1980年代、BLIZARD(ブリザード)のヴォーカリストとして一世を風靡した下村成二郎さん。現在は音楽制作会社の代表であり、様々なチャリティーイベントやLIVEにご出演。2012年からはベーシストの池田鷹浩さんと共にユニット『LION CODE』でも活躍している。
現在は仙台在住の成二郎さんに、幼い頃からBLIZARD時代そして現在に至るまでのお話をじっくりと伺った。(2014.9.17)


---LION CODE盛り上がってますね!今年1月にiTunes Storeから配信された3曲がどれもかっこ良くて何度も聴いています。全世界リリースなんですね!

下村:そうそう。まずやる時に、アメリカで出そうっっていうことになって。iTunesのアメリカの契約はすごくめんどくさい。でもなんだかんだでアメリカのアカウントでiTunesで出そうってことになって。
どっちかっていうと和のテイストをどんどんフィーチャーしていきたいんでね。


---そういえば「SASUKE」には三味線が入っていますよね。

下村:山影匡瑠くんっていう三味線奏者なんだけど、44マグナムのPAUL(梅原“PAUL”達也)のイベントで知り合って。それで一曲参加してよ、って感じになってね。
コンセプトは伝えてあったんで、そしたらどんどんレギュラーっていうかね。
ユニットとしては俺とHIRO(池田鷹浩)の二人なんだけど、だんだんメンバーが固定されてきたね。

いまドラムはSEX MACHINEGUNSにいたhimawari君が叩いてくれている事が多いかな??
ギターは仙台で一緒にやってた齋藤亮くん。彼は今は東京にいるんだけど。彼はクリス・ハートとか、けっこういろんなところで弾いてるかな。今回やる時に一番信頼できるギタリストだったんで。彼を誘ってなんだかんだやってもらってる。


---「ESSAIMU」のラップがすごくかっこ良いですが、このラップも成二郎さんですか?

下村:いやいや違う。英語はやりたくない人だから(笑)
あれはね、結局アメリカで出すときに、何を歌ってるかとか詞の内容は向こうはあまり気にしないんだけど、でも一応ストーリーを「この曲のポイントはここなんだよ」っていうこと中に入れたくて。
「SASUKE」のほうも、「SASUKE」のストーリーっていうか、詞以外のところで伝えたいものを入れるという感じで。


---「TORAWARE」がまた切なくていいですよね。成二郎さんのVocalにしびれます。今日は、成二郎さんの美声の秘訣を伺いたいです。

下村:いや、喉のケアはしたことないすよ!知ってのとおり酒ガンガン飲むし、煙草吸うし。秘訣なんて言われるのが一番困るんだよね〜(苦笑)


---意外です!

下村:ありのままに、ってやつ(笑)


---LION CODEは今後どのように展開させるご予定ですか?

下村:まず12月にミニアルバムを出す予定。
コラボの企画がいろいろ来ていて。少しずつ決まってきてるよ。


---LION CODE、今後がますます楽しみです。
さて、BLIZARD解散後は、東京で芸能事務所をやっていらして、その後仙台に移られたんですよね。その経緯は?

下村:元々は東京で声優とか抱えてやってたんだけどね。その後東京の会社を引き払って、人に任せてね。そのきっかけっていうのが、郡山で障害を持った子たちのプロジェクトがあって、そのプロデューサーを頼まれたんですよ。東京から通ってたんだけど、通いながらは出来ないなって思って。じゃあ郡山に引っ越すわ、ってことになって。
そのプロジェクトが終了して、その後どうしようかな?って思ったんだけど、こっち(仙台)の友達が来ないかって誘ってくれたんでね。ノリ?(笑)


---そうだったんですか!

下村:20年ぐらい前に、DATE FMってラジオ局が「FM仙台」だった時にね、番組持ってて。東京から通ってたんだ。半年ぐらい通ったかな。二週間に一回ずつ通ってて。
その時、仙台きれいなところだしいつか住みてぇなって言ってたらほんとになって(笑)

土地勘がないところにはなかなか住めないじゃない?知り合いがいるわけでもないし・・・。友達のミュージシャンは何人かいるけど。
仙台の街をレコード会社の人にいろいろ案内してもらってたから、大丈夫かな?、なんとなくアリかな?と思って。

桜前線みたいに北上してますけどね。次は北海道か?ってみんなに言われてるんだけど(笑)


---仙台から別のところに移るお気持ちもあるんですね。

下村:一つのところに縛り付けられるのは性格的に合ってないんだよね。


---facebookなど拝見すると、ほんとにいつもいろんな場所にいらっしゃいますよね!全国を飛び回っていらして。

下村:よくね「何の仕事なんですか?」って言われるけど、「職業"下村成二郎"だ!」って言ってんの(笑)


---いつも元気でパワフルなところが素敵だと思ってます。

下村:精神的に弱いほうではないと思う。けっこう強いほうかもしれないけどね。
なんだろう・・・楽しく生きてるのを人に見せたほうがいいな。
たとえばさ、昔GSブームってあった時に、24,25になると引退しなきゃいけないみたいな、それ以上やってる人いなかったじゃない?何やってんの?って感じで。そういうもんだと思ってたんだけど。
俺にとっては、サザンオールスターズとかさ、バンドの形態で「こんなオッサンになっていいんだ!かっこいいじゃん」って思って、なんかすごく勇気がわいたね。
すごく嬉しかったんだよね。ずっと続けていくっていうスタイル。ずっと続けていいんだ!ってね。とことんまでバカなことやってもいいって。

以前、仙台の専門学校でカウンセラーやってて。音楽科じゃない子たちは「あの先生なんなの?」みたいな感じがあるじゃない?髪の毛長くしてて。みんな結構真面目な先生たちだから。
「何?あの人バカじゃないの?」ってことをとことんやっていったら、その子たちが大きくなっても夢が持てるじゃない?「あんな大人でもいいんだ」みたいなさ。


---なんか分かります。私も29才のころすごく悩んでて、その頃hideさんのソロのライブビデオ見て、妙にふっきれたんですよね。
hideさん、JOEさん、KIYOSHIさん、Chirolynさん、DIEさん、みんなかっこいい!こんな30代になりたい!って。あの頃からロックがすごく好きになりました。

下村:うん、若い時だけのもの、って感じじゃなくなってるよね。
・・・そうだね、Xのメンバーとは仲良かったんでね。やっぱりhideの時はショック受けたし、TAIJIも・・・。TAIJIはうちのライブよく観に来てたからさ。hideもね。
うちのブリザードのギターのランちゃん(松川敏也)がhideのところでギター弾いてたじゃない?hideがもうランちゃんの大ファンで、「ソロでやる時にはランさんに弾いてほしい!」って。

しばらくXのメンバーには会ってなかったんだけど、ある時ね、ちょうどTOSHIがうちの専門学校に来て。オーディションかなんかやってたのかなあ。
久しぶりだなと思って「TOSHI!」って声かけたら、「あっ、成二郎さん!」なんつって。余計に「あの先生なんなの?TOSHIが敬礼してるよ」って(笑)「ねぇ、TOSHIが敬礼するなんて、あの先生何者なの?」って。
今の若い子たち知らないからさ。息子みたいな年齢じゃない?


---周囲の若い子でもメタルやハードロック知らないって人多いですね。

下村:だから現役で第一線を走り続けてるX JAPANとかすごいと思うよ。


---ここからは、成二郎さんの音楽歴をお伺いしたいと思います。
音楽をそもそも好きになったのは何歳ぐらいからですか?

下村:ちっちゃい時からだから、覚えてないね。
歌謡曲とか大好きだったし・・・。
で、さだまさしさんとかすごい好きになって。
高校になった時に友達にバンド誘われて。「ギター弾ける?」みたいな感じで言われて「弾けるけど?」って。
ディープパープルとかツェッペリンとかその辺のバンドでギター弾いてて、そのうち自分でバンド組もうと思って、そっからメンバーを集めて。本気でやってましたよ(笑)


---山口県からの上京はいつだったんですか?

下村:20才になってからかな?
で、けっこう早かったかな、デビューするのは。
6月に上京して、その年の12月には渋谷公会堂で歌ってた(笑)


---そして21才でBLIZARD加入。ライブやイベント、それにあの頃は音楽雑誌隆盛の時代で、取材なんかもお忙しい日々だったんでしょうね。

下村:うん、なんだかんだでえらく忙しかったね。
元々ブリザードはビーイングという事務所でね。
ブリザードが解散して、「ブリが切り身になってZARDが残った」って(笑)
ZARDデビューさせようってことになって、そのデビュー曲のカップリングはブリザードのカヴァー曲なんだ。「愛は暗闇の中で」っていう曲で、ブリザードの「Empty Days」ていう曲に彼女が詞を書いてね。
何年か前に、泉水ちゃんが亡くなった後で「名探偵コナン」の主題歌に使われたね。


---音楽の話からちょっと離れますが、成二郎さんの"元気の源"を教えて頂けますか?

下村:旅をすることかな。
好きなのはオレゴン州のポートランドかな?
福祉がすごく充実してるんだよね。厳しいし。
例えば犬とかを飼ったりするのも、ペットショップに犬を並べてないんだよね。並べたらもう虐待で捕まっちゃう。
犬を飼いたい人はまず面接して、犬をもらいうけるまで飼い主も訓練を受けなきゃならない。家族みんなで訓練してようやくもらえるんだけど、一人暮らしの人は経済力がないと犬を飼っちゃいけないの。なぜかというと、家の中に犬を一匹置き去りにして仕事に出たらだめで。どこかに預けることができる人じゃないと飼えない。
街の中を犬が散歩してるんだけど、きちっと飼い主が訓練してるからね。
だからね、店の軒先なんかに必ずペットフードが置いてあるの。「どうぞ」って感じで。そういうところがすごいね。

日本で何故そうしないのだろうと思ったのが、例えばエレベーターに乗った時に、各階で音がチンて鳴るの。目が見えない人は、何階に着いたか分からないでしょ?その音を数えれば何階だってわかる。簡単なことだよね。

面白いのが、ブルースフェスティバルとか音楽の大きいイベントをやってるんだけど、缶詰を2つ持っていけば日本でいう1000円とか1500円ぐらいで入場できる。缶詰を持っていかないと値段が一万円ぐらいかかるの。だからみんな缶詰を買っていく。それを路上生活とか食べられない人に配る。缶詰をみんなで2つ、ってことでね。


---一度ポートランドに行かれると長期滞在ですか?

下村:いや、そうでもないけど、もうポートランドに住みたいぐらい!
さすがに永住はできないから・・・でも好きな街だよね。
緯度は北海道札幌市と同じぐらいかな。夜9時すぎても明るいし、緯度おんなじなんだけど、なんでそうなんだろうね。すっごい不思議。

みんな生まれたところが好きなんだろうなと思うけど、俺は本当に山口が好きだからね。


---ご出身の山口県防府市はどんなところなんですか

下村:静かなところ。防府天満宮があって、瀬戸内の穏やかな波がすごく好きでね。

南の島なんかに行って、スローライフができればいいなあと思うけどね。
あとはよく郡山にも行ってる。友達が沢山いるからね。毎週末のように「石乃花」っていうお蕎麦屋さんに行ってるんだよね。
先週も行ったし、先々週も行ったなあ。去年は盆踊りで歌ったりとか。みんな普通でいてくれるから楽しい。


---最後になりますが、このWEBマガジンのタイトルは"Cheer Up!"です。
参加して下さる方々に"Cheer Up!"な音楽(曲でもアーティストでも)を教えて頂くのが恒例になっております。聴いて励まされたり、元気が出たり、気合が入ったり。
成二郎さんにとって、そんな"Cheer Up!"な音楽を教えていただけますか?


下村:俺、困ったぐらいにどのアーティストも好きなんだよね。
今の若いアーティストも好きだし・・・ジャンルも何もなく、なんでも聴いてて、これ!って言い切れないところがあって。
デビューしたての子の曲とかも聴くし。演歌も好きだしね。
自分でもシャンソン作ったり、頼まれればいろんな曲を書いてて。アイドルの曲も書いたりとかね。

新鮮な耳で聴ける、高校生の時の気持ちで聴けるっていうのが自分の一つのいいところかな。
プロになっちゃうと結局、音楽のコード進行を解明したりだとか、こういうふうに狙ってるな?とか、ついそういう風に考えちゃうじゃない?

もう、そういうのなく聴ける!かっこいいものは「かっこいいなぁー!!」って聴ける。
そこだけかな?自分の中で自分の好きなところっていうのはそういうところかな。
自分で自分のことを認められるっていうかね。
耳と気持ちを高校生の時のままに戻せる「特別なタイムマシーン」を持ってるんですよ。





下村成二郎 プロフィール:

伝説のHard Rock Band『BLIZARD(ブリザード)』の元ヴォーカリスト。
在籍時にオリジナルアルバムを6枚発表。

・「暗黒の聖書」(ワーナーパイオニア)
・「暗黒の警鐘」(ワーナーパイオニア)
・「HOT SHOT!」(ワーナーパイオニア)
・「HARD TIMES」(ワーナーパイオニア)
・「BLIZARD」(CBSソニー)
・「SHOW ME THE WAY」(CBSソニー)

Bandを脱退後、「(株)ビーイング」から「(株)パブリックイメージ」にマネージメント事務所を移籍、ソロ活動を開始。
ソロアルバムをリリース
・「バラードをもう一度」(ポリドール)

1995年、ソニーミュージックアーティスツのプロデューサー集団「MAY HOUSE」に迎え入れられ、多くのアーティストのサウンドプロデュース、新人発掘、育成等を手掛ける。
2000年、「(株)アーク・ライツ」を設立。
サウンドプロデュース、CM音楽プロデュース、映画音楽プロデュース、声優・俳優・アーティストの発掘・育成、作詞/作曲活動など幅広い分野で活躍。
2008年、宮城県仙台市に活動拠点を移動し、数多くのチャリティーイベントへの参加ほか、川崎病支援研究所東北支部長、専門学校でのプライベートカウンセラー等を行なう。
2010年、音楽制作会社「(株)エス・トレイン」設立。
仙台のミュージシャンと『爆撃王(バクゲキング)』を結成、LIVE活動を再開。
2012年、以前より親交の深かった、元『Gusty Boms』のベーシスト『HIRO(池田鷹浩)』と和を基調としたジャンルフリーのユニット『LION CODE』を結成、楽曲制作、レコーディングを開始。
2013年「DELIGHT NEW YORK」のマネージメントにより『LION CODE』始動。


下村成二郎 公式サイト
http://www.seijirou.com/

LION CODE OFFICIAL SITE
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