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"北欧のデオダート"というキャッチフレーズもすっかり日本で定着したRoman Andrén(ロマン・アンドレン)。
Cheer Up!では記念すべき創刊号(冊子版)に、名盤との評価が高い大ヒットアルバム『ファニータ』インタビューにて登場頂いた。
今回3年ぶりのアルバム『Rain King』リリースを記念して、再びロマン氏に登場頂き、アルバムへの想い、音楽への情熱、共にアルバムを作り上げた盟友カカラカバンドのことなどたっぷり質問に回答頂いた。
2016/9/2には日本未発売の1stアルバム『Ambessa's Dream』も日本で入手できることとなった。
この2枚のアルバムを聴きながらじっくり楽しんで頂ければと思う。

なお、今回は英語版と日本語版、そしてCheer Up!創刊号に収録の『ファニータ』インタビューも掲載させて頂くことになった。(2016年8月)

(翻訳協力:The Penelopes 渡辺達彦)



---新作『Rain King』は、アフロビートをメインにした作品とのことですね。


Roman:僕はアルバムにとりかかり始める時、自分が持ってるアイディア達を精査し、そしてそれらに、どの音楽的な方向に自分が行きたがっているのかを決めさせるんだ。
その段階では、僕が楽しいと感じることだけを追いかけていく。

今回、アフロビート集団である「カカラカバンド」との二回目のコラボレーションになる。
僕はアフロビートをとても愛しているので、僕と同じぐらいアフロビートの喜びを心得ているミュージシャンたちと共に、アフロビートをさらに探求したいと思った。
創造は創造性に基づくべきであり、それだけなんだと思う。

様々な形態の音楽、様々な文化的起源という問題になると、 私はいつもその文化の持つ、より普遍的な象徴に対して忠実でいたい。
象徴やミステリアスな意味といった要素は僕に大きな興味を抱かせるよ。



---前作『The Oyster Of Basatan』から3年かかった理由を教えて頂けますか?


Roman:『The Oyster Of Basatan』を完成させた時、僕は本当に疲れていたんだ。
僕は前作にかなりのインスピレーションを注ぎ、前に一度も訪問したことがなかった音楽的な景色へと導いた。

「アフロ三部作」の一作目が『The Oyster Of Basatan』、二作目が『Rain King』なんだけど、僕はすぐに『Rain King』の制作に取り組み始めた。
道のりは本当にハードだった。2年間、僕が望むサウンドに到達するまでにかなり苦戦したよ。
リリースを計画はしていたけれど、僕は単にその用意がまだ出来ていないと思った。

僕のアルバムは、愛情とビジョンから作られるんだ。
僕は、品質の伴わない生産を行う音楽ビジネスの内側にはいない。
僕自身がリリースするものには自身が満足を感じる必要がある。それにはより多くの時間が必要なんだ。
『Rain King』には3年もかかったけれど、僕は本当に幸せだと心から言えるよ。


---レコーディング中に印象的だったことはどんなことですか?


Roman:レコーディングは常に一生懸命だよ。
友達でもあると思えるようなミュージシャン達と共にレコーディングしようとするんだけど、それは単に知識よりエネルギーが重要だからなんだ。

人が演奏で何か言い表そうとする限り、そして彼らの演奏が僕の魂に触れる限り、彼らがどれくらいのキャリアがあるのかは問題ではなくなる。
僕はそのエネルギーに従って行くだけなんだ。



---このアルバムでコラボレーションした「カカラカバンド」について、ご紹介をお願い致します。


Roman:僕は最初に、数年前にこのバンドを作ったサックス奏者のNils Lidmanと、シンガー&サックス奏者のPositive Oluwoに出会った。
僕はアフロビートを演奏するためのいわば家に戻りたいような気分だったんだ。
このバンドには、また僕に演奏のマジックを感じさせてくれる連続性、ペース、流れやグルーヴがある。
アフロビートとカカラカバンドの人たち、その両方に恋に落ちたって訳だ。

いくつか一緒にギグをやり、そしてアフロビートにインスパイアされた自分自身の音楽を作り始めたとき、彼らに『Rain King』に参加してくれるかい?と尋ねる必要があった。
僕の選択肢にはカカラカバンドと、これまで一緒にやってきたミュージシャンの両方があったからね。
その結果、マジックのような出来となった。



---カカラカバンドのヴォーカル、Positive Oluwoさんはどんな方ですか?


Roman:僕は、Positiveへの最も深い敬意と、兄弟のような愛情を持っているよ。
僕にとって音楽上の兄弟なんだ。僕たちは音楽を同じようにとらえていると思う。
巨大な存在で、神聖で、スピリチュアルで、マジカルな力。軽すぎず、それでいて重すぎずっていう風にね。
ピントをしっかり合わせ真剣に取り組みつつ、子供のような好奇心も忘れず、伝統への厳かな真実にも重きを置いているところとか・・・。
僕たちは、創造と演奏を強く切望するがゆえに、魂のレベルで非常に身軽なんだ。僕は彼に出会えて幸せだよ。

今回僕は『Rain King』で、インストゥルメンタル曲も含めて全ての楽曲に歌詞を付けた。
ナイジェリアで最も使われているヨルバ語で作詞したかったんだ。
Positiveと僕はヴォーカルラインを作りながら歌詞を翻訳した。
とても創造的で物事に縛られない体験だったよ。お互いのアイディアに身を任せ合っていた。
後にPositiveがヴォーカルをとる時、僕はこのアルバムが本来の文脈で幾通りにも着地したことを感じたよ。



---"And The Wind Blows"において、ジー・ベロさんがヴォーカルで参加することになった経緯を教えて頂けますか?


Roman:実に面白い話なんだ!
僕はインコグニートやライト・オブ・ザ・ワールドの大ファンでね。
フェイスブックでジー・ベロと友達になって話すようになって。
ジー・ベロはインコグニートの1stアルバムに参加して、後にライト・オブ・ザ・ワールドを結成したメンバーの一人だ。

僕は『Rain King』のトラック("And The Wind Blows")を作ってはいたものの、どうしていいか分からなくてね。感じるままに自身で歌ってみたんだけれど、判断がつかないなと思ったんだ。
それでジー・ベロに尋ねてみたら歌ってみたいと。
彼がイギリスでヴォーカルを録音して、僕がミックスして。
彼のパワーとエネルギーには完全にヤラレたよ。歌に完璧にフィットしてた。

その後彼は僕を、ソウル・レジェンドで"Funkin' for Jamaica"で知られるTom Brownや、"Come Into My Life"など珠玉の名曲で知られるJoyce Simsとの演奏に誘ってくれた。
僕は去年の夏、イギリスに数週間滞在して、ライト・オブ・ザ・ワールド、Tom Brown、Joyce Simsと一緒に演奏したよ。
コラボのプランは立てたんだけど、今後は様子をみてみようというところだね。
ジー・ベロと彼の奥さんと一緒に素晴らしい時間を過ごして、これからもっと一緒にコラボ出来たらと願っているよ。



---ロマンさんにとって、"アフロファンク"とは何でしょう?
アフロファンクで敬愛するアーティストを教えて頂けますか?



Roman:僕には音楽の「同じ屋根の下の神」というような存在が何人かいてね。
デオダート、ボブ・ジェームス、バリー・ホワイト、アントニオ・カルロス・ジョビン、そしてアフロビートの創始者フェラ・クティだ。

フェラ・クティの音楽は僕にとってほとんど宗教だよ。指揮者により導かれるクラシック音楽のようにね。
死ぬほどファンキーで、しかし同時に敬虔で潜在的で・・・アフロビートの音楽には沢山のレベルがある。
どういう訳か、僕のメロディックな感覚はアフロビート的メロディーから多くのアイディアを得てる。
アフロビートからエネルギーをもらえば10枚でもアルバムを作れるぐらいさ。

僕のハードディスクドライブは様々なタイプの音楽、ラテン、ファンク、ブラジル音楽、クラシック、アフロビート、映画音楽から得たアイディアでびっちりだよ。
創造することが僕にとっての推進力であり、そして僕を本当の幸せへと導いてくれるものなんだ。
音楽、文章、演技、話すこと、方法を問わずに創造的であるならば、なんでも創造につなげていくつもりだよ。



---ロマンさんは現在もDJ活動を続けていますか?
最近はどんな曲をかけているのですか。



Roman:現在も行っているし、もう何年もDJを続けているよ。
創造をするエネルギーを損なうことなく稼げる方法だしね。
DJすることでみんなを踊らせ、様々な雰囲気や場を創りだすのが好きなんだ。
クラブ、パーティーのみならずギャラリーや展示会でもDJをしている。

大好きでいつもDJでかけているのは、70〜80年代のジャズ、ソウル、ファンク、ディスコ、ブラジル音楽、アフロビートだね。
創造のエネルギーを得るためには、大好きな曲でやる必要があると悟ったんだ。
それはすごく単純に言えば、平凡ではない人生を手に入れるためなんだと思う。
僕らいつも、子供の頃持ってたエネルギー、好奇心、そして、より心の向くままにはするが知性の向くままにはしないこと・・・ってのを忘れてしまうような気がするんだよね。

「Master Zanoonga's Love Potion」というスウェーデンのクラブでオールドスクールのディスコ、ブギ、ファンクのイベントAlchemistic funk-brewingを、仲間のRobっていうDJや、パーカッショニストのSal Dibbaたちと一緒にやっているんだ。
すごくエネルギッシュなイベントだよ。いつか日本でブッキングしてほしいな!



---ロマンさんは2009年に来日してライブを行っていますよね。
日本の印象はいかがでしたか?



Roman:凄く多くの点で僕を変えたよね。クリエイトし続けるための根本的な推進力をくれたと思うよ。
とっても沢山の愛と理解を経験して、ヤラレちまったって感じ。
一瞬にして千人もの新しい友達ができたぐらいの威力だった。
僕のやってることを楽しみ理解してくれてるファンに会ったことも大きな刺激になった。
また日本に行きたいよ!



---最近音楽以外に興味を持っていることがあれば教えて頂けますか?


Roman:何から話していいか!ハハハ。
愛情を失ったんだけど、再び彼女の愛を勝ち得たよ。
必要な、しかし控えめに言ってもなかなかきつい時期だったけどね。
『Rain King』の全ての歌は、僕らの愛を描写しているんだ。
つまりね、最近は以前よりもずっと悲しかったけれど、今は幸せなんだ。
悲しいけど幸せ、なんだ。幸せだけど悲しい、じゃなくてね。
人生はホントに、対照的なもので満ち溢れているね。
僕は幸せ狂なんだよ。



---今後はどんなアルバムを作りたいをお考えですか?


Roman:ブラジルのファンクスタイルと同じぐらい、アフロビートのジャンルでも沢山のアイディアがあるんだ。
でも今のところ、日本ではまず最初に僕の1stアルバム『Ambessa's Dream』をリリースする予定だよ。
2004年リリース作品なんだけど、唯一日本ではまだリリースされていないんだ。
僕の初めての試み、最初の大きなアイディアを形にしたものだからね。
日本で僕のアルバム全てがリリースされたら、とても嬉しいよ。そうなれば凄く誇らしいね。

次の新しいアルバムについて僕が今言える唯一のことは、ファンクとジャズに溢れた、夏のそよ風のような作品になるだろうということだ。



---日本の読者にメッセージをお願いします。


Roman:僕の自己紹介をさせて下さい。
僕の名はロマン・アンドレン。
スウェーデン在住で、ミュージシャン、ソングライター、アレンジャー、DJです。
僕は心が自身に伝えてくることを実現できると信じています。
僕は誠実さを信じています。
僕は愛と創造を信じています。
あなたの情熱は何ですか?



---沢山の素晴らしいお話をありがとうございました。
今後の作品も、再来日してライブを開かれることも楽しみにしております。







『Rain King』 Roman Andrén

1. The Child That I Am (Omo Kekere Ti Moje)
2. It's A Beautiful Day
3. My Heart Belongs To You (Tie Nin Se)
4. And You Never Said Goodbye
5. Rain King (Oba Ojo)
6. Where You Go, I Go (Osope Kin Duro Moduro)
7. You Said You're Sorry
8. Morning Dew
9. Say It, Then I Listen (So Kingbo)
10. Joy, Look For Me (Idu Nu Wa Mi Wa)
11. And The Wind Blows (Feat. Gee Bello)
12. A Brand New Start
13. The Child That I Was (Outro)


規格番号:PCD93799
発売日:2016年06月14日
レーベル:P-VINE






『Ambessa's Dream』 Roman Andrén

1. Prelude - Ambessa Awakening
2. Nawana
3. Before And After
4. You Got Me Dreamin'
5. Felaflight
6. Mabina Yo Bonoyi - Dance Of Life
7. Mystical Place
8. Make It Happen
9. Father
10. Amber Lady
11. Mother
12. The Butterfly
13. Ambessa
14. New Beginning


規格番号:PCD24532
発売日:2016年09月02日
レーベル:P-VINE






◆Roman Andrén(ロマン・アンドレン)プロフィール:

1976年6月20日スウェーデン生まれ。マルメ在住。
キーボーディスト、シンガー、そしてマルチなサウンドクリエーターとして活動する鬼才。
2008年ブラジル音楽からの影響を大いに反映した日本デビュー作『Juanita』が大ヒット。
それ以降もスタジオライブアルバム、『Color Green』、カバー・アルバム『Lovin' You』、ラテンジャズ・アルバム『CABRA NEGRA』、ブラジリアン・フュージョンをフィーチャーした『The Oyster Of Basatan』と話題作を次々発表している。
2016年6月カカラカバンドとのコラボ作品となる『Rain King』をリリース。また9月には2004年作品の1stアルバム『Ambessa's Dream』が日本でリリースされる。


Roman Andrén facebookページ
https://www.facebook.com/romanandrenmusic/

Roman Andrén P-VINE内サイト
http://p-vine.jp/artists/roman-andren




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