未知らぬ街に現れた女の子「ポプリ」が、街で出会った白猫「サシェ」と共に繰り広げる物語というユニークなコンセプトを持つユニット、ポプリ。 2016年に「特集 Japanese Guitar Pop」に登場下さってから3年、ついに1stアルバム『ポプリとふわふわ物語』がリリースされました。ポプリの結成秘話や、れいなさん・ササキさんの音楽ヒストリーについては、ぜひぜひ2016年のインタビュー記事をお読み頂きたいです。 今回は、既に話題沸騰中のアルバム『ポプリとふわふわ物語』について、れいなさん・ササキさんに詳しくお伺いしました。楽曲制作エピソードをたっぷり語って下さったので、この記事を読みながらアルバムを聴いて、ポプリの魅力を存分に味わって頂ければと思います。ポプリのお2人が、このインタビュー記事用に描き下ろして下さったイラストも必見です! また、ポプリとゆかりの深いシンガーの小林しのさんからコメントを頂きました。(2019年5月)
<ポプリ インタビュー> <コメント>
---2015年の結成以来ライブの回数も着実に重ね、ファンも増えていったポプリですが、みんなが待ち望んだ1stアルバムが遂にリリースされましたね。いよいよアルバムを出そう!ということになった経緯について教えて頂けますか? れいな:Cheer Up!さん、2度目のインタビューありがとうございます! 完成音源もまともになかった3年前…まだまっさらな時にインタビューしていただき、とっても嬉しかったのと同時に、未熟さだらけな回答になってしまい、もう一度ちゃんと回答しなおしたいな〜なんて思っていたところに、改めてインタビューのお話が来て、とっても嬉しく思っております! 2019年4月24日に、いよいよポプリの1stアルバム『ポプリとふわふわ物語』を、おかげさまでリリースすることができました。 前回のインタビューでも少しだけ触れていますが、ポプリは2015年初頭ごろに、れいなが、キャラクターのいる音楽がやりたい、だとか、インディーズでCDを出してみたい、というわがまま(笑)をササキアツシさんにぶつけて結成されたユニットです。 一番最初に、ポプリのキャラクター画と、「わたしの名はポプリ」の1曲デモ音源ができてからというもの、なんだかんだ他のことが忙しくなってしまい、ポプリは何の進展もせず、目標もなく、リリースの予定も立たずにいたのですが、2016年春、ちょうど良いタイミングで、小林しのさんの『Looking for a key』のリリースが決まり、そのレコ発ライブイベント「ギターポップレストラン」の主催ナカムラカズミさんが、「しのさんにご縁のある方を対バンとして呼びたい」と、ササキアツシさんに声をかけてくださりました。 ナカムラさんはおそらくササキアツシさんの別ユニット、「melting holidays(以下メルホリ)」を想定してお声がけしてくださったと思うのですが、最近「ポプリ」というユニットを始めたのでそちらで出させてもらえば、という流れで、まだ曲も少ない中、ポプリのバンド初デビューが決まりました。 その後、しのさんの所属するphilia recordsのイベントにポプリを呼んでいただけることが頻繁にあり、その度に新曲を作っていたら、CDをリリースしていないのに曲だけどんどん増えていってしまい、気づいたらそのまま4年近く経過しておりました。 ライブの物販に何もない、ライブ会場以外でポプリの曲を聴いてもらえないのは寂しかったのと、いよいよCD1枚作れてしまいそうなくらい、曲がたまったので、満を持してリリース、という感じに至りました…! ササキ:Cheer Up!さん、ありがとうございます! あれから早いものでもう3年になるんですね。当時ストックがまだ4曲くらいしかない始まったばかりの、活動実績も殆ど無い状態のユニットにインタビューして下さって感激でした。 言葉で語るとついつい誇大妄想の様になってしまうので、作品を形にして送り出せて嬉しいです。 ここに至るまでの思いや葛藤は沢山ありました。 私は何度か語っていますが、自分の作品や名前が残る事よりも、れいなさんの作品が世に出て多くの人に知ってもらいたいという事がポプリの活動初期から一貫してありました。 私が2011年にtwitter上で偶々れいなさんの作品を知った時に感じた衝撃のようなものを他の人にも伝えたいという思いがあります。 私はれいなさんの作る世界観や作品や感覚をとても尊敬しています。 生まれ育った時代もバックグラウンドも違いますが、それが却って良い化学反応・魔法が生じた様な気がします。 ---曲はライブやデモでお馴染みのもの(「わたしの名はポプリ」「しろのふわふわ」など)もありますが、このアルバムのために新たに作った曲もあるのですか? れいな:もちろんあります!CDのプロローグ、エピローグのような、フルートの音色をフィーチャリングし、アルバム内の曲のメロディを引用したインストゥルメンタル曲や、もちろんボーカル入りの曲も3曲ほど、アルバムのために作りおろしております。 ササキ:多くの曲はライブの度に新曲として少しずつ増えていったものですが、今回アルバム用に生まれた曲は、先にれいなさんが語ったようにアルバムの最初と最後に挿入されているインスト音楽、それから小曲の「ねこかん」それと「バジルパスタは裏切らない」、「雪の日の公園」です。 私は5th dimensionの『the magic garden』の様な物語を感じるアルバム、コンセプトアルバムが大好きで、今更ここで語るのも恥ずかしいですが、the beachboys『pet sounds』、the beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』、Electric Light Orchestra『time』、jellyfish 『spilt milk』etc… 挙げ始めたらきりが無いですが、こういったものが好きで、でもれいなさんにはそういう話を特にしていなかったのですが、プロローグのフルートアンサンブルである「オレンジ色の街並み」(わたしの名はポプリを3拍子にしてフルートでアレンジ)をれいなさんが作ってきた時に感動しました。これは思っていた以上に物語のあるアルバムになる!と思いました。 れいな:…自画自賛しすぎじゃない…? ---れいなさん、ササキさん、それぞれに同じ題材(ポプリとサシェ)で作詞作曲なさっています。アルバムの中で聴くと統一感がありカラフルなのですが、ちょっとだけ色味が違っているところがまたいいなあと思うんですよね。例えるなら、グラデーションの中のわずかに違う部分を切り取っているかのような? お2人それぞれに描く楽曲により、主人公ポプリの内面が多角的に描かれているなあと思いますし、そのバランスが絶妙です。れいなさん、ササキさん、お互いの作る曲についてはどう感じているのかな?と思いました。 れいな:わたしがササキさんと知り合ったのは、メルホリよりもっと後、ササキさんがボーカロイドプロデューサーの「あつぞうくん」として活動していた時でした。 メルホリ時代の曲、あつぞうくん時代の曲、合わせて聴くとかなり曲幅も広く、キャッチーなメロディを作るための研究を欠かさない、というイメージがありました。しかし、どんな曲調でも温もりを感じるのがササキさんの曲のよいところだと思います。 ササキ:れいなさんを知ったのは、先にも挙げた通り2011年のことでした。 twitterのリンク先に3曲程オリジナル曲の動画があって、全て作詞作曲イラスト映像がれいなさん自身の手で作られていました。 私自身、ある程度長く生きているのでそれなりに沢山の音楽やイラスト映像を見聞きしてきていて、クオリティの高いものは世の中に沢山あるのを見てきましたが、この3曲の映像を観た時、自分には無いセンスを感じました。 このかわいいものはなんだろう?!っていう感想でした。 当時の私は創作に対して無意識の内に偏屈に、より高度で複雑でなければという脅迫観念めいた気持ちを抱いていたのですが、れいなさんの作品はシンプルだけど明るさとユーモアとかわいさがあり、目が覚める様な思いでした。 ---ここからは1曲ずつお伺いします。 ◆1. オレンジの街並み(作曲:ササキアツシ/編曲:れいな) ---2016年のインタビューで、お2人のイラストをたくさん掲載させて頂きましたが、まさにその世界が音で見えてきてびっくりしました。 れいなさんのフルートがアルバム全般に美しく響いてます。いつもかなり練習なさっているのでしょうね〜! れいな:ありがとうございます!怒られそうですが、練習はまっったくしてないですね…。 練習どころか、平気で半年以上、楽器に触らないこともざらにあります(笑)。 ライブが近くなるとリハビリに音出しをするくらいです…。 ササキ:この曲はフレーズの元こそ「わたしの名はポプリ」ですが、ほぼれいなさんが一人で仕上げています。 4拍子の曲を3拍子に組みなおすというのはわりとよくあるアレンジ手法の一つかもしれませんが、組みなおしたときに再構築するのに経験と勘が必要な気がします。 これが出来上がってファイルをもらったときに感激しました。自分の作ったメロディがこの様な形に生まれ変わるとは! そしてこれがアルバムに入ることで一気に雰囲気が変わる!と思いました。 れいな:あー、私は吹奏楽を10年間、内7年間フルートを吹いてきているので、せっかくならと、全てのトラックをフルートで吹いた、いわゆる「フルートアンサンブル」構成の曲になってます。 打ち込みなどの伴奏や、バンドをバックにフルートがいるポップスは割とあると思うのですが、フルートの多重録音でオリジナル曲をやっているポップスユニットはあんまりないだろうなと思い、やっときたい!と思っていたことの一つを盛り込んだアレンジですね。 ◆2. わたしの名はポプリ(作詞・作曲・編曲:ササキアツシ) ---ポプリとネコのサシェが出会う、ポプリの世界の紹介のような曲ですね。 デモから聴かせて頂いていましたが、美しいメロディにサウンドで心が弾みます。そしてササキさんのアレンジの見事さも光ります。 ササキ:ありがとうございます!この曲は一番最初に作った、ポプリ最初の曲です。 デモを経てfree samplerバージョン(「しろのふわふわ」と2曲入り)を2015年の秋にM3(注:音系・メディアミックス同人即売会)で配布したり、私が転換DJをした時出演者に片っ端からプレゼントしまくった思い出の曲です。 毎回3年ライブで演奏し続けてきたので、その都度サポートの素晴らしい奏者の皆様に磨かれてきたおかげでアレンジも進化しました。 アルバムのバージョンは実際には多くのパートを私が担当していますがライブでの経験が確実に影響を与えています。 れいな:最初のフリーサンプラーは100枚限定…だった気がするのですが、そのデモの状態のまま4年間、DJやお店でBGMとして時々流していただいたり、何かと根強く生きていてくれて、すごくありがたかったですね…。 それがモチベになってCDが出せたのもあります。 ◆3. らんたかパレード(作詞・作曲・編曲:れいな) ---ベースラインもギターソロもめちゃくちゃかっこいいですね。れいなさんの作曲の幅の広さがすごいです。 この曲で一気にこのアルバムの世界、ポプリの世界に惹きこまれます。 れいな:個人的にはロックンロール!がやりたいなと思って作った曲です。 この曲のギターは、メルホリのタサカキミアキさんにお願いしているのですが、メルホリ時代の楽曲を聴くと、おしゃれなコードや、ミドルテンポの可愛らしい曲が多かったので、失礼ながら、タサカさんに、突然こんなロックンロールなソロを丸投げお任せして大丈夫かな…と思っていたのですが、むしろタサカさんは、以前ビートルズのコピーバンドをやっていたこともあり、こちら方面の楽曲にものすごく強いそうで、期待の遥か上をいくかっこいい仕上がりになりました。 タサカさんのお力添えがものすごく大きい曲です! 野良猫のサシェの日常、主人公のポプリと賑やかな街、そんな風景を描きたくて作詞をしました。 ササキ:これはとてもれいなさんらしい曲だと思います。 私はロックンロールもブルースも作った事がなくて、こういうポップな感じに落とし込むのは難しいんじゃないかと思うのです。でもれいなさんはやりましたね。 イントロからBメロまでロックンロールな雰囲気で来てサビで転調してシャッフルのポップスになるという、うまく纏めないと収集がつかなそうな感じなんですが、サビの「らんたか らんたか」というメロディもインパクトあってバランスとれてていい曲だと思います。 ◆4. 星空のバニシングポイント(作詞・作曲・編曲:ササキアツシ) ---コード進行の美しさ!ソフトロック好きにはたまらない曲です。 ユメトコスメの長谷泰宏さんのピアノも美しいし、れいなさんのフルートも曲を盛り上げていて、本当に心が弾む曲。 そう、まさに"心弾む楽しい曲"が多いことも、このアルバムの魅力だと思います。 ササキ:この曲はソフトロック・ポップス好きなら誰もが気付いてくれるような仕掛けが施してあります。 れいなさんの提案でもあります。基本リズムパターンと転調の仕方を引用しただけなんですが、元のメロディに一切触れずにある特定の曲を想起させるというのをやりたかったのです。 答え合わせは是非アルバムで! ◆5. カモミールティータイム(作詞・作曲・編曲:れいな) ---おもちゃ箱をひっくり返したような効果音が楽しい!れいなさんのアイデアですか? どんなトイを使っているんでしょうね。ワクワクしっぱなしです。 お茶を飲みながら友達に手紙を書く時に聴きたくなるような曲。 れいな:わたしがもともと、ラグタイムやブギウギ、トイポップが大好きで、かいた曲です! ピューンという音は「サイレンホイッスル」、音が上下する笛は「スライドホイッスル」、ぷっぷーという音は、子供のピコピコサンダルなどに使われる「鳴き笛(というらしいです)」を使ってます。あとはトイピアノなど。 割とわたし個人制作の曲でも使うことが多く、お気に入りのトイ楽器たちです。 わたしは自分の好きなものを曲に落とし込むことが好きなのですが、友達がカモミールティーの茶葉をプレゼントしてくれたことがあり、それをきっかけに歌詞を作りました。 ササキ:お察しのとおり、れいなさんらしさが一杯の曲です。 この曲はもっとも根源的な部分でれいなさんらしさを表していると思います。 2011年の衝撃はここにも生きています。 れいな:もともと効果音が入ってる曲がめちゃくちゃ好きなので、その2011年ごろ…私個人で作ってた曲もそういうのが多かったんだと思いますね。 ◆6. デイジークレイジー(作詞・作曲・編曲:ササキアツシ) ---このアルバムの魅力の一つがギターポップ、インディーポップと呼ばれるジャンルのサウンドの要素と魅力がぎゅっと詰め込まれ、惜しみなくリスナーを楽しませてくれるサービス精神にあふれていること。 疾走感がすごいですし、宍倉充さん(Lark)のベースもすごくかっこいいです。 ササキ:この曲は唯一出自がポプリ曲ではないという貴重な一曲です。 2012年暮に発表したボカロのバージョンが最初にあって、それをれいなさんが気に入ってくれて今回採用になりました。 歌詞もポプリの世界観に合うようにれいなさんのアレンジが加えられています。 私はギターポップは浅いのでよく知らないので大それた事は恥ずかしくて言えないですが、たしかに自分なりに解釈しているギターポップ路線を大いに意識して作られています。 速いBPMで転調しながらシンコペしながらギターは歪んでいてベースがルート音を頑なに避けて走り回る、というこのカテゴリ好きなら一度は誰しもやってみたくなる筈のアレンジです。 いやー柄にも無いことやってしまってちょっと照れくさい。 こんなベースは当然自分では弾けないのですが、Larkのみっつーさんはさらっと、ライブでも弾いてくださってすっごいです。感動です。 ◆7. ゆうぐれパッチワーク(作詞・作曲・編曲:れいな) ---アップテンポの4beatで、1日の終わりの寂しさ切なさ、明日への希望、楽しい名曲ですね。 れいなさんのフルートソロかっこいい!ストリングスの美しさ、長谷泰宏さんのピアノの美しさ。 綺麗な夕焼けが目に浮かびます。 れいな:去年2018年12月に、私れいなが、ワンマンライブをやったのですが、その1コーナーとしてポプリのバンド演奏タイムも設けてあり、そこで初披露するために描いた曲です。 (ライブばかりやっているせいで同じセットリストばかりになりがちで、何度も見に来てくださっている方には飽きがきてしまうのではないかと思い……) 新曲をかいたら、サポートの方に練習していただくために早めにデモを渡さなくてはいけないので、あわてて、2〜3日で書き上げた記憶があります。 イントロもアウトロもフルートがいないくせに、ソロだけ突然しゃしゃり出てくる、私のワンマンらしい私のおいしいとこどりの曲です(笑)。 もともと高速BPMのシャッフルビートの曲が大好きなので、曲調は自分の好き、を詰め込んであります! ワンマンライブで演奏して見たときに、思ったよりもすごく映えて、あの空気感のままCDに落とし込みたい、と思い、ストリングスとフルート以外のトラックは、すべてゲストプレイヤーの皆様にお願いしました。 ピアノ、ベース、ドラム、ギター、生音いっぱいの、かなり豪華な曲です! コード進行から書きはじめたのと、シャッフルビートでジャズのような雰囲気が微かにあるので、長谷さんのピアノがかなり鍵となってくる楽曲なのですが、さすが長谷さん、遊びやかっこいいフレーズををたくさん入れていただき、きらびやかなアレンジになりました。 ササキ:この曲は私はアルバムでの演奏やアレンジは何もしていません!なので相当高純度なれいなさんの世界です。 とはいえフィクサーとして暗躍しました。れいなさんのOKをもらう前にサポートの皆様に弾いてもらいたいという相談をして回りました。 何故なら練習の時の録音があまりに素晴らしかった。 このメンバーで弾いているのをアルバムにも形として残しておきたいと強く願いました。 素晴らしい曲です。ベストトラックといえるかもしれません。(私は何もしていませんが…) ◆8. ねこかん。(作詞・作曲・編曲:れいな) ---ほっこりさせられる、面白い小品。れいなさんとササキさんのコンビネーションも抜群。 もっと聴きたくなるのに終わっちゃうところがまたいいですね。 れいな:「デイジークレイジー」、「ゆうぐれパッチワーク」と、高速テンポが続いたので、ぐっと休憩タイムです!(笑) ポプリとサシェの生活をここまで曲の中で描いてきたので、今度は、なんだか「二人の対話」のような曲がほしいな思って書きました。 ササキ:前曲とは打って変わって作曲と歌、鈴以外は私も大活躍しております。 れいなさんの歌は演技力といいますか、キャラクター性みたいのが非常にあってすごいなーと思います。 れいな:「大」活躍してるんだ(笑)。 まあ…ギターもベースもササキさんが弾いてくれてるしね。 ◆9. 雪の日の公園(作詞・作曲・編曲:れいな) ---楽器の音色が凝っていて、美しいイントロにかなりグッときました。 フルートも効果的。ここまで聴いて、もしかしてこのアルバムはポプリとサシェの一年なのかな?と思いました。 れいな:あ、たしかに、お花が咲いていて春っぽかったり、赤い夕日だったり、雪が降ったり、まるで1年みたいな感じですね! この曲は、実は新キャラの、「コロン」という女の子目線で書いた曲なんです。 ポプリに新しい友達を作りたいと思って。 突然現れて、街のあちこちを走り回って、楽しそうにドタバタした生活を送るポプリを遠くから見ながら、お話ししてみたいな、とこっそり思っているような曲です。 じつはこの物語、半分ノンフィクションで、私が小学生の時に、雪が積もった日、絶対みんな小学校の校庭に遊びに来るはずだ(学校に家が近い)私の好きな男の子も来ているかもしれない!とおもったエピソードが元です…。 コロンも、雪が積もったからきっとポプリが公園に来るはずだ!って。 まぁ私の話は、実際、雪溶けて校庭しゃびしゃびで誰もいませんでしたけどね(笑)。 ササキ:この曲は歌詞がすごく良いなと思って。 登場人物の気持ちがとても反映されていて、物語のピークで「ともだちになりたいな」という歌詞がメロディーの音の高さのピークを迎えながらピッタリのメロディと共に押し寄せるのですごく心に残りました。 未発表ですが別バージョンを作ってしまうくらい気に入った一曲です。 ◆10. バジルパスタは裏切らない(作詞・作曲・編曲:れいな) ---この曲を聴いたらバジルパスタを食べたくなることうけあい。早口言葉のような楽しい歌詞にワクワク。 絵本や動画で見たくなるような場面です。ポプリは視覚(イラスト)も楽しめるけれど、まさに五感を刺激してきますね。聴いてておなかが減ってしまいました。 れいな:これも、私の好きな食べ物を曲に落とし込んだものです! (実は一番好きなのはペペロンチーノなんですが、ちょっとニンニク臭いかなと思い…(笑)) 街に迷い込んだポプリが、これからどうやって生活していくのかをすこしづつ描いて繋げたくて、野良猫サシェが餌をもらっているレストランで、いいなあと眺めていたら、あなたも食べていく?と、賄いをもらえる…っていうエピソードです。 ササキさんは、「渋谷系」と呼ばれる音楽に強い方なので、そちらのファンにも楽しんでいただけるように…私なりに渋谷系風にチャレンジしてみた曲でした。(難しかった。リベンジしたいです。) Bメロの早口っぽいところは、私のルーツである、萌え系アニソンなどから受けた影響が出ちゃってるんだと思います。 ササキ:こういうのも私的にはソフトロックだと思います。 イントロのパッパッパパ〜っていうのとか。そこだけコーラス歌わせてもらいました。一人多重コーラスは楽しいですね。 1990年代の渋谷系(括る範囲は難しいですが)は私にとってはあまりにもアイドル過ぎて神過ぎて畏怖の念が強すぎて口に出すのが憚られる程のタブーです。禁忌です。 とはいっても今は一般名詞の様に普及しているような気もしますね、当時若者だったある特定の世代の一部の人間には特別なだけなんでしょうね。 再び閑話休題。アルバム制作末期にれいなさんが提出してきた曲で、駆け足でギター、コーラスの録音ミックス作業をしてれいなさんに返して反応を聞いて手直し、というのをついこの前にしたっていう気がしますね。 れいな:神だと思うなら取り入れればいいと思うのに、遠ざけるんだ? そういうの私にはわかんないなあ…。 ◆11. パラソルフライヤー(作詞・作曲・編曲:ササキアツシ) ---賑やかで底抜けに楽しく盛り上がったかと思うと、ササキさんの曲でぐっと切なくなり、力強さも感じたりして、本当にお2人のバランスの素晴らしさを感じます。そしてササキさんの作品には「俯瞰」の感じもありますね。 ササキ:作ったのが2017年の初頭なので結構前になります。 これも1960年代的なものを、と思って作りました。この時代のヒット曲はやけにシャッフルビートの曲が多いような気がして、好きな曲のかなりの割合がシャッフルです。このビートは楽しいですね。心がうきうきしてきます。 仰るように私はどこか一歩引いた視点で遠くから物語を、作品の構造や置かれている位置を眺めているような気がします。 それは少しさめた視線なのかもしれませんが、自分が年齢を重ねてきたうちに身についた感覚なのかもしれません。 ◆12. しろのふわふわ(作詞・作曲・編曲:れいな) ---ライブでファンも盛り上がる人気曲。改めてアルバムを通して聴いてみると、ポプリとサシェはこれからも一緒に過ごすんだな、良かった!と安心させられました。 れいな:に、人気だなんてそんな…ありがとうございます…! 早いテンポで、フルートをガンガン吹けるので私もライブでやるのは楽しいですね。 多分ポプリで、2番目に完成した楽曲だったので、もうすっかり作った時のことを忘れてしまったのですが、当時仕事で、閑古鳥が鳴いているバーゲン会場で、延々と服をたたむ仕事をしていて、暇すぎて頭に思い浮かんだ曲だったことは覚えています…。その時に思いついて忘れないように家に持って帰った記憶があります。 ササキ:ポプリの代表的な一曲を挙げてくださいといわれれば「しろのふわふわ」です。 このサビの力強さ、印象的なフレーズ、これはわたしには作れないものです。 こういう要素を持ってきてくれるのがれいなさんの強みです。 ライブで演奏していてもこの曲は一番楽しいですね。 毎回最後に演奏するんですが、心の中で「まってました!さ〜弾くぞう〜」とウキウキしながらギターをストロークしています。 ◆13. 春風のエピローグ(作曲:れいな/編曲:ササキアツシ) ---可愛いインスト曲。きれいな音色でアルバムの世界が終わります。ちょっと寂しくなったところにまたしろのふわふわが始まるのもいいですね。 ササキ:この曲は冒頭の「オレンジの街並み」と対の一曲です。 れいなさんが「わたしの名はポプリ」を元に「オレンジの街並み」を生み出したのと逆の構図になります。 れいなさんの「しろのふわふわ」を元に3拍子化してインストにしました。 これで今回のポプリの物語は一端御終い。また来週〜という感じです。 れいな:最初はメロディラインがギターだったのですが、それをやめて、メロディをフルートとトイ楽器にしたら、ぐっとポプリらしくなった気がしますね。 ◆14. しろのふわふわ -ピコフワ ver.-(作詞・作曲:れいな/編曲:ササキアツシ, れいな) ---ボーナストラックの位置付けでしょうか。ゲーム調のしろのふわふわもまた楽しくて新たな魅力を感じますね。 多彩な音楽ジャンルに造詣の深いお2人ならではのバージョンです。 ササキ:私が小学生の時にファミコンが発売されて、私も熱狂しました。 ゲーム少年でした。ビデオゲームの何が心を弾きつけるかというと、私はグラフィックや映像よりもむしろ効果音などのサウンドやBGMでした。 少年時代に文献を読み漁ってゲームの基盤に搭載されている音源の事を沢山調べました。 初期のビデオゲームに使われているチープな波形メモリ音源、PSG、FM音源は私の心の中で今も素晴らしいメロディを奏で続けています。 同時に鳴らせる音数が3〜4音という制約があって、そこでメロディ、リズム、コードを鳴らす、同じ制約の中でどれだけ個性や素晴らしさを出すか、それがメーカーやコンポーザーの魅力でした。 チップチューンはその魅力を抽出して継承しているカテゴリだと思います。 私がチップサウンドで曲をアレンジする事は殆ど無かったですが、自分がやるならば、と1980年代前半の記憶を辿りながらアレンジに携わりました。 とはいえこの曲の素晴らしいフレーズの大半は実はれいなさんが生み出しています。 間奏とかめちゃくちゃかっこいいんで最後まで聴いてください。 れいな:いや、嘘つけ、ぜったいチップチューン系の曲、いままで作ってるって!(笑) 私はファミコン世代ではないので、完全にYMCKさんとかの影響が強いですね。 チップチューンを使ったサウンドやアレンジってもう今や一つのジャンルになってますし、確かに元のゲームのバックグラウンドを考えれば制約などいろいろあると思いますが、私は全く気にしませんでした。好き放題ガチャガチャ鳴らしてます。 1度ササキさんに渡してアレンジしてもらって、それを返してもらって、さらに私が削ったり足したりしたので、トラックまでお互いに渡しあって編曲しているという意味では、アルバムの中で一番共作といえるトラックかもしれません。 ---ササキさん、れいなさん、それぞれに今後の夢や展望を教えて下さい。 れいな:夢は母を海外旅行に連れていくことです!…って違うか。 そうですね、すでに2ndではこんな曲調を入れたい!なんていうのが頭の中にあるので、これからもポプリの物語がいろんな形で続いていって、またCDを出すことができたら嬉しいです! ササキ:ポプリの物語をより具体的に表現していきたいです。 手始めにM3 2019 春で漫画の同人誌を出しました。 この先もこういった幅広い手段で作品を継続して発表していきたいと考えています。 そしてれいなさんの作品が広く世に知れ渡ってくれれば良いなと思っています。 れいな:あー、それでいったら私もフルカラー漫画だしたい。 アニメーションMVとかも作りたいですね。 あとは、歌とフルートと同時にトランペットも吹いたり、もっとみんなを驚かせるマルチさになりたいです。 ---たっぷり語って頂きまして、どうもありがとうございました!もう既にポプリの曲をもっともっと聴きたくなっています。2ndアルバムを楽しみにしております。 ポプリ 『ポプリとふわふわ物語』 【収録曲】 1. オレンジの街並み(作曲:ササキアツシ/編曲:れいな) 2. わたしの名はポプリ(作詞・作曲・編曲:ササキアツシ) 3. らんたかパレード(作詞・作曲・編曲:れいな) 4. 星空のバニシングポイント(作詞・作曲・編曲:ササキアツシ) 5. カモミールティータイム(作詞・作曲・編曲:れいな) 6. デイジークレイジー(作詞・作曲・編曲:ササキアツシ) 7. ゆうぐれパッチワーク(作詞・作曲・編曲:れいな) 8. ねこかん。(作詞・作曲・編曲:れいな) 9. 雪の日の公園(作詞・作曲・編曲:れいな) 10. バジルパスタは裏切らない(作詞・作曲・編曲:れいな) 11. パラソルフライヤー(作詞・作曲・編曲:ササキアツシ) 12. しろのふわふわ(作詞・作曲・編曲:れいな) 13. 春風のエピローグ(作曲:れいな/編曲:ササキアツシ) 14. しろのふわふわ -ピコフワ ver.- (作詞・作曲:れいな/編曲:ササキアツシ, れいな) レーベル:FLY HIGH RECORDS/philia records 発売日:2019年4月24日(水) 品番:VSCF-1770(FRCD-062) 価格:2,315円(税抜価格)+税 ●ポプリについて 作詞・作曲・編曲、ヴォーカル、フルート、イラストを担当する「れいな」と、同じく作詞・作曲・編曲、コーラス、ギター、イラストを担当するササキアツシによるポップ・ユニット。2015年初頭から活動を開始し、独自の世界観とポップなサウンドを前面に出した楽曲で人気を集める。 ●れいな Profile 物心ついたときから絵を描きはじめる。 吹奏楽歴計10年、内、ホルン3年、フルート7年。 その後もフルートは趣味で続けている。 作曲は大学時代から始める。 2011年、ボーカロイドを使用した楽曲をニコニコ動画に投稿し始め、2013年、編曲を担当した楽曲「きょうもしあわせ」がテレビアニメ「俺の妹がこんなにかわいいはずがない。」7話のエンディングとして公募採用される。 2017年には、女の子3人で作り上げた、VRゲーム「ハッピーおしゃれタイム」を、ハシラスインディーズよりリリース。アートディレクター、デザイン、ナレーションボイス、キャラクターボイス、劇中歌の作詞作曲編曲ボーカルを務める。 同人活動として、シンガーへの楽曲提供や、イラストの提供なども定期的に行なっている。 ●ササキアツシ Profile 渋谷系と呼ばれる音楽や、その背景にある洋楽、特にソフトロックなどの洗礼を受け、1993年頃より作曲の仕事をスタート。その後はPCゲーム、コンシューマーゲーム、アーケードゲームの音楽制作や、インディー・ポップ、メジャー・アーティスト、アイドルなどの作品に、楽曲アレンジなどで多数参加。2001年、自身のグループであるmelting holidaysを結成し活動。その後ヴォーカロイド用の楽曲制作や、初音ミクの開発企業であるクリプトン社からの誘いにより、早い段階から主催レーベルにアーティストとして迎えられ、iTunesなどで楽曲を発表。またセガ社のprojectDIVA,project MIRAIなどへの楽曲提供、ゲーム内BGMの制作なども行っている。さらにCOSANOSTRAや、小林しのなどの作品にもアレンジャーとして参加。 ●コンセプト 未知らぬ街に現れた女の子「ポプリ」が、街で出会った白猫「サシェ」と共に繰り広げる物語を、音楽とイラストで表現するユニット=ポプリ(れいな+ササキアツシ)。メンバーが2人とも楽曲を制作し、またサウンドやデザイン、イラストで表現することも出来るユニットであるため、他に類を見ない総合的なトータル・イメージをコントロール出来る点が最大の強み。 ●音楽的背景 ポプリは、ササキアツシが大好きな1990年代初頭〜後半にかけてのいわゆる「渋谷系」的サウンドと、そのルーツにあるネオアコやギター・ポップ、ソフトロックからの影響と、れいなが小・中学生時代に通過したアニソン、ゲーム音楽、電波ソング(ここにはかつての「渋谷系」に関わったアーティストが携わっている)、そしてアイドルや黎明期のネット文化、彼女が学生時代に参加していた吹奏楽やクラシックなど、雑多なバックグラウンドを持っています。世代も背景も違う土壌で育った2人が出会ったことで、新たな文化が生まれ、それを生かして作品制作を進められるのが、ポプリの最大の魅力であり特徴です。 ポプリ 公式HP https://www.polypropyle.net/popuri 『ポプリとふわふわ物語』特設サイト(philia records) http://philiarecords.com/%E3%83%9D%E3%83%97%E3%83%AA%e3%80%80new/ ポプリTwitter https://twitter.com/_pot_pourri_ ポプリショップ https://popuri-nya.booth.pm/ ポプリ「ポプリとふわふわ物語」のリリースに寄せて(近藤健太郎) https://note.mu/kentarokondo/n/n48d8e644b9cb ♪最新Live情報 ★2019年6月15日(土) 『6月のフィリアパーティ』 会場:三鷹おんがくのじかん 開場 16:00 開演 16:30 (20:00頃終了予定) 料金:\2700+1ドリンク 出演 : 小林しの(弾き語り) hajimepop red go-cart The Laundries ポプリ DJ : tarai お菓子 : milky pop <Cheer Up!関連リンク> ポプリ インタビュー(2016年) http://www.cheerup777.com/gp/potpurri.html 小林しの『Havfruen nat』 ササキアツシインタビュー(2019年) http://www.cheerup777.com/kobayashishino2019_2.html 特集:Japanese Guitar Pop トップイラスト制作 ササキアツシ(2016年) http://www.cheerup777.com/gp/gp1.html 小林しの『Looking for a key』インタビュー ササキアツシ コメント参加(2016年) http://www.cheerup777.com/shino3.html |