トランペッターとしてますます活躍の幅を広げる類家心平さん。Shinpei Ruike Quartetとしてのライヴレコーディング盤『Lady's Blues』をリリースして全国各地でライヴを行っています。今回はスタンダードナンバーや海外トランペッターの曲のカヴァーとなっており、いつもとはまた一味違った類家さんのトランペットの魅力を堪能でき、カルテットのベテラン揃いのメンバー個々のソロやアンサンブルワークもさすがの聴き応え。そんな充実したカルテットの演奏を臨場感たっぷりに味わえるこのアルバムについて類家さんにじっくりお伺いしました。さらに、カルテットのメンバーの皆さんからもアルバムについてのコメントを頂きました。(2019年10月)
<類家心平インタビュー> <メンバーコメント>
---今回のアルバムは「青山BODY&SOUL」でのライヴレコーディング盤。観客の拍手もそのままに。まるでその場にいるような臨場感があります。このアルバムを作ることになった経緯について伺えますか? 青山BODY&SOUL http://www.bodyandsoul.co.jp/ 類家:BODY&SOULは勿論自分が音楽家として活動する前から知っていたし、原朋直さんや五十嵐一生さんのライヴを聴きに何度か通ってました。 南青山という土地柄もあるのかトラディショナルなジャズをやっている場所というイメージが強かったです。カッコいいバーテンダーの方々やお店の雰囲気など大人の匂いのする場所でした。 他の方のリーダーバンドで出演させてもらった時にお店のオーナーの京子ママから声をかけていただき、僕のリーダーのバンドで出演させてもらえる事になりました。 それまで僕がパーマネントにやってたバンドはエレクトリックジャズっぽいアプローチったので、メンバーこそ殆ど一緒な感じでしたが、演奏する曲目はやはりオーセンティックなジャズを意識した選曲になりました。その中で我々なりの自由なアプローチを意識して演奏しました。 何度か演奏を重ね、そのままライヴレコーディングしようという流れになりました。 レコーディングは昨年2018年の9月と12月に行いました。 ---ライヴレコーディング当日は普段と変わりない雰囲気でしたか?当日のエピソードなども教えて頂けたら嬉しいです。 類家:普段と変わりない感じで演奏しました。ライヴレコーディングとは言うものの出来上るであろう作品を意識するよりも、やはりライヴですから、目の前のお客さんの事を第一に意識しました。その結果がこのアルバムに収められている音なのだと思います。 僕は演奏中に結構体が動いてしまう方なので、1回目の時などは折角レコーディングの為に立ててくれたスタンドマイクをかなり外れて演奏してしまう事があり、中々エンジニア泣かせだったと思います。 選曲もいつものレパートリーを中心に演奏しました。 ---Shinpei Ruike Quartetは定期的にBODY&SOULでライヴをされているそうで、なかなか東京に聴きに行けないファンにも嬉しいアルバムだと思います。リリースしてからリスナーの感想や反響はいかがですか? このアルバムはBODY&SOULのレーベルである「BS Jazz Supportレーベル」からのリリースで、主にライブ会場などで手渡し販売するCDとして出版する趣旨とのこと。BODY&SOULは、類家さんにとってどんな場所なのでしょうね。 類家:BODY&SOULは憧れていた演奏場所のうちの一つですが、実際に演奏させていただけるようになって思うのは、お店の方々がいいチームワークで音楽への愛とリスペクトの元に暖かく迎えてくれる場所だと思います。 聴いていただいた方々の反響はどうなんでしょうか?まだよくわかりませんが、これからツアーに出たりして、色々と反応していただけると嬉しいです。 今回のアルバムはインターネットでは買えるものの全国のCDショップなどには流通させてないアルバムです。ライブに来て演奏を直接聴いていただき、良かったらCDを購入していただくというとてもシンプルな形を取っています。演奏の良し悪しがCDの売り上げに直結するという緊張感もありますが、ダイレクトにお客様の反応が見えるのは嬉しいです。 ---Shinpei Ruike Quartetでは、演奏曲のアレンジや構成は皆さんで話し合うのでしょうか? 2006年に結成されたカルテットで、お付き合いも長いですね。それに「RS5pb」( ruike shinpei 5 piece band )のメンバーとも重なっています。メンバーは類家さんにとってどのような存在ですか? 類家:アレンジは皆んなで話し合う時もありますが、僕からのリクエストの方が多いかも知れません。 僕がもっとこんな感じでやりたいと言うとそれに対して色々と皆んなアイデアをくれる感じですね。後はもう演奏しながら色々な事が起こっていく感じでしょうか。 「RS5pb」とほぼ同じメンバーなんだけど、少しだけ味付けが違うようなイメージで、肉じゃがとカレーとほぼ一緒の料理工程なんだけど最後にカレーのルーを入れるか醤油ベースで味付けするかで全く別の料理になってしまうような感じですかねぇー。構造は似ているんだけど最終的な表現の仕方が変わってくるような。 もう皆んな付き合いも長くなったので、しばらく会わなくて久々に会って音出す時も安心というか、何時もの感じに直ぐにいけるというか。共通した何かを共有出来る仲間というのは凄くかけがえの無いものだと思います。 ---このアルバムを聴いたり、Shinpei Ruike Quartetのライヴで直接類家さんの演奏を目の当たりにして、トランペットのミュートは、種類や奏法を使い分けて細やかに音色や表情が変わるのが魅力なんだなあと実感しました。中でも、アルバムタイトル曲「Lady's Blues」ではプランジャーミュートというものを使っていらっしゃるとのこと。面白い効果があって、とても表情豊かで、懐かしい雰囲気も感じました。 類家:プランジャーミュートはビックバンドなど用いられ、独特のサウンドを作ります。ニューオリンズのデキシーランドジャズでも多く使われます。 喋っているような、言葉に近い感じで演奏できるので僕は好きです。確かに少しノスタルジックな雰囲気も出ますね。 ---「A Lovely Way To Spend An Evening」や「I Fall In Love Too Easily」では、類家さんのささやくような美しい音色がとても色っぽくて。女性ファンは相当ドキドキときめくでしょうね。類家さんがすぐ近くで演奏しているような臨場感と音質の良さで、余計音楽の世界に浸れて良かったです。 類家:有難うございます! 狙い通りの効果で嬉しいです笑笑 エアリーなサウンドのサブトーンは、サックス奏者では使用する方多いですが、トランペットでは少ないかと。ヨーロッパのトランペッターで、ニルスペッターモルベルやティルブレナー、なんかはとても上手くサブトーンをコントロールします。少し日本的な要素もあるのかなとも思ってます。尺八や横笛なんかも極端なくらい息の音を混ぜたりします。日本人が潜在的に好む音なのかも知れません。 ---「Speal No Evil」はKYOTO JAZZ SEXTETでも2管で演奏されていましたね。「Betty」は中嶋錠二さんとのデュオアルバム『N.40°』にも収録されていました。 なんと言っていいのか、うまく言えませんが、同じ曲でも編成やメンバーが違うとまたいろいろ変わってくるのでしょうね・・・ 類家:メンバーによっても編成によっても、また日によっても笑、演奏は変わってきますね。 DUOの場合はよりスペースが多くなりますからその分自由にもなれるし、そういう部分を生かした演奏ができたらいいかなと。 少ない人数でやっている意味というか、必然性を持たせるというか、DUOでやっているのにビックバンドみたいなサウンドを求めてもしょうがないし、それぞれの編成やメンバーの一番いい部分が出たらいいなと。 同じメンバーでも同じ曲を2回やっても同じにはならないというのがジャズの面白いところだと思います。 ---このアルバムでは、外国人トランペッターの素敵な曲との新たな出会いがありました。 ダスコ・ゴイコヴィッチの「Old Fisherman's Daughter」は印象に残るメロディーに心ひかれました。 フランスのトランペッターErik Truffazの「Betty」の哀しく美しい曲調にも・・・。 ダスコ・ゴイコヴィッチやErik Truffazをじっくり聴いてみたいのですが、類家さんおすすめのアルバムを教えて頂けますか? 類家:ダスコの曲は『after hours』というアルバムに収録されています。 アルバム自体も大好きな作品です。 『after hours』ダスコ・ゴイコヴィッチ Erik Truffazは『Bending New Corners』というアルバムが好きです。 『Bending New Corners』Erik Truffaz ---どうもありがとうございました。ライヴで全国を飛び回る類家さん。ぜひ各地の皆さんに類家さんのライヴを聴いて頂き、この素敵なアルバムを手にとって頂きたいです。 『Lady's Blues』Shinpei Ruike Quartet 1.A Lovely Way To Spend An Evening 2.Speal No Evil 3.Old Fisherman's Daughter 4.Bluestruck 5.Betty 6.Lady's Blues 7.I Fall In Love Too Easily レーベル: BS Jazz Support 規格品番:BSJS-003 価格:1,852円(税抜) Shinpei Ruike Quartet: 類家心平 (tp) 中嶋錠二 (p) 鉄井孝司 (b) 吉岡大輔 (ds) ◆類家心平 プロフィール 1976年4月27日、青森県八戸市生まれ。小学生の時にブラスバンドでトランペットと出会う。高校卒業後、海上自衛隊の音楽隊でトランペットを担当。国内外での演奏活動を行う。 2004年にSONYJAZZから、ジャムバンドグループ「urb」のメンバーとしてメジャーデビュー。2006年に自身のジャズカルテット「Shinpei Ruike 4 piece band」を主催。菊地成孔ダブセクテット、WUJA BIN BIN、菊地成孔率いるdCprG、沖野修也率いるKYOTO JAZZ SEXTET、RM jazz legacyなど様々なユニットに参加。2016年に「RS5pb」としての初のスタジオレコーディング盤「UNDA」をリリース。 また、ジャズを題材としたアニメ・映画「坂道のアポロン」やNHKのドラマ「ロンググッドバイ」では劇中のトランペットを担当するなどますます活躍の幅を広げている。 類家心平 Official Web Site http://ruike.daa.jp/ ruike's blog http://ruike.exblog.jp/ 類家心平 公式facebookページ http://www.facebook.com/shinpei.ruike RS5pb official twitter https://twitter.com/RS5pb RS5pb web site https://www.facebook.com/RS5pb-1436568036593116/ ♪最新Liveインフォーメーション ※最新情報・ご予約等は類家さんのブログにてご確認をお願い致します。 http://ruike.exblog.jp/ <Cheer Up!関連リンク> 吹部Cheer!トーク(2018年) http://www.cheerup777.com/miyagi/qanda1.html#section7 私の吹部時代(2017年) http://www.cheerup777.com/miyagi/suibujidai_ruike.html KYOTO JAZZ SEXTET『UNITY』特集 インタビュー(2017年) http://www.cheerup777.com/unity4.html RM jazz legacy『2』コメント参加(2017年) http://www.cheerup777.com/rm3.html 類家心平『Unda』インタビュー(2016年) http://www.cheerup777.com/ruike_unda.html KYOTO JAZZ SEXTET『MISSION』特集 コメント参加(2015年) http://www.cheerup777.com/kjs3.html |