。。 ---NF4の曲は凝ったアレンジが魅力ですが、アレンジは皆さんでリハで詰めていくのですか? また、日野林さんの作曲方法はどのようになさるのか伺えますか? 日野林:良い質問です!!(笑) 作曲もアレンジも基本的には僕がしているのですが何度か演奏していく内にメンバーからの提案がたくさん出て来ます。 そうしていく内に自分の曲なのに気づけばバンド全員の曲に変化していくんです。 固定メンバーでやっている「バンド」の醍醐味です。 作曲方法は。。企業秘密です(笑)っと言うか出来ちゃった曲に関してはあまり覚えてないんです。。 ---アルバム全体を聴いてみて、70年代のフュージョンのような懐かしい雰囲気を感じますね。 日野林:最初の話に戻りますが自分は70年代後半から80年代のフュージョンやブラックコンテンポラリー、AOR(アダルトオリエンテッドロック)などにどっぷりハマっていた世代です。 間違いなくその時代の音楽に影響を受け、自分というフィルターを通してそれらの音楽にオマージュしている感覚は強くあります。 ---メンバーの皆さんは、日野林さんからみてどのようなお人柄か教えて頂けますか? 日野林:ツアーで4人が長時間共に過ごすこともあります。 なので大切なのは人柄かな。 みんな人柄もよくバランスは良いと(リーダーだから)思いたいです(笑)。 それぞれバンドに対して音楽に対して妥協しないメンバーです。 僕が一番適当かもしれません。。 メンバーには感謝の気持ちしかありません。 ピアノの小畑氏は常に楽しもう、楽しみたい、楽しませたいと思っている感じ。 ベースの石井氏はベーシストらしく?冷静で音楽に対してはシビア。 ただ私生活が忘れ物多かったり。。バンドの愛されキャラ。 新加入のドラマー黒田氏は僕の勝手な感想ですがこのバンドに参加している事をとても楽しんでくれていると思います。 バンドに新しい風を送りまくってくれてます。あっ。あと酒飲みなのも気が合うポイントかも。 ---ここからは1曲ずつお話を伺います。 ◆1.Third Party ---インパクトあるテーマとリズムですね。哀愁を感じるメロディーです。 アルバムタイトル曲ですが、第三者団体という意味のサードパーティーとかけているのでしょうか? 日野林:はい。その通りです。第三者団体というのは悪い?言い方をすれば「正規ではない」とも取れますよね。このバンドも自分自身も王道というか正統的な路線から外れてでもやって行こうという決意というと大げさですがそんな気持ちで名付けました。 ◆2.Fly ---メロディーがとてもきれいで、ストリングスやエレピが軽やかに曲を盛り上げていると感じました。 このアルバムでは自分のお気に入り曲です。 日野林:この曲はレコーディング直前に出来た曲です。 明るい曲が欲しいなと思って書きました。 作曲、アレンジにとても苦労しました。初めてバンドで合わせるときはメンバーのダメ出しがあるかな?とも思いましたが幸い皆んな受け入れてくれました。 ストリングスも良いアクセントになってます。 ◆3.Levitation ---NF4の曲は尺が長いことが多いですが、全く聴きあきないんですよね! ベースラインやドラム、シンセのバックなど凝ったアレンジで、そして美しいサックスのメロディーが朗々と奏でられ、じっくり聴きいってしまいます。曲の世界にひたって、贅沢な時間を過ごせると感じます。 日野林:有難うございます。尺長いですよね。。(汗)実は前曲の「Fly」は長すぎたのでフェイドアウトしました(汗) この曲はヴォーカリストさんからも歌詞を付けたいと申し出があるので、また新たな形で聴いていただけるかもしれません。 ◆4.Parade ---ドラマティックなストリングスから始まり、これまた美しい響きに身を任せたくなります。 いろんな楽器が重なり合いゴージャスなサウンドですね!切なさ・哀しさもありつつ華やかさもある不思議な曲と感じました。 日野林:自分にとってはオリジナル曲は自分の分身なのでどれも大切なのですが。とても思い入れのある曲です。 実は2nd CD作成時には完成していた曲なのですが作品として残すにはどうしてもストリングスを入れたくて。。 諸事情という予算上の理由により2作目には収録しませんでした。 色々な人と繋がって人生は「Parade」のようだな。っと思って書いた曲です。 ◆5.Night Music ---心地良い4beatで、この曲をライブハウスでじっくり聴いたら楽しい夜になるだろうなあと感じました。途中からラテン調にリズムがちょっと変わってくるのも面白いアレンジ。日野林さんのサックスは伸びやかで、楽しそうに吹いていらっしゃる感じが伝わってくるんですよね。特にライブで聴きたい曲です。 日野林:この曲はサックスソロがないから気楽にメロディを演奏する事を楽しみました(笑)。 とは言ってもソロはマイナーブルースなのですが。 ライブではソロも吹いてますがレコーディングでは全体の尺のことと「バンド」という形に拘りたくてあえてサックスソロはなし!! 今はほとんどないキャバレーバンドのサウンドをイメージして作りました。 ◆6.Thread A Maze ---Night Music とは雰囲気が一転、ちょっとハードな曲ですね。NF4のサウンドの幅広さを感じます。 日野林:ギターという楽器はとにかく存在感が強い。 今まではギタリストとの共演は(このバンドに関しては)あえて避けて来たのですが。 8年間やって来てギタリストが入っても「NF4」のサウンドに揺らぎはない!という自信から作りました。僕自身ギターフュージョンは大好きでしたし。 ◆7.季節のかけら ---ゲストの中野渡章子さんのVocalが素敵ですね。中野渡章子さんはどのような方なのですか? 今回ゲストヴォーカルに決まった経緯は? 哀しいラブソングですね。歌詞はどなたが作ったのでしょう。 日野林:作詞は中野渡です。僕の書いたメロディに素敵な詞を乗っけていただきました。 音数が多くて苦労したようです(苦笑)。 中野渡もジャズを中心に幅広く活躍している素敵なヴォーカリストです。 僕自身はシャウト系のヴォーカルが好きだったのですがちょっと抑えた感じで表現してくれる彼女のヴォーカルがNF4ではない場所で共演した際にとても魅力を感じて。 それ以降度々共演してもらってます。 今回彼女との共作を作品に出来た事はとても嬉しく思ってます。 ◆8.Beats ---面白い曲!ジャングルビート→アップテンポの4beat→bossa調など、リズムがめまぐるしく変わるんですね。 楽しくて聴きあきないです。こちらもライブで聴きたくなる曲ですね! 日野林:はい。その通りです。 目まぐるしく変わるリズム。曲名は「Beats」しかないと思いまして。 おっしゃる通りライブでは更に激しく長尺に盛り上がります。 是非ライブでも聴いて頂きたいです。 ◆9.May ---しっとりした切ないスローバラードでアルバムの締めくくり。ストリングスにのせたサックスの音色とメロディーが美しく、聴いていて心が落ち着きます。 日野林:アルバムの締めくくりはしっとり終わりたいを思いまして。 このアルバムを作成してた昨年。公私共にいろんなことがありまして。この曲を書いた5月にはここでは言えないような出来事がありました。 個人的にも派手さはないですがお気に入りの曲です。 ---このWEBマガジンの恒例企画です。 日野林さんにとってのCheer Up!ミュージックを教えて頂けますか? 日野林:Cheer Up!ミュージック。難しいですね。 自分自身もルーツでもある何人かのアーティストを挙げたいと思います。 サックス:カーク・ウェイラム、デビッド・サンボーン バンド:フォー・プレー シンガー:吉田美奈子さん、山下達郎さん これ以外にも数あまたあります。 ---今後の展望と夢について伺えますか? 日野林さんご自身の展望、NF4としての展望両方伺えればと思います。 日野林:僕個人の展望としては。。。 サックスが上手くなりたい。。 出来れば楽して。。。 っと言うのは嘘ですが。 ジャズのスタンダード集とかも作品として残してみたいですね。 NF4としては。 もっともっと多くの人にインスト(歌のない楽曲)の魅力を届けたい。 歌詞のない音楽が難しいものだと思わせたくないですね。 もちろん歌物も大好きなのですが歌詞がなくても伝えられるものがたくさんあります。 それを感じてもらえるような音楽をもっと出来たらいいですね。 NF4はライフワークです。次作も楽しみにしていてください!! ---どうもありがとうございました。もっともっとNF4の音楽を聴きたくなりました。次作も楽しみです! 『Third Party』NF4 1.Third Party 2.Fly 3.Levitation 4.Parade 5.Night Music 6.Thread A Maze 7.季節のかけら 8.Beats 9.May 発売日:2019/05/30 規格品番:BQR-2075 レーベル:BQ Records ◆NF4 プロフィール: 日野林晋(Tenor & Soprano Sax) 小畑智史(Pf,EP,Org,Syn) 石井圭(El & Ac Ba) 黒田慎一郎(Ds) 2011年に結成。2013年に1st CD「Views Of Peace」2016年に2nd CD「Wandering」をリリース。 東京を中心とし日本全国でライブ活動を行う。2018年にはホールでの単独コンサート、西日本、東北へのツアー、すみだストリートジャズフェスティバルなどへの出演を果たす。 個性的でありながらも耳馴染みの良いメロディーに溢れた楽曲、熱いステージパフォーマンスは各地で好評を博す。 NF4 Official Website https://sx90rbpshadow.wixsite.com/mysite NF4 Facebookページ https://www.facebook.com/NF4music/ NF4 Twitter https://twitter.com/official_nf4 ◆日野林晋(ひのばやしすすむ) プロフィール: 高校時代より吹奏楽部にてサックスを開始。 クラシックサックスを円田勇一氏に師事。 大学進学後は中央大学スイングクリスタルオーケストラ(ビッグバンド)に所属。リードアルトサックス、コンサートマスターとして活躍。 ジャズサックスを大友義雄氏、堀恵二氏に師事。 その後、フリーのサックス奏者として活動中。 現在はリーダーバンド「NF4」でのライブ活動を中心に、スタジオレコーディング、パーティー、イベント等の演奏等また、アレンジ等で活動中。 またメイト音楽院小岩校サックス科講師、スガナミ楽器永山校サックス講師として後進の指導にもあたる。 hinorinのブログ https://ameblo.jp/hinoring/ https://twitter.com/hinorin ♪最新Live情報 NF4ライブスケジュール 詳細は日野林さんのブログにてご確認下さい。 2019年8月16日(金)八王子グランデセオ 2019年8月25日(日)鎌倉ダフネ 2019年8月30日(金)宇都宮Fellows 2019年8月31日(土)群馬主音求U(スィングセカンド) 2019年9月20日(金)六本木バードランド 2019年9月26日(木)福島Club EX 2019年9月27日(金)仙台Crosby 2019年9月28日(土)山形Miyauchi2632 2019年10月9日(水)蓼科ピラタス2 2019年10月10日(木)関内A.B.Smile 2019年10月17日(金)関内Bar Bar Bar <Cheer Up!関連リンク> 特集 Selim Slive Elementz 「私の好きなマイルス」寄稿(2019年) http://www.cheerup777.com/sse2019/selim2019-6.html#section17 「私の吹部時代」寄稿(2017年) http://www.cheerup777.com/miyagi/suibujidai_hinobayashi.html |