quasimode(クオシモード)の最新アルバム「My Favorite Songs」は、メンバーそれぞれが選んだ名曲を各自quasimode流にアレンジするという趣旨。 おなじみのあの曲がこんなアレンジで!?と驚かされたり楽しい気持ちになったりする素敵なアルバムだ。 今回はリーダーの平戸祐介さんにメールインタビューに応じて頂いた。(2014.4.29) ---レーベル"BLUE NOTE"の名曲をカヴァーした「mode of blue」もとても素晴らしかったですが、今回は誰もが知っているような多ジャンルに渡るスタンダード・ナンバーをメンバー自ら選曲・アレンジということでユニークなアルバムだと思いました。 平戸:ありがとうございます。前作「soul cookin'」から1年半が経ち、その間メンバーそれぞれが個人活動で経験を踏みました。 その経験をバンドにフィードバックできたら良いかなと思っていたところ、昨秋に九州の酒造メーカー、雲海酒造さんからCMのお話を頂き、イメージソングである「smoke gets in your eyes」をquasimodeで演奏することになりました。 その制作過程でレコード会社から「平戸さん、よかったらquasimodeでカバーアルバム作りませんか?」というお話を頂き、このプロジェクトがスタートしました。 選曲もメンバーが選曲したのですが、プロデューサーの小松さんと話し合い、当初は選曲の軸を「映画」だったり「BLUE NOTE」などと枠組みを設定したり、更にその枠組みを取っ払ったりして進めました。その結果、非常にバランスのとれた選曲になった気がします。 またアレンジは、選曲した本人が最後までアレンジ作業を担当する、という事をルールにしました。 なのでリハ、レコスタではおもしろい状況になってました。「平戸さん、ここはそうじゃなく、こうして下さい。」みたいな(笑)だけどそれがメンバーの「my favorite songs」になるので、コンセプトに忠実な的確な作業でしたね。 ---JAZZというと夜に聴きたくなるイメージを持っていたのですが、quasimodeに関しては朝一番に聴いて元気をもらっても良し、夜にリラックスしながら聴いても良しという魅力を感じています。このアルバムはまさにどの時間帯に聴いても楽しめますね。 平戸:そうですね。僕らがJAZZというものにあまり固定観念を持ち込んでいないというのもあると思います。 JAZZは幅広い年代の層に受け入れられて然るべき音楽だと思いますし、「JAZZ=夜」みたいなイメージも良いですけど、もっとナチュラルにJazzを楽しむ、そんな空気感を浸透させていきたいですね(笑)とにかく僕らの音楽を聞いて、少しでも皆さんの生活にSPICE UPできる音楽になってれば嬉しいです。 ---ここからは何曲か抜粋して伺いたいと思います。 1. High and Dry ---Radioheadの「High and Dry」という選曲が意外でしたし、アレンジも意外な雰囲気でした。 ベースの須長和広さんのチョイスなんですね。平戸さんのフェンダー・ローズにうっとりさせられます。公式サイトで公開されているMusic Videoもドラマティック! 平戸:ありがとうございます。そうなんです。須長の選曲です。彼は、もともとルーツにUKロックが入ってますから、実は自然な選曲なんです。 原曲が曲の構成パーツも少なく非常にシンプルな作りなので、メロディや、曲のもつ雰囲気を大切にしようと思い演奏しました。 最後のエンディングもコードの響きは、これまでのquasimodeにはなかったものですし、終わり方も非常にユニークになったかと思います。 3. Smoke Gets In Your Eyes ---雲海酒造『さつま木挽』のCMタイアップ曲ですね。 CMでは演奏シーンがとてもかっこ良くて、ライブに行きたい気持ちが高まります。 このアレンジはテンション上がります! 平戸:クライアントと相当やり取りしましたよ。これは。 このバージョンとコテコテなラテンバージョンを作りました。 この曲は通常、バラードで演奏される機会がすごく多いんですが。元気にポジティブなイメージで演奏しました。なかなかこんなスタイルで演奏してるものはないと思います。 ちょっと僕の中でも意外な出来でしたね。「カバーアレンジは原曲にとらわれてはいけない!」 初心忘れるべからず!!です。 4. Round Midnight 9. Cleopatra’s Dream ---平戸さんは今回ジャズ・スタンダードを2曲選ばれたんですね。 "Round Midnight"はアップテンポで軽快、今まで聴いたアレンジの中で一番楽しい"Round Midnight"だと感じました。ピアノがとても気持ち良さそうです。 "クレオパトラの夢"も、メロディーの美しさは原曲そのままに、ラテンのリズムに心弾みます。松岡さんのパーカッションも楽しそうですね。 平戸:そうです。僕は全身JAZZの人なので(笑) Round Midnightも先ほどの「Smoke gets〜」もそうですが、通常バラード形態で演奏される機会がほとんどというこの楽曲をここまでテンポを上げて演奏するのはかなり勇気が要りましたね。だけどメロディラインはそこまで崩していないので、それは上手く行ったかなと思います。 天国のmonkも腕組みして聴いてくれてますかね?(笑) クレオパトラの夢も通常の4ビートとラテンを組み合わせました。メロディラインにキメを作っていく事でよりメロディが浮き出たのではと思います。 よく考えてみたらバドパウエルとセロニアスモンクのカバーですね。 この機会に恵まれて本当に光栄です。この2人は超がつくJAZZ GIANTSですからね。 5. Overjoyed 10. Unforgettable ---スティービー・ワンダーの名曲"Overjoyed"と、ナット・キング・コールの"Unforgettable"は、ドラムの今泉総之輔さんの選曲・アレンジ。 ここでもやはり、quasimodeはスタンダードナンバーのメロディーの美しさを生かしつつ、意外なアレンジでリスナーを楽しい気持ちにさせてくれるところが素晴らしいと思わずにはいられません。 平戸:総之輔は、現在JAZZシーンでも大活躍してるんですけど、ルーツはヒップホップであったりブラックミュージックがルーツにある。 これも彼の素が出た選曲だと思います。当初は(ドラマーなのにOverJoyed?)と少し意外に思いました。 だけど総之輔は、彼のリーダーライブではジョン・コルトレーンの26-2だったりコルトレーンチェンジを使った名曲Body&soulを演奏したりするのを好んでるから、これも自然な流れなんだなと。 これらの曲は、所謂転調が頻繁というか尋常じゃないスピードで襲ってくるので非常に僕にとってもチャレンジなんです。 そういう意味で、Overjoyedもなかなかの難曲。Unforgettableもジャズの名曲ですね。これもヒップホップで使われてる楽曲であるので、彼のルーツにはうってつけの曲ですね。 いやー、チャレンジでしたよ。この2曲。 6. Love Theme From Sunflower 8. Can’t Take My Eyes Off You ---映画「ひまわり」のテーマ。パーカッションの松岡"matzz"高廣さんの選曲・アレンジです。 「ひまわり」がレゲエに?と驚きましたが、独特のベースラインやパーカッションのダブと切ないメロディが相性抜群ですね! 松岡さんのもう一曲の選曲「君の瞳に恋してる」もパーカッショニストならではの華やかなアレンジに心躍ります。 平戸:そうなんです。松岡はこういう「ひまわり」のような叙情的な曲のアレンジが、実は凄く得意。 打ち込んできた作業データが凄かったんです。ピアノの出だしが左手を多用したピックアップフレーズが凄くて感心しました。パーカッション奏者ならではですね。ピアニストには無い視点でアレンジが出てくる。 レゲエは彼のルーツです。ごくごく自然ですね。バンドとしても、以前にもseven colorsという曲をquasimodeで演奏していますね。メロディの崩し方も絶妙。 Can't take〜はこれぞquasimode!というサウンドだと思います。華やかな印象を与えられたと思います。 松岡はこういうイケイケの曲も得意ですよね。ラテンフレーバーに溢れた質の高いアレンジにできたかと。 ただ、これアレンジを形にするのが難しかった!(笑) ---このアルバムを聴いて、quasimodeの新たな魅力を知った思いがします。 「こんな曲もぜひquasimodeの演奏で聴いてみたい!」というリクエストも多いのでは? 個人的には「オルフェのサンバ」をquasimodeのアレンジで聴いてみたいです。 華やかなリズムにのって切なく美しいメロディーが展開する大好きな曲ですが、なかなか好みのカバーに出会えないでいます。 ぜひ第二弾も、またオリジナル曲の新作、メンバーのソロアルバムなどますます期待しております。 平戸:オルフェのサンバ!いいですね。 僕個人のライブではやったりしますね。良いメロディですよね、名曲ですね。 Jazzは、あらゆる機会でカバー演奏をする機会があるので、quasimodeとしてもこの曲含め、地道に精進していきます。ありがとうございます。 ---今後の予定は、6月に東名阪でライブがあるそうですが、それ以降にも何か決まっていれば教えて下さい。また、2014年の目標・抱負があったらぜひ教えて下さい。 平戸:とりあえず6月の東名阪。全力で疾走しますよ!!応援して下さい! 毎年ですが。良い音楽をプレゼンツできるようにがんばっていくだけです。 是非応援よろしくお願いします。 個人的には教える方も力入れていきたいと考えています。 レッスン講座もやっていますしね。 近頃、大学生位の若者から「教えて下さい!」ってよく声を掛けられます。 これはとても嬉しいですね、彼らが次の時代のJAZZを担っていってくれれば! 僕も負けずに頑張ります。 ---どうもありがとうございました。 ◆雲海酒造『さつま木挽』CMの映像はこちらでご覧頂けます。 http://www.unkai.co.jp/CM/video/satumalive.html ◆「High And Dry」のMVは公式サイトで視聴できます。 http://quasimode.jp/ ◆quasimodeディスコグラフィー http://quasimode.jp/discography/index.html 『My Favorite Songs』 1. High And Dry 2. Open Your Eyes 3. Smoke Gets In Your Eyes <雲海酒造『さつま木挽』CMタイアップ曲> 4. Round Midnight 5. Overjoyed 6. Love Theme From Sunflower 7. Day Dreaming 8. Can’t Take My Eyes Off You 9. Cleopatra’s Dream 10. Unforgettable 11. Calling You 発売日: 2014.04.23 品番:TYCJ-60055 品番:TYCJ-89001(初回限定盤) quasimode(クオシモード)プロフィール: メンバー:平戸祐介(piano,key)、松岡"matzz"高廣(perc)、須長和広(b)、今泉総之輔(dr) 2006年、1stアルバム「oneself - LIKENESS」をリリースしクラブ・ジャズ・シーンを席巻。 2009年「BLUE NOTE」レーベル創設70周年を記念したアニバーサリー・カバー企画の日本代表として、カバーアルバム「mode of blue」をBLUE NOTEよりリリース。同年、BLUE NOTEと正式契約を交わす。2012年バンド結成10周年を記念した初のベスト・アルバム「Four Pieces - The Best Selection」をリリース。同年アルバム「Soul Cookin」では、クレイジーケンバンドの横山剣をゲストヴォーカルに迎え話題になったシングル「Summer Madness feat.横山剣」のアルバム・バージョンを収録。 近年では平戸祐介が2012年にソロアルバム「Speak Own Words」を発表、松岡"matzz"高廣がユニット"Tres-men"のメンバーとして2013年4月に1stアルバム「Tres-men」を発表するなどメンバー各自の活動も盛んである。 FUJI ROCK FESTIVAL出演・ツアーなど非常に多くのライヴパフォーマンスをこなしながらアルバムもコンスタントに発表。常にチャートの上位を賑わせている。 ◆quasimode official web http://quasimode.jp/ ◆Universal Music http://www.universal-music.co.jp/quasimode ◆quasimode official blog http://ameblo.jp/quasimode/ https://twitter.com/quasimode_jp https://www.facebook.com/quasimodepage 最新Live情報 2014.06.15 (Sun) Live at Blue Note Nagoya 2014.06.17 (Tue) Live at Billboard Live Osaka 2014.06.30 (Mon) Live at Billboard Live Tokyo <関連記事> 平戸祐介インタビュー『Speak Own Words』(2012年) 新譜紹介『Soul Delivery Live -Shibuya AX-』quasimode |