心弾む楽しい音楽に出会えた嬉しさ!鈴木恵TRIOの1stアルバム『come here my dear』を聴いた時に感じた素直な気持ちです。鈴木恵さんの爽やかな歌声、メンバーのコーラスワーク、キラリと光るアレンジ、いろいろな情景が思い浮かぶ歌詞。まさにドリーミー・ポップ。いいなあ、ライブで聴いてみたいなあと思いながら、鈴木さんにこのアルバムの1曲1曲について、そしてご自身の活動についてじっくりお伺いしました。どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。(2019年10月)


---まずは、鈴木恵TRIO結成のきっかけを教えて頂けますか?

鈴木:はい。僕は元々EXTENSION58というパワーポップのバンドをやっていたんですが、バンドではできない音楽をメンバーを固定せず、自由な形でやってみたいな、と思ってはじめました。もう10年以上前の話なんですけどね。で、色々なメンバーとやりながら、最終的に今の3人になったっていう。
ソロをやってみて、結局、僕はバンドしか出来ないんだなって気付くんです。それ以降、TRIOを名乗ってバンドとして活動するようになりました。

---『come here my dear』は1stアルバムとなりますが、今回アルバムを作ることになったいきさつを教えて頂けますか?

鈴木:これはもう土橋さんですね。アルバムはそろそろ作りたいって思いや構想はあったんだけど、どこでどのように出そうかってのは全く白紙状態。そんな中で、僕らのライブを観にきてくださった土橋さんから、「FLY HIGH RECORDSで出してみない?」ってお話をいただいたんです。勿論、即、「お願いします」って。ずっと僕も注目してきたレーベルだったし、これがいわゆるキッカケなんだ、と自分でも認識したんです。

そこから話が進み、すぐにリリース日が決まって、そこからはもう逆算の日々。いつまでにこの工程を終わらせて、ここまでにこれを終わらせないと間に合わないから、みたいな感じでレコーディングが進んで行きました。いわゆる、尻に火がついたってやつですかね。

---小田島等さんのイラストによるジャケットがとても可愛くてほっこりしますね。懐かしい感じがします。皆さん子供の頃の気持ちを忘れていないのだろうなあと思える鈴木恵TRIOのサウンドにピッタリです。
このジャケを見て、鈴木さんはどのような感想を持たれましたか?


鈴木:ジャケットに関しては、ずっと小田島さんとやってみたいという思いがあった中で、オファーをすることが出来たんです。快く返事をいただき、僕はイラストのジャケをお願いしました。
子供のころのノスタルジーを感じますよね?そうそう、そのようにも感じる。感じ方は人それぞれあった方が面白い。僕には、リアリティしか感じないの。今現在の僕ら3人。黄色い空とかね。
なんか、本当にすごい絵画ですよ、これ。小田島さん本人も言ってましたが、エラいジャケット出来ちゃったって。世に名盤って数多くありますけど、その名盤感すら感じるんですよね。永遠っていうか。大げさかな?多分、その感覚がノスタルジーに相通じるものがあるんだと思いますよ。答えになってるかな?

---鈴木恵TRIOは美しいコーラスワークも魅力の一つですね。3人でよく練習などされているのですか?3人で集まるときはどんな雰囲気ですか?

鈴木:そんなに頻繁に集まらないですよ。コーラスの練習は少ない方かも。美しいコーラス・ワークと評していただけるのは、おそらく3人の声質の問題かもしれない。僕から見るとみんないい声してる。もっというと良いハーモニーを出せる声をしているっていうこと。細かく話すとキリがないんですけど、混ざった時に出来上がるサウンドと自分の声との関係を各々がよく理解しているってことだと思うんです。

3人集まるとまあ、普通に楽しくやってます、という感じかな。厳しくやるときは厳しいし。あと、休憩時間にお茶するのが大好きなバンドですね。大抵、オーバータイムしてスタジオに入るのが遅れることが多いけど(笑)。

---鈴木さんの曲作りについて。時間はかかるほうですか?どのように作っているのでしょう。詞先・曲先どちらが多いですか?

鈴木:他の人がどうかは、わからないですけど、曲を作るのはそこそこ時間かかりますね。作り方はよく聞かれるんですけど、割と机に向かって書くタイプです。サビから作ったりもしないで、頭から書いて行きますね。あるとき降ってくるメロ、みたいなものもなくはないんですけど、すぐに忘れちゃうし、忘れちゃうメロなんて大したメロじゃないんだろうから、思い出そうともしない。曲先が多いかな。

---今回、アイドルグループRYUTistや、沢山のミュージシャンが参加していてゴージャスなサウンド作りもアルバムの魅力の一つですね。この曲にはこの楽器を入れたい!とキャスティングされていったのでしょうか。アレンジ技法も凄いですよね。

鈴木:この話を真面目にすると本当に長くなるので、一回特集組んでもらって良いですか(笑)。
アレンジのことは技術的な面で話すと、決してスキルが高いとは言えないと思います。ただ、先人たちのレコードはそこそこ聴いているので、どの楽器をどのように配置するとこんな音になるっていうのは何となくですがわかって来てるんです。その手法を独自に取り入れているだけ。仕上がりを聴くとそんなに外れてない。そのバリエーション、組み合わせが今回上手くいっているのではないかな、と思っています。

---ここからは曲ごとにお伺いします。

◆ 1.California Love
---アルバムの最初から明るくウキウキした曲調に惹きこまれます。楽しくて、でもちょっと切ないラブソング。
鈴木さんはサックスを演奏されているんですね。


鈴木:これはナイーブな中年男のロマンスですね。だから、切ない、とっても切ない。なのでMVを作ったんですよ。これは、ホーンとストリングス…本当、今できる最高のアレンジが出来たと思ってるんですよ。スウィングしてるけどジャズっぽくない、ストリングスも何もかも落としどころがポップスなんです。自分でサックスを吹いてます。久々にソプラノも。




◆ 2.かなかも
---イラストレーター大塚いちおさんの作詞曲。共作することになったきっかけ、大塚さんのお人柄など伺えたら嬉しいです。「ワンワン」のコーラスは大塚さんからのご指定なのでしょうか?
とても耳に残り、明るい気持ちになる曲ですね。「みんなのうた」で流れたらいいのになあと思いました。


鈴木:おー、ちなみに「モグモグ」だから間違わないで下さいね(笑)。大塚さんは、新潟の上越出身で、大塚さんの期間限定キャラクター・ショップ「DIGMOG」でお店とバンドのコラボをやらせて頂いたんです。その時、せっかくのチャンスだから何か面白いことをやろう、ということになり、楽曲制作をすることになりました。老若男女、みんなが気に入ってくれる曲を、という思いで書きました。
「みんなのうた」は憧れですね。とにかく詞が良いので大塚さんから頂いた詞を一言一句変えずに曲を書きました。大塚さんは、先生ぶらない気さくなお人柄ですよ。僕のライブにも良く遊びに来てくださいますよ。

◆ 3.Day By Day
---明るい曲調なのに、寂しさ・切なさを感じさせるのもまた鈴木恵TRIOの魅力の一つと感じます。
間奏のストリングスやフェンダーローズがまた美しくて、切ない気分に拍車がかかります。


鈴木:いわゆる鈴木らしい系の曲ですね。ストリングスは山根さんのアレンジが絶品。ローズも良いですね。サビがあるようなないような、全部がサビのような。意外と面白い。歌詞に曲がマッチした良い曲になりました。

◆ 4.何もかも忘れたら
---コーラスが美しい。青木さんのパーカッションとか、ホーンとか、かなりいろんな楽器を使っているのにアレンジがさりげなくて、鈴木さんのアレンジが光る一曲と感じました。

鈴木:この曲は楽しかったし、全てが上手くハマりました。本当にいろんな曲の要素が練りこまれていますね。この曲はトラック数がかなり多くて、ホーンも同時に8本鳴っていたり、ほぼ『Pet Sounds』同様の厚み。楽譜も一番沢山書いたんですけど、そこをいかにシンプルに聴かせるかっていうところに重きを置いているんです。だから重厚だけど、重くはないでしょ?ポップスですからね。

◆ 5.花と恋情
---作詞は伴大久さん。どんな方なのでしょう。コーラスはアイドル・グループRYUTistの声が可愛らしい。美しい小品と感じます。

鈴木:伴先生、僕もよくわからないんだけど良い詞を書きますね。RYUTistの曲の時の作詞家。儚いコーラスが欲しかったんです。綺麗とか、美しいとか、もう超えていて、とにかく儚いの、RYUTistのコーラスって。「儚」って人に夢って書きますよね。まさに、ドリーミー・ポップ。今、気が付きました。

◆ 6.指折り数えて
---クリスマスを待ちわびる子供。海外の絵本を読んでいるような内容。
鈴木さんはどこから思いつくんだろう?すごいなあーと思いながら楽しく聴きました。シュトレン食べてみたい。


鈴木:ちなみに僕は二男で、親は共働き、ゆえに鍵っ子。自分想定かもしれないですけど、シュトレンなんて子供の頃にはなかったわけです。僕はリアルとノスタルジーの対峙みたいなことをわりと書きたがる傾向はあります。クリスマス・ソングなんですけど、時系列をもう少し前に出してみました。クリスマスの当日は、パパは仕事の残業でパーティーなんてできないのかもしれないですよね。ケーキ買って帰って来たら、子供達は寝てる、みたいな。

◆ 7.古いボート
---これまた物語がありますね。ミュートトランペットがとても印象的。そしてラップで語られるストーリー、ご自身の経験なのか、とても切ない。子供の頃のお気持ちを大切にされている方なんだろうなあと思いました。
このアルバムの中でかなり心に残った曲のひとつです。


鈴木:「指折り数えて」に似た詞の作風ですよね。そうですね、自分のことかどうかは「?」ですけど、これ、小学校のとき行った「会津若松」の思い出を書いてます。「五色沼」の貸しボート、の話。ちょっとご当地感あるでしょ?ループの曲を人力で演奏するのって楽しいんですよ。

◆ 8.Brand New Morning
---いろいろなパーカッションが効果的ですね。美しいサウンドとコーラスによって空の色が変わっていくような感覚。

鈴木:昔からライブで良くやっていた曲です。コーラスの大作をやりたくて、この曲をチョイスしました。コーラス・アレンジに鍵盤の田邉くんに入ってもらって、彼が素晴らしいハーモニーを書いてくれました。夜から朝、の時間の経過みたいなものを出せたら良いなあ、とは考えて作っていましたね。
The Laundries遠山くんのエレキ、秘密のミーニーズ、たもつくんのペダル・スティールがオルタナ感を盛り上げる本当に素晴らしいプレイを吹き込んでくれました。

◆ 9.Peppermint Love
---管楽器アレンジが素晴らしくて楽しさをひきたてていますね。瑞々しい恋愛の描写が切なくて。特にファゴットの音がいいですね。

鈴木:これ、ホーンは良いバランスで書けてとても気に入ってます。音域も配列も楽器鳴らすという部分でもうまく行きました。僕は、ビッグ・バンドをやっていたので、そこそこイケるんですが、ファゴットは今回、一から勉強しました。跳躍がものすごく難易度高くて、見事に表現してくれましたね。ホルンやファゴットは、ソフト・ロックでは必要な音色で、僕のわがままを叶えてもらった、そんな感じです。

◆10.夜行列車
---電車とかボートとか乗り物がモチーフに出てくるのが多いなあと、ふと思いました。
この曲もまた沢山の楽器が登場するのに、決してうるさくなくて、それぞれの楽器が効果的ですよね。

希望を感じさせる曲でアルバムの締めくくりですね。

鈴木:これは、とある絵本がモチーフとなっていて、僕が物語をイメージして歌詞と曲がほぼ同時にできた曲です。
サビは、ライブのとき、みんなで歌っていますね。いつもライブ会場を客車に見立てて、そのままみんなで電車に揺られる、ような想定で歌っています。

---せっかくの機会なので、ここからは鈴木さんご自身のこともお伺いしたいと思います。
楽器を始めたのはいつごろですか?


鈴木:楽器は、高校の時です。ブラス・バンドに入りました。と、同時にギターも始めていて、ニュー・ウェイヴってジャンルのバンドをやってましたね。その時は、バンドメンバーにベースが居なかったので、ベースを弾いていました。

---学生時代はバンド活動などされていましたか?学生時代によく聴いていたアーティストやジャンルは?

鈴木:学生時代はビッグ・バンドでジャズをやっていました。ジャンルは色々ですね。ジャズも聴きながら、当時流行ったフュージョン、自然とAORみたいなもの。対して、高校の時から好きだったニュー・ウェイヴやらテクノやらも並行して聴いていましたね。あと、当然、流行り物、デュラン・デュランやマイケル(・ジャクソン)も普通に。

---昨今、絵本の読み聞かせライブを行っているそうですね。どんな絵本を取り上げているのですか?

鈴木:「ぐりとぐら」とか「あおむし」とかの定番もの。あとは、色々ですね。物語に関係なく、ジングルみたいに勝手に作ったものもあるし。ご紹介したい反面、作者の許可のこととかあるので、ライブで一回だけ歌ってるみたいなものも多いですね。基本、絵本を見る人のアクセントになればそれで良いものなので。

---鈴木さんは新潟を拠点に活動なさっているとのこと。新潟に行ったときに落ち着く素敵なカフェがたくさんある印象を持ちました。カフェでのライブなども多いのでしょうか。

鈴木:落ち着くカフェが多いかな?そうであれば、過ごしやすい街でしょうから、嬉しいですね。カフェでのライブは多いですよ。半々くらいかな。ライブハウスもカフェもそれぞれ良いところがありますからね。

---このWEBマガジンの恒例企画です。
鈴木さんにとってのCheer Up!ミュージックを教えて頂けますか?


「Majimeに恋して」RYUTist




---今後の展望や夢について伺えますか?

鈴木:「日々の暮らしを楽しくする僕らの音楽を届けて行きたい」…そんな目標です。あまり具体的じゃないように聞こえますけど、実はもっとも具体的な「暮らし」とか「毎日」とか、そういった時間の流れについて行ける、お役に立てる音楽を作って行きます。

---どうもありがとうございました。鈴木さんの作る音楽をもっと聴きたいですし、今後の作品も楽しみにしております。







『come here my dear』鈴木恵TRIO

1.California Love
2.かなかも
3.Day By Day
4.何もかも忘れたら
5.花と恋情
6.指折り数えて
7.古いボート
8.Brand New Morning
9.Peppermint Love
10.夜行列車

発売日:2019.10.9
レーベル:FLY HIGH RECORDS
規格品番:VSCF-1773(FRCD-065)
価格:2,500円(税抜価格)+税

鈴木恵TRIO:鈴木恵/青木宏美/田邉周平

参加ミュージシャン:RYUTist/渡辺たもつ(秘密のミーニーズ)/遠山幸生(The Laundries)/やまねみわこ/越川歩 and more

Produced by 鈴木恵
All Songs Written by 鈴木恵
Except Tr02 Lyrics Written by 大塚いちお/Tr05 Lyrics Written by 伴大久
All Songs Arranged by 鈴木恵TRIO
Strings Arranged by 山根美和子
Horn Arranged by 鈴木恵

Recorded by 鈴木恵
Mixed and Mastered by 浅田将助

Art Direction & Cover Illustration:小田島等
Design:菊池恒美
Photographs:土橋一夫(Surf's Up Design)




■鈴木恵TRIO プロフィール

鈴木 恵 :Vocal, Guitar
青木宏美:Drums, Chorus
田邉周平:Guitar, Keyboards, Chorus

日本のパワーポップ・バンド、EXTENSION58(KOGA Records)のギター&ヴォーカル、作詞、作曲を担当するシンガー・ソングライター、鈴木恵(すずきさとし)のソロ・プロジェクトとして結成。地元・新潟のみならず、東京をはじめ全国を舞台に活動する3声コーラス・グループ。
1960〜90年代のソフト・ロック、バブルガム・ポップ、モータウン〜ネオアコ、ギター・ポップに至るまで、いわゆる「世界中のありとあらゆるウキウキミュージック」をベースに西海岸風コーラス・ワークをドリーミーにブレンド、それを和製極上ポップスへと昇華させた音楽性が彼らの魅力。「日本のWestCoast=新潟」の源泉をつくりあげた彼らは、現代の「NEOサンシャイン・ポップ」とも言うべく新たなカテゴリーを確立し、その存在感を確固たるものとしている。
鈴木は、作詞/作曲/編曲家としても活躍中。人気アイドル・グループRYUTistへの楽曲提供を手掛けるほか、絵本の読み聞かせライブ、テーマ・ソングの制作、また最近ではイラストレーター/アート・ディレクターの大塚いちお氏との共同楽曲制作など、多方面に渡り活動を展開している。


FLY HIGH RECORDS 鈴木恵TRIO最新情報ページ
https://flyhighrecords.hatenablog.com/entry/2019/10/09/145655

鈴木恵 Official HomePage
https://suzukisatoshi.jimdo.com

Twitter
https://twitter.com/szkststrio

♪最新Live情報

2019/11/9(土)下北沢・440(four forty)
w/MIKKO, The Bookmarcs,やまねみわこtrio

2019/11/10(日)下北沢・KOGA Milk Bar
w/シンムラテツヤ, KEEPON

2019/11/16(土)京都someno kyoto

2019/11/17(日)15:00〜
COME HERE MY DEAR TOUR 2019 IN NAGOYA
鈴木恵弾き語り
【会場】名古屋・RECORD SHOP ANDY
【料金】無料

2019/11/30(土)新潟CLUB HALLELUJAH



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