今回のアルバム制作に携わった、近藤健太郎さん・高口大輔さんからコメントを頂きました。
<藍田理緒インタビュー> <コメント>
「森のスピカ」リリースおめでとうございます! 理緒さんの記念すべきデビューアルバムに、サウンドプロデュースという形で関わることが出来て本当に嬉しく思っています。 miumiuさんから初めて理緒さんの声(歌)を聴かせてもらった時、いい声だなぁ好きな声だなぁと感じたことをつい昨日のことのように思い出します。 こんな曲はどうだろうか、どんな詩にしようか、これは理緒さんが歌ったらハマりそうだ!そんなワクワクする打ち合わせとセッションを重ね、いろんな縁やミラクル、そして良いタイミングに恵まれて無事アルバムは完成しました。 CDを作りたいという夢が少しずつ叶っていく様子を目の当たりにすることが出来たことは喜びです。 理緒さんのファン(クルー)の暖かな(時には不安げな笑)眼差しと、気にかけてくれた方々、制作や宣伝で関わった全ての人に支えられ出来たアルバムです。本当に感謝です。おかげで素敵なアルバムが完成しました。一人でも多くの人に届きますように。 近藤健太郎(the Sweet Onions / The Bookmarcs) プロフィール: POPグループthe Sweet Onionsのヴォーカル/ギター、作詞・作曲を担当。自主レーベルphilia recordsを主宰。現在までにCDプロデュースや、カフェやホテルにてライヴ・イヴェント等をゆるやかに企画展開。 2016年2月、シンガー・ソングライター小林しののアルバム『Looking for a key』を自身のレーベルからリリース。 【過去の代表的な作品】 『pictures』the Sweet Onions 『Life is Beautiful』the Sweet Onions 「記憶のプリズム」小林しの(作曲) 『Easy Living Vol.1』(コンピレーション・アルバム/プロデュース) 『Looking for a key』小林しの(レーベル・プロデュース) philia records http://philiarecords.com/ The Bookmarcs Official WebSite https://www.thebookmarcs.net/ philia records Twitter https://twitter.com/PhiliaRecords The Bookmarcs Twitter https://twitter.com/TheBookmarcs 藍田理緒「森のスピカ」によせて 今回の藍田さんのアルバム制作は、新しい試みばかりでした。 普段は、同じような音楽を好きな者同士、普段一緒にライブをしたりいろいろな話をしていく中で信頼関係を築き、その上で自分たちの音源として制作するのが当たり前だったのが、年齢も好きな音楽も違ってどんな人かもまだよく知らないシンガーをプロデュースする、という試み。 なんとなく、プロデュースに回る人というのはある程度キャリアを積んだ人が次のステップとして始めるもの、というイメージはありました。 若い時は自分がどう出て自分がどう表現するかということを第一に考えていましたし、それはthe Sweet Onionsが20周年を迎えた今でももちろんあります。 ただ、年齢も上がっていく中で、少しずつ心の中で、次の世代に、という気持ちが芽生えてもいました。 今の空気を吸っている人の感性を知って自分も高めつつ、若い人たちにも輝いてほしいというような気持ちです。 普段の音楽活動における人間関係もだんだんとそういう立場になりつつある昨今でした。 そんな中、藍田さんプロデュースの話が出たのは、偶然ではない気もします。 制作は、基本的には近藤さんの作った曲にmiumiuさんが歌詞を乗せ、藍田さんが歌った簡単なデモを渡されてからのアレンジでした。 いつもと違うのは、miumiuさんの存在。 彼女が藍田さんへの歌唱指導や最適なキーを決めてくれてからのアレンジだったので、ビジョンが明確でした。 メロディへの歌詞の当て込みや細かい節回しなどがきちんと作りこまれていたので、骨格が決まっていました。 miumiuさんもシンガーとして歌われていた方なので、そのあたりの機敏をよくご存じだったのだと思います。 今回は総合プロデューサー、そして藍田さんのボイストレーナーとしての役割に徹してくれて、彼女なしでは完成できませんでした。 アレンジの作業範囲については、近藤さんがある程度ビジョンを持っている曲は彼の意向を組みとりながらプラスアルファを盛り込んで作っていくスタイル。 ある程度自由にやってほしいという曲に関しては自分の思い描いたものをベースに作り上げていく感じでした。 「すすめSTARTスタッカート」「君と日曜日」「Perfect Mpnday」「おおかみラプソディ」あたりの曲は、自由にやらせてもらった曲です。 以下、アレンジャー視点からのセルフライナーノーツです。 「森のプレリュード」は、近藤さんの考えたピアノバッキングを忠実に弾きました。 クラビで少し裏を刻み、リズムに彩りを添えました。 「すすめSTARTスタッカート」はスタッカートというキーワードがありましたので、ピアノとストリングスでそのテイストを出しましたし、アイドル的フォーマット(Bメロでリズムが倍になる、キメが多い)を意識して楽しみながら作りました。 曲のオープニングのギターソロ部分については、無駄に仰々しい感じを出したくて後から付け足し、ギターを弾いてもらった及川雅仁君とともに作り上げました。 先行発表した初期バージョンを踏襲しつつ、アルバム向けにリメイクした曲です。 「Blue Love Story」は近藤さんのアルペジオ、諏訪好洋君のコードバッキングを先に録り、二人の合間を縫う感じでパーカッションを足しました。 アレンジしている途中で、頭の中でスライドギターが鳴っていたので、間奏部分で諏訪君に弾いてもらいました。 「君と日曜日」は冒頭部、ギターとドラムが入ってくる第二部、クラリネットが入ってくる第三部という大まかに三部構成のアレンジにしました。 全体的なトーンの統一化は多少意識はしていますが、違う三要素を一曲に詰め込むという自分の中でけっこう大きなトライをした曲です。 曲と詞が素晴らしいので、後ろの場面転換をくっきりさせたら曲がよりドラマチックになるという確信のもとにアレンジしました。 1番ではピアノとアコギ、2番ではエレキギター、最後にクラリネットが主役になっています。 ちなみに1番から2番に繋がるギターソロ部分は、自分で弾きました。AOR的な雰囲気を出したくて、こんな感じのソロになりました。 「PerfectMonday」は、普段サポートさせてもらっているthe Carawayのメンバー全員に参加してもらいました。 ベースに佐々木典子さん、アコギとエレキ全般で嶋田修さん、ラストの締めのギターソロで及川君に弾いてもらいました。 今回のアルバム制作で渋谷系やギターポップやネオアコというようなキーワードは意識してなかったのですが、この曲だけは意識的にそういったアレンジにした曲です。ドラムも勢い重視でわざと荒っぽく演奏しています。 「Sabrina」はレコーディングにもっとも気を使った曲です。 近藤さんのアコギでほぼ曲のアレンジが出来上がっていたので、そこにピアノや鈴木君のクラリネットをプラスしました。 「おおかみラプソディ」は、サイケがテーマです。 ドラムパートは家にあるいろんなものを叩いたり、バスドラ役はフロアタムをマレットで叩いてあえて残響を出したりしています。 ベースの前濱雄介君には、エレウッドで弾いてもらいました。アコギはキモトケイスケ君にお願いしました。 二人とも気鋭に満ちていて勢いのあるミュージシャンなので、彼らのパワーを曲にプラスさせたくて、依頼しました。 最後の合唱部分は、アルバムに参加してもらった方全員に歌ってもらい、重ねました。 「おやすみスピカ」は、近藤さんによるエレピ。深いリバーブやディレイをかけて、「おおかみ〜」のサイケ感との繋がりを少し意識しました。 上記4曲に関しては全ての曲で及川君に片腕となって活躍してもらいました。 こちらの表の意図、裏の意図をいつも正確に理解してくれるので、頼りにしています。 制作の手順としては、どの曲に関してもある程度作り上げた状態で近藤さんに聴かせ、随時ディスカッションしながら作っていきました。 彼もこちらの作るものをとても尊重してくれましたし、言葉にせずとも伝わる部分がたくさんあるので、「近藤OKが出れば大丈夫」という根底の安心感のもと作り上げることができました。 そして最後に藍田さん。お互いのパーソナリティや音楽的バックボーンを知らない状態からのスタートでしたが、レコーディングを重ねていくうちに成長していくのが目に見えて分かりましたし、時に苦しみながらも見事に歌ってくれたのがお見事でした。 ピッチの正確さ、高いキーでの持続力の高さも目を見張りましたし、柔軟な対応力にも驚きました。 例えば「Sabrina」の歌入れの時に「誘う」というフレーズがあるのですが、最初彼女が歌った時には「う」の部分を前の音階を残してから上げる歌い方をしていたのを、ボサノヴァっぽく歌うなら、「う」のところは最初から目的の音階を出したほうが良いと思うと提案したら、即座にそう歌ってくれました。あれは素晴らしかったです。 諏訪好洋君によるミックス、阿部充泰さんによるマスタリングを終え、音が出来上がった時には、「もう音を触れなくなる」という一抹の寂しさがありましたが、それより達成感の方が大きいです。 ぜひ、アルバムを手に取って聴いていただけると嬉しいです。 新しい試みばかりで暗中模索の中作り上げましたが、自信を持って世に送り出せたのが、嬉しいです。 高口大輔(the Sweet Onions) プロフィール: the Sweet Onionsのメンバー。 キーボード、ドラムなどの楽器を演奏し、アレンジ全般を行う。サポート活動も多数。 philia records http://philiarecords.com/ philia records Twitter https://twitter.com/PhiliaRecords |