---パーカッションを始めたのはいつ頃からですか? 松岡:パーカッションに移ったのは、ハコバンやるようになってからだから20代半ばぐらいかな? その前からacid jazzを聴くようになって、パーカッションすごいかっこいいなと思っていたんです。 でも、なんか金持ちがやるようなパートだなと思って。 ドラムってスタジオに行けばあるし、別に買わなくてもできるじゃないですか。 パーカッションは全部そろえないといけないから。これは出来ないなと思っていたんだけど、すごく興味はあったんですね。 ある日ハコバンの仕事で、たまたまドラマーが2人ブッキングされちゃってどうしようか?ってことになって、帰ってもいいよって言われたんだけど、ビッグバンドのヴォーカルの人の前にあるコンガをやりたいって言ってみたらやることになって。 初めて見よう見まねでやったのが最初ですかね。 ---松岡さんには偶然が招く不思議なエピソードが多いですね。 松岡:パーカッションは楽しい!と思って、これをやろう!って決めて。 名刺もドラマーじゃなくて、「Percussion&Drummer」っていう肩書で作って。 コンガも8000円ぐらいの安い中古のものを買って始めました。 ---パーカッションは習ったりしたんですか? 松岡:20代後半ぐらいの時に、オルケスタ・デ・ラ・ルスの都築章浩さんに習いに行きました。一回だけ。 自分がやってたのが独学だから全然違うわと思って、姿勢とか当てるコツとか全部教えてもらって。基礎だけ習えばいいやって最初から思ってたので、それだけ習いましたね。 あとはカルロス菅野さんやオルケスタ・デル・ソルの教則ビデオを観てました。 ---コンガやボンゴを叩くと、手が腫れないですか? 松岡:最初は腫れました。もう全然わかんないから。 今は全く腫れないですね。いかにラクにいい音を出すかをすごく研究しましたね。 まあラテンバンドやってる人はバンドでいうドラム的なキープ?の要素を求められるから手がすごく腫れることもあると思うんですけど、ジャズでいうパーカッションはダンスミュージックよりのものは別として、どちらかというと抑揚を求められるのでそこまで腫れないというか。 最初平戸と出会ったバンドなんですけど、それが高速ラテンジャズバンドで、カン!コン!カン!コン!みたいなのを一気に40分ぐらいやらなきゃならない。 それですごく鍛えられましたね。 ---レコーディングで複数のパーカッションやるときは重ねるんですよね?何種類ぐらいの楽器を重ねるんですか? 松岡:相当重ねてることもありますよ。コンガ、ボンゴ、ティンバレス、シェーカー、トライアングル、ウィンドチャイムとか。 いま寺井尚子さんのバンドもやっていますが、そちらは結構同時に入れてますね。 なるべくその場で一発録音するようにしています。それはそれで躍動感がすごく出るから。 ---ライブで楽器を落としてドッキリするようなことはないですか? 松岡:そうですね、置き方工夫しないと。やっぱりシーンとなってるときガチャンとなったこと何回かあります(苦笑)。 ---パーカッションには付き物ですよね。 松岡:まぁ、そういう時はいかに動揺しないか。「ああ〜」っていう顔しちゃうと伝わっちゃうから(笑)。 ---松岡さんは、コンガワークショップもされているそうですね。 松岡:2004、5年だったかな、ちょうど知り合いでコパサルーボの小西えりさんが所属してるレーベルでカフェを渋谷に出したんですよ。そこで彼女にワークショップをやってほしいと言われて。それで始めたのがきっかけなんです。 でも今は場所がなくて、ちょっとやめています。休止してたら一年たっちゃった。 再開は常にしたいと思っています。コンガは楽しいよ!っていうのをみんなに知ってもらいたいですね。 ---松岡さんは、他にもミッツ・マングローブさんのいらっしゃるユニット「星屑スキャット」のバックでもパーカッションを叩いたり、本当に引っ張りだこですよね。 松岡:いや、そんなこともないですけどね。 でも、色々呼んで頂いてありがたいことです。 2年前からバンドメンバーにして頂いてる寺井尚子さんでのライブが今はメインですね。 ---寺井尚子さんとの出会いのきっかけは? 松岡:クオシモードの休止が決まったあたりに「やさいの時間」というEテレの番組があって、寺井さんとは同じ番組で違う時期に挿入歌が使われていたんです。 その後NHKの懇親会があって、ご挨拶することができて、その後、パーカッションをやってほしいって言われたのがきっかけです。 これは運命だなと思って。 ---寺井さんはどんな方なのでしょうか? 松岡:寺井さんは凄いですね。オーラも凄いし。 パーカッションの中でトライアングルがチーンとやったりする場面とかあったりするのですが、普通、ミュージシャンでそこまで聴いてる人少ないと思うんですが、おそらくそういうのも全部聴いてくれてると思うんですよ。 だから、芯からぶつかっていかないと、認めてもらえないというか。 形だけで、こうあるべきだからこうやってますっていうのには、全然引っかからないんですよ。 ---音を全て聴いて瞬時に総合的に判断されているということでしょうか。 松岡:全部聴いてくれてるし、こっちも本気を出さないといいサウンドにならない。そうなった時にすごくほめてくれたり、いいね!って言ってくれる。 これだな!と思って。人柄も最高です! ---寺井さんのバンドでのご経験が今の松岡さんにとって大きいのでしょうね。 松岡:そうですね。感覚的にはネクストステップというか。 ステップアップさせてもらってます。 ---せっかくお会いできたので、松岡さんのプライベートなこともお伺いしたいです! 松岡:プライベートね。いま一番楽しいのはネコですね。 ちょうど10年前にね、実家で飼ってたネコが20歳まで生きて亡くなってペットロスになっちゃって。 もう絶対飼わないと思ってたんですけど、里親カフェで今のネコと出会って。 ---映画はご覧になりますか? 松岡:最近観てないですけど、昔はすごく観ました。 基本的にドキュメントとか実在の人の話が好きですね。 昔のなら、さっき言った「バード」とか、「ストレートノーチェイサー」とか。 「マルコムX」とか「ルーツ」とか。重たいのばっかりですけど(笑)。 ブラックカルチャーとか好きだからその辺のルーツも知りたくていろいろ観ましたね。「カラーズ」とか。 日本では伊丹十三監督の「お葬式」と「タンポポ」。最高ですよ! 伊丹監督はディテールにめっちゃこだわってるでしょ。メガネ一つから、ファッションまで。江戸屋猫八さんのサングラスからメガネになるところとか、メイキングで超こだわってるのやってて。これは凄い人が日本にもいるんだ!と思って。 ---本はお読みになりますか? 松岡:JAZZの本は読みましたね。それとブラックカルチャーの本とか。 マイルスの自叙伝とか。でもマイルスは、僕は個人的にはあれはハッタリだと思いましたね。本当はあの人はワルに憧れてるんじゃないかなって。本当のワルは周りのロリンズとかあの辺ですね、きっと。 JAZZで初めてパーカッションをやったチャノ・ポソって知ってますか? ディジー・ガレスピーがキューバから引っ張ってきたんです。 ディジー・ガレスピーが自分のレコードでチャノ・ポソって人にパーカッションを叩かせたのがきっかけで、けっこういいねってことになったんですけど、その人なんてミュージシャンやりながらハスラーやってたってどこかで読みました(笑)。 ギャングに恨まれてショットガンかなんかで撃たれて死んだんですよ。 でも、なんのジャンルでもそうですけど、それぐらい不良な方ががJAZZのミュージシャンとしてはかっこいいな!って思う。 ---チャノ・ポソについて興味が湧きますね。改めてじっくり聴いてみます。 ところで松岡さんのアパレルブランド"montyacc(モンティアック)は公園でTシャツを売っていらしたことがきっかけなんですか? montyacc(モンティアック) http://www.montyacc.com/ 松岡:多分おおもとはそこですね。一番のきっかけはクオシモードのデビュー前にイベントやってた時に、DJやってたやつと仲良くなって。お互いブラックカルチャー好きだから、音楽に関係したTシャツってなかなか着たいのがないんだよね、じゃあ自分たちで作ろうよ!ってことで始めたんです。 で、クオシモードがアルバム出す時にグッズ作りたいねってことになって、じゃあTシャツを作ろうかということになった時も、montyaccから作りました。 ---デザインは主にどなたが? 松岡:デザインはその相方がやってます。自分はアイディアだけ出して。 写真とか見せて、こういうのをTシャツにしたいんだよね、っていうのはやってます。 去年はシング・ライク・トーキングのツアーTシャツを担当しました。 ---音楽はもちろんアパレルブランドなどご多忙な松岡さんの体力維持の秘訣は、やはりご実家のマツオカ薬品のお薬ですか? 松岡:飲んでますよ(爆笑)。めっちゃいいのありますよ。 一番オススメは「松寿仙」っていうもので、薬というよりは青汁みたいなものです。 松の葉のエキスと朝鮮人参とクマザサのエキスが入ってて、自然治癒力を高めてくれるので病気の予防にもなります。風邪もなかなかひかなくなりますよ。 ---ご実家にあるから自然と飲むようになったのでしょうか? 松岡:そうですね、ずっと飲んでましたね。お水とかでうすめて飲み水として。あとお酒で割る人もいますね(笑)。ほんとはだめですけど。 大手メーカーの薬よりも漢方って成分が濃かったり、製法も違うから、漢方の方が断然お勧めです。 ---マツオカ薬品は漢方専門のお店なのでしょうか。 松岡:漢方の販売の専門です。 調剤はやってないので、いますごく大変なんです。 大きなドラッグストアが出来てからやはりお客さんがすごく減ってしまい、お馴染みの顧客さんで成り立ってる状態なんです。 そんな中で最近、「ササクールA」という漢方がヒットしてまして。 ---ササクールA!私も喉が弱いので気になってたんです。 松岡:聞いたところによるとしょこたん(中川翔子さん)がTVで薦めてから人気が出て。 ササクールは正式名称「響声破笛丸」といって、大手製薬会社が作っていたのが生産中止か何かになっちゃって、それでみんなどこに買いに行けばいいか分からない、どこ探してもないっていう時に、検索してくれて。 某大物歌手のマネージャーさんから、某有名劇団の方も来てくださったし、某女優さん・俳優さんのご夫婦なんかは、直に買いに来てくれたそうですよ。 人目につかない、ちっちゃい店舗だから、逆に芸能人は来やすいのかな。 クオシモードやってた時は、全国からファンの方が来てくれていて、今もたまに来てくれます。 ---芸能人御用達ですね! 松岡:そうなったらいいですね。よろしくお願いします!(笑) マツオカ薬品 http://ameblo.jp/matsuoka-yakuhin/ ---松岡さんの今後の展望を伺えますでしょうか? 松岡:展望は、演奏に関して言うと、そんなにジャンルにとらわれなくて多くの人に聴いてもらえるような音楽をやれれば、何でもいいですね。 ジャンルは、これを突き詰めたいとかはなく、多くの人に聴いてもらえるようなサウンドを作っていきたいですね。 ただそれも今の現状をみると、情報も細分化されているし一つのところにワッと集まるってことは無いから、じゃあ何がいいかな?ってなった時に、もちろん多くの人に聞いてもらいたいし、ポップな要素は大切ですが、何よりその場の寄せ集めではなく、ちゃんとバンドとして、本当に自分たちがやりたいことをやることが先述したことに繋がってくるのかなって。 そういった意味で、新たなバンドも立ち上げる予定です! ---新バンド、楽しみですね。今やられてるバンドの今後は? 松岡:まあちょこちょこ出していけたらいいと思います。続けられる限りは続けていきたい。 やっぱりバンドとしてやっていきたいですね。 もちろんアーティストのサポートも、呼んでもらえる限りやっていきたいと思っていますけどね。 あとはね、本当に究極を言うと、将来的には演奏だけじゃなくてもいいかなと思ってるんです。 もちろん演奏だけでやっていければそれに越したことはないのですが、それだけではなく、やっぱり事務所とか、企画したりとか。営業したりするの嫌いじゃないから、事務所みたいなのをやれたらいいなあと。 ---レーベルをやりたいということでしょうか? 松岡:レーベルというかそれに限ってではなく、もっと大きな、いろいろ動けるような。まだ漠然としてるんですけど。 そういうのをやらないといけないなとは思っています。 それが音楽かは分からないですけど。 ---音楽以外ならどんな分野ですか? 松岡:そうですね、それこそネコが好きだから人間のものだけではなくペット関連のものとかも良いかな。でもペット関連ならようやく排除する動きが出てきている、殺処分に関するものにも関わって行けたら良いなと思ってます。 ---音楽だけじゃないということですね。 松岡:究極は音楽は趣味でやるのが一番いいと思うんですよ。 それが一番ナチュラルに楽しいと思いますよ。 仕事でやるとやっぱり生活を考えたりとかして、いろいろ邪念が加わってくるからそこをいかに、自分の表現したいことを素直に出せるかということを保つのがすごい大変(笑)。 ---松岡さんの人生を語るような記事を自分自身が読んでみたかったので、今日は直接伺えて、盛り沢山のお話が聞けて本当に良かったです。 松岡:ここまで答えたことはあまりないですね。 あんまりそこまで聞かれないから。どうやって始めたか?とかパーカッションをいつ始めたか?とか、そういうのは話したことありますけど。 飲みの席で話すの好きなんですよ。勿論もっと細かく話しますけど。 みんな面白い面白いって言ってくれるから(笑)。 ---濃いですよねえ。 松岡:実はもっと濃いから(笑)。 ---本日は長いお時間、楽しいお話をありがとうございました。 TDO 1st. Album "TOKYO DISCOTHEQUE ORCHESTRA" 01. Overture 02. Are We Ready feat. bird 03. Dance With Me feat. JILLE / 「主治医が見つかる診察所」 2016年1月〜3月エンディング・テーマ 04. Relight My Fire feat. SILVA / (オリジナル : Dan Hartman) 05. Destiny feat. YOSHIKA (from SOULHEAD) 06. I'm Caught Up (In A One Night Love Affair) feat. JILLE / (オリジナル: Inner Life) 07. 真赤な太陽 feat. bird / (オリジナル: 美空ひばり) 08. Move On Up feat. YOSHIKA (from SOULHEAD) / (オリジナル: Curtis Mayfield) 09. Celebration feat. SILVA / (オリジナル: Kool & The Gang) 10. I'm Coming Out feat. JILLE / (オリジナル: Diana Ross) 11. Summer Blue feat. bird / (オリジナル: Bread & Butter) 12. 正しいディスコ feat. SILVA Digital RELEASE: 2016.12.27 CD RELEASE: 2017.1.1 ¥1,980 + 税 発売・販売元:Village Again Association No. : ZLCP-0312 TOKYO DISCOTHEQUE ORCHESTRA: TDO / COLDFEETとして数多くのクラブヒット作品をリリースし、J-Popから海外アーティストまで幅広いプロデュースを手がけ、昨年末にリリースしたソ ロアルバム「Technoca」も話題のWatusi、ブルーノート・レコード契約アーティスト、quasimodeのメンバーで幅広いシーンで活躍する パーカッション、松岡”matzz”高廣、Studio Apartment、Coba、Def Tech、キマグレンなどの作品やライブで活躍するアレンジャー/ギタリスト、堀越雄輔という3名のメンバーが結成した、21世紀の「正しいディスコ」を展開するユニット。 TDO facebook https://www.facebook.com/Tokyo-Discotheque-Orchestra-TDO-670046319764003/ TDO SoundCloud https://soundcloud.com/user-332354742-749517585/albums ◆松岡 matzz 高廣 ( Takahiro matzz Matsuoka ) プロフィール: 東京出身 BLUE NOTE (JAPAN)レーベル よりアルバムリリースを果たしたquasimode (クオシモード) をはじめ、tres-men (トレメン) 、2017年 1月1日に待望の1stアルバムリリースを果たしたTDO / Tokyo Discotheque Orchestra 、そして、2015年よりTOP JAZZ ヴァイオリニスト、寺井尚子のバンドメンバーとして国内外で活躍するパーカッショニスト。 その他、パーカッション・ドラムで多方面において、ジャンル問わず、セッション・サポートなど勢力的に活動している。 レジェンドとの共演も多数あり、国内のフジロックフェスティバルから東京JAZZなどのビッグフェスはもちろん、アジア諸国、ヨーロッパ諸国からカザフスタンまでのフェス等でも演奏経験がある。 常日頃から魂のこもった情味ある物を表現しようと心がけている。 また、DJとしても活動中で、パーカッショニストならではの選曲には定評があり、個人名義ではMix CD [SPUNKY!] 、Blue Note レーベルのパーカッションに焦点をあてたセレクトアルバム [AFRO CUBAN BLUE] 等をリリース。 その他、コンガワークショップやアパレルブランド「montyacc(モンティアック)」を主催、NHK Eテレのテーマ曲を担当した番組「資格☆はばたく」では、レポーターを務めた経験もあり、その活動は多岐に渡る。 matzz la conga!! (blog) http://ameblo.jp/matzz0512/ https://twitter.com/matzz0512 https://www.facebook.com/takahiro.matzzmatsuoka Tres-men Official Site http://tres-men.com/ ♪Live information 最新情報や詳細は松岡さんのブログのスケジュールページをご確認下さい。 http://ameblo.jp/matzz0512/entry-12170941163.html 2017/1/29(sun) 寺井尚子クインテット @富山・高岡 高岡市生涯学習センターホール http://www.manabi-takaoka.jp/TLL/WAUJ000User.do 2017/2/19(sun) 寺井尚子クインテット with Special Guest 中西俊博 @MOTION BLUE YOKOHAMA http://www.motionblue.co.jp/artists/terai_naoko/index.html |