2000年前後、ギターポップバンドHarmony hatchでキュートな歌声を響かせ人気だった小林しのさん。
バンド解散後はソロシンガーとして、またバンドsnow sheepのメンバーとして、様々なコンピレーションアルバムに参加。
このところ活動の様子がなく残念に思っていたファンも多いことだろう。
そんな中、2月に1stアルバム『Looking for a key』がリリースされるという朗報が飛び込んできた。
これが実に聴きごたえのある濃いアルバムで!心弾む曲から切なく寂しい歌まで、しのさんの世界にぐいっと惹きこまれること間違い無しの名盤。
さっそく、しのさんにこのアルバムや音楽活動再開の経緯について詳しく伺った。

また、アルバムのトータルサウンドプロデューサー、高口大輔さん(the Sweet Onions)にもサウンドやアレンジについてインタビューさせて頂いた。

さらに、小林しのさんの音楽活動再開とアルバムリリースを祝して、アルバム参加者の皆様よりコメントを頂き豪華な特集となったことに感謝!!(2016年1月)



<小林しのインタビュー>  <高口大輔インタビュー>  <アルバム参加者よりコメント>



---1stソロアルバムリリースおめでとうございます。
2010年から活動休止なさっていたとのことですが、いよいよ音楽活動再開、そしてアルバムもリリース。待ち望んでいたファンも大喜びですね!



小林:ありがとうございます。
2010年頃、今回のアルバムの音源がすべて完成していたのですが、その先をうまく進めることができず、なかなか発表することができませんでした。
音楽活動もSNSもしていなかったので、5年以上何の発信もできなかったのに、ずっとアルバムを待ってくださった方がいたことを知り、本当に嬉しかったです。
たくさん聴いてもらえたら嬉しいです。


---今回活動再開、アルバムリリースとなったきっかけについて、よろしければ教えて頂けますか?


小林:様々な事情が重なり、少しずつ音楽から遠ざかってしまうようになりました。
沢山の時間が流れ、音楽をやっていたことすら忘れかけていた頃、ふとiPodシャッフルで「空色メロディ」が流れたとき、自分の曲ですが、「いい曲だな」と思って…少し元気がなかったこともあり、自分の曲で泣いてしまったんです。
そのことを知り合いに伝えたら、知り合いがツイッターでわたしのアルバムを待ってくれてる人がいるよ、って教えてくれて…。
わたしはSNSをやっていなかったので、色々見せてもらいました。
音楽から離れていた時期も、覚えていてくれる人がいたんだなってすごく嬉しくて…。
それが、今さらアルバムを出そうと思ったきっかけです。


---アルバムリリースに至るまで、具体的にはどのように動いていかれたのですか?


小林:アルバムやライブをずっと待っていてくれたギターポップレストランの中村和美さんにまず連絡をしてみました。
具体的な目標がないとまた頓挫させてしまいそうだったので、中村さんのイベントに出演させてもらいたかったからです。
中村さんはとても喜んでくださって、レコ発を企画してくれました。本当に感謝しています。

次にアルバムのマスター音源を預かってくれていたstudio FLAVORの奥田英貴さんに連絡しました。
奥田さんには編曲、ミキシング、マスタリング等を担当してもらい、色々お世話になっていたのに頓挫させてしまって本当に申し訳なく思っていたのですが、すごく喜んでくださって…。とても嬉しかったです。
急遽、マスタリングまでやり直してくれて、その後もトレーラーを作っていただいたり、たくさん協力してもらいました。
今回のアルバムは古い録音も多いのですが、マスタリングをやり直していただいた事で音質がかなり向上し、今聴いてもおかしくないサウンドになりました。

そして、音源に参加してくださったアーティストの皆さんにも少しずつ連絡をしました。
時を経ての発表になるため、断られる覚悟もしていましたが、皆さん快諾してくださって…本当にありがたく、嬉しかったです。
何よりアルバム全体をプロデュースしてくれたthe Sweet Onionsの高口大輔さん、色々な相談に乗ってくれたphilia recordsの近藤健太郎さん(the Sweet Onions)の存在がとても大きかったです。
皆さんの協力がなければアルバム発表はできなかったので、本当に感謝しています。


---沢山の方が関わって、こうしてリリースの運びとなったのですね。
トータルサウンドプロデューサーに高口大輔さん(the Sweet Onions)を迎えた経緯は?



小林:元々オニオンズの曲が大好きだったこともあり、昔から共演したりサポートしていただいたり、もう15年以上のお付き合いになります。
高口さんはマルチプレイヤーなので、ほとんどの場合は一方的にわたしがお世話になるばかりで、こちらからはあまり協力ができず申し訳ないですが・・・。
高口さんは色々な気持ちや希望を受け入れてくれる包容力と技術があるので、安心して沢山の曲の編曲をお任せできました。
音楽知識のない自分が変なことを言い出したり、ふんわりした的を得ない要求をしても大抵はすぐ理解してくれて、すごく信頼しています。
高口さんがクレジットに入っていない曲でも、ボーカルやコーラスの指導をしてくれたりと、アルバム全体的な相談に乗っていただいてます。


---レーベルプロデューサーもまた、the Sweet Onionsの近藤健太郎さん。近藤さんのレーベルphilia recordsからのリリースなんですね。


小林:近藤さんはsnow sheepで一緒にバンドをやっていたので、こちらも長い付き合いがあり気心が知れていて、音源制作以外にも色々な相談に乗っていただいたり、録音の協力もしていただきました。
歌詞やコーラスワーク、編曲にもいつも絶妙なヒントをいただき、ありがたかったです。

今回のアルバムは長い時間をかけて高口さん、近藤さんと一緒に作り上げた大切な作品です。
なので、近藤さんのphilia recordsに発売をお願いしました。


---アルバムジャケットのうさぎのイラストが可愛くて!繊細でとても素敵なイラストですね。
イラストを描かれたかみたゆうこさんはどんな方なのですか?



小林:かみたさんはイラストレーターではなく、絵がすごく上手なお友達なんです。
10年前くらいに大島弓子さんファンのオフ会で知り合いました。
かみたさんが趣味で描く絵がすごく好きで、ぜひアルバム全体のイラストを描いてほしいと依頼しました。
かみたさんにはまず曲を聴いてもらい、曲ごとのイメージでイラストをたくさん描いてくださったんですが、どれもこれもすごく素敵で・・・選ぶのが本当に大変でした。
わたしが大島弓子さんにかなりの影響を受けているため、選んだイラストも時々大島さんを彷彿とさせる印象になっています。

また、ジャケットの絵は、昔わたしが飼っていた「雪ちゃん」といううさぎをモデルにしてくれました。
歌詞カードの中には同じくペットのうさぎ「ぽちたん」とインコの「コザクラ」も描いてくれています。
コザクラ以外はもう亡くなってしまったのですが、音源を一生懸命作っていた頃の家族なので、イラストで残してもらえて嬉しいです。

デザイン全般は株式会社PIG-D'sのいなだゆかりさんが担当して下さいました。
歌詞カードはかみたさんのイラストといなださんのデザインで、ものすごく可愛いので是非ともご覧頂きたいです。





---ここからは1曲ずつ伺わせて下さい。

1. 雨をひとさじ
---アルバムの1曲目から心弾む曲調で、晴れやかな気持ちになりますね。
アコーディオンが素敵です。演奏なさっている飛魚さんはどんな方なのですか?
サウンドはとても明るいけれど、歌詞をよく聴くと涙が出そうになります。
雨が降って、涙が流れる日があってこそ、小さな幸せに気付くような。



小林:雨は神様からの贈り物みたいな気持ちで歌詞を書きました。
わたしは雨の日がわりと好きなんです。
雨の日って、いろんな事が普段よりは許される気がして・・・。
雨が降り続く毎日でも、楽しんで生きていけたらいいな、みたいな気持ちの曲です。

楽曲面では、高口さんが雨粒がはねるような楽しい演出を沢山してくれて、前奏や間奏に楽しいコーラスを入れてくれました。
また、飛魚さんのアコーディオンがすこし切ない感じを出してくれています。
飛魚さんは普段は「カゲル」というバンドに所属されています。


2. 解放区
---こちらもギターポップらしい疾走感のあるサウンドに嬉しくなります。
高口さんが全部の楽器をやっているんですね。今回、高口さんとはどのように作業を進めていったのですか?



小林:わたしは曲を作るとき、まずメロディを考えて、そのあとギターでコードをあてはめていくというやり方をしてます。
楽器が出来ないので、コード進行理論とかもよくわかってなくて、本当にひどいやり方です。

でも、この曲だけはあてはまるコードが全然探せなくて、最終的にあきらめてしまって…。
とうとうメロディをアカペラで歌ったデモを高口さんに託す、という暴挙に出てしまいました。
あんな酷いデモを、高口さんが疾走感あふれるキラキラな曲に変身させてくれてすごくびっくりしたし、嬉しかったです。


3.フォレストブルー
---作詞は磯谷佳江さん。CD付のミニコミ「my charm」を発行していらして、そのCDには、しのさんも参加していましたね。
今回のアルバムのために磯谷さんに依頼なさったのですか?切なくてファンタジックな歌詞がしのさんにピッタリと感じました。



小林:「my charm#11」で磯谷佳江さん作詞「さよならの花」を歌わせていただいたのがきっかけで、磯谷さんの書く歌詞が好きになり、自分から磯谷さんに作詞を依頼しました。
そして、「フォレストブルー」をはじめて聴いたときの胸のときめきは、今も忘れられません。
歌詞の切なさや儚さに共感し、歌えて本当に嬉しかったです。


---磯谷さんからは、どのようなお気持ちで作詞なさったか聞いていらっしゃいますか?


小林:以下、「フォレストブルー」作詞についての磯谷さんの解説になります。

「フォレストブルーの世界=少女の世界という感じで、
夜明けは、夢見る少女の時間や切なる恋の終わりの象徴。

曲のラストは穏やかな昼間の光がある現実の風景になっているのですが、
浮遊感や透明感、ちょっと不思議なファンタジー感の中に、
どうしようもなかった恋や、ひとつの時間の終わりみたいなものを
歌いたかったような気がします。」


4.Yes,my lord
---しのさんの歌には「僕」という一人称が多いですね。その理由は?
物語が目に浮かび、力強さを感じる曲です。ササキアツシさん(melting holidays)のサウンドがとても美しく、曲を盛り上げているのが印象的ですね。



小林:この曲は某アニメのキャラクターが死んでしまった時に、悲しくて作った曲なんです。
そのキャラクターが男の子だったので、一人称も「僕」としています。

ササキさんのソフトロック調のアレンジが、曲に繊細な美しさと拡がりを与えてくれたので、自分で聴いてもたまに感動してしまいます。
歌詞に「心臓の音」という言葉があるのですが、打ち込まれたベースの音が心臓の音みたいで好きです。


5. 夏の踊り子
---最初の4曲とはガラリと曲調が変わり、ラテン調。昭和歌謡のイメージです。
物語を感じる歌ですよね。どんな時に思い浮かんだ曲なのですか?



小林:「夏の踊り子」については、歩いている時にメロディがふっと浮かんで…
そうですね、ちょっと昭和歌謡ぽいかもしれません。
歌詞の「踊る」という言葉は「胸が躍る」という意味合いで書いています。
fattsさんが 夏の夕焼けみたいな情景をギターで表現してくれました。
高口さんが最後にキーボードで音を追加してくれたら、牧歌的な不思議な要素も出てきて嬉しかったです。


6. 赤い目のジル
---磯谷佳江さんのCD付ミニコミ「my charm#9」に収録の楽曲ですね。当時の音源ですか?
「ジル」とは女の子の名前ですか?
その頃の思い出話などあればぜひお聞かせ下さい。



小林:当時の音源ですが、studio FLAVORの奥田さんがリマスタリングしてくれて、音が良くなっています。
わたしは高口さんが叩く16ビートのドラムが大好きで、そのリズムで曲を作りたくて作った曲です。
「ジル」は女の子です。某ファンタジー漫画の登場人物をモデルに書きました。
収録していただいた「my charm#9」のタイトルが「ファンタスティック・ファンタジー」だったので、ちょうど、曲のイメージとぴったりと合った気がして嬉しかったです。
音源制作の思い出としては、元Cyclon86のメンバーで現Bertoia&雑貨店オーナーのshokk君にベースを弾いてもらったんですが、開店前のDealer Ship店内(注:高円寺の雑貨店)で録音してもらったのが、楽しかったです。


7. 夢色のスプーン(カバー曲 飯島真理)
---1980年代に話題を呼んでいたシンガーソングライター飯島真理さんのカバー曲なんですね。しのさんの歌声やアルバムの世界観にピッタリです。
今後カバーしてみたい歌はありますか?



小林:飯島真理さんはリアルタイムでは知らなかったのですが、マクロス劇場版をみてファンになり、アルバムを聴くようになりました。
アレンジはSucretteの奥田英貴さんに依頼しましたが、可愛い打ち込みで原曲とはまた少し違うおしゃれな感じに仕上げてくれました。歌の録音は奥田さんのスタジオ、studio FLAVORで行いました。録音後に京都案内をして頂いたり、楽しい思い出があります。

いつかカバーしてみたい曲は笠原弘子さんの「もういちどLove you」です。すごくすきなので。





8. 銀曜日にみた夢は
---ご自身でのコーラスワークがとても美しいですね。コーラス部分も高口さんのアレンジでしょうか。
"銀曜日"という言葉により、イメージがふわっと拡がりますね。



小林:歌詞の内容はちがいますが、「銀曜日」という単語は、昔「りぼん」で読んでいた萩岩睦美さんの「銀曜日のおとぎばなし」から影響をうけた言葉です。
何曜日でもない、現実離れした美しい言葉ですよね。
それに合わせて、歌詞は少し幻想的なイメージで書きました。
高口さんがふわふわ浮遊したような、地に足がついていないような、不安定な感じを表現したアレンジをしてくれて、綺麗ですごく気に入ってます。
コーラスはどうしようか…と考えていたところ、the Sweet Onionsの近藤さんが「輪唱にしたらどう?」とアドバイスをくれて、高口さんと3人で考えて作った記憶があります。


9. 幻の森
---スローナンバー。幸せな内容なのかと思っていたら、実は寂しく切ないような、不思議な世界を感じました。
作曲の宮腰智子さんは、しのさんがかつてやっていらしたバンドHarmony hatchのメンバーなのですね。



小林:Harmony hatchの後期に宮腰さんが作曲した曲です。
宮腰さんの曲はどの曲も流れるように美しいメロディで、大好きなんです。
ハッチでは音源に残すことが出来なかったのですが、こうして形にできて嬉しいです。
歌詞は、幸せで美しい世界が現実なのか、夢なのか、どちらにも受けとれるように書きました。
原曲はミドルテンポだったんですが、高口さんがスローにアレンジしてくれました。
結果、光の裏の闇みたいな、すこしだけ怖いような不思議な雰囲気が出たような気がします。


10.花時間
---タイトルだけで、ふわっとイメージがふくらむような幸せなイメージの曲です。
学生時代の想い出なのでしょうか。
アレンジを担当なさったササキアツシさんが全ての楽器を演奏していらっしゃるんですね。



小林:この曲はHarmony hatchの「my red watch」という曲が原曲なんです。ハッチでよく演奏していた曲でもあり、自分が初めてメロディを考えた曲でもあるので、別の歌詞で作り直すことに不安もあったのですが、それ以上に日本語でこのメロディを再度歌ってみたいという気持ちが強く、新たに歌詞を作ることにしました。
歌詞は自分が通っていた女子高のイメージです。花のように短くて、でも確かにあった楽しく儚い時間を書きました。

ササキさんにアレンジを依頼したのは、歌詞のイメージとmelting holidaysさんのイメージが、私の中でぴったりと合っていたからです。
アレンジはササキさんに全面的にお任せしましたが、明るくカラフルな沢山の音が鳴っていて、楽しい気持ちになります。


11.帰れない鳥
---どんどん盛り上がっていく曲調、歌詞は寂しくきゅっと切なくなるような・・・でも力強さもある、とてもいい歌ですね。
ギターアレンジはadvantage Lucyにいらした福村貴行さん(2003年逝去)の名前がクレジットされています。
福村さんのアレンジをそのままfattsさんが再現なさったのでしょうか。
当時の福村さんとの思い出エピソードがあれば教えて頂けますか?



小林:この曲は自分のネガティブな部分をぶつけた曲になります。
Harmony hatchの最後のころにライブでやっていました。

福村君はHarmony hatchの最期の3ヶ月間くらい、ギターのサポートをしてくれていました。
当時のハッチは解散間際の状態だったんですが、そんな後ろ向きなバンドをサポートしてくださり、本当にありがたかったです。

福村君のエピソード…ひとつ、とても心に残っていることがあります。
当時のハッチはサポートの皆さんも寄せ集めのような状態で、全員のスケジュールを合わせるのが難しく、ライブ前日や当日にギリギリ音合わせをするような状態でした。
特に福村君は他のバンドや仕事も忙しかったため、その日の練習も「難しい」という状況だったんです。
不安な気持ちで黙々と練習を行ってるなか、コンコン、という音がしてその先を見てみたら、練習中のスタジオの窓を笑顔でノックしてくれる福村君がいました。
スタジオ中の部屋をひとつずつさがして「仕事早退出来たよ!」と、笑顔で駆けつけてくれたんです。
すごく安心して嬉しかったのを覚えています。

福村君の優しさと明るさに救われて、解散までの数ヶ月も楽しく過ごせました。
本当に感謝しています。

「帰れない鳥」のギターアレンジはすべてが福村君ではないですが、ハッチ時代に一緒に考えてくれたものです。
間奏、後奏のギターリフが福村君のアレンジで、すごく好きだったので、そこはfattsさんに完コピしていただきました。

わたしは福村君と特別に仲がよかったわけでもないし、今回、クレジットに福村君の名前を記すこともおこがましいような、迷いもあったのですが…やっぱりどこかに残したいなと思って名前を記載させていただきました。


12.雪虫
---philia recordsが2006年にリリースしたコンピレーション「Easy living Vol.1」に収録の楽曲。
the Sweet Onionsとの共演ですね。当時の音源ですか?
寂しく切ないながら温かい気持ちになる歌ですね。
この歌に限らず、しのさんの歌は切なく寂しく、だけどほわんと温かくなる歌が多いと感じるのですが、いかがでしょう。



小林:当時の音源です。こちらもリマスタリングしていただき、音が良くなっています。
雪虫は、雪が降る前に北海道でよく見かける白い綿毛のついた羽虫です。
ふわふわ飛んでいて、手に乗せただけで死んでしまう儚い命の虫でもあり、歌詞は雪虫の命と失恋の儚さを重ねたようなイメージにしました。
わたしの歌詞が全体的に切なく寂しく感じられるのは、自分自身が寂しい、悲しい、というような感情に支配されることが少なくないからかもしれません・・・。
でも、歌詞から温かさを感じとってもらえたなら、凄く嬉しいです。
編曲はthe Sweet Onionsの3人にアレンジを色々と考えていただき、繰り返し聴いても飽きにくい楽曲になったと思います。
間奏の、雪虫が落ちていくような部分がすごく好きです。


13.空色メロディ
---Bluebadge labelが2005年にリリースしたコンピレーション「guitar pop crazy!」に収録の楽曲。
この歌はしのさんの魅力が凝縮された歌と感じました。このアルバムは、小林しのさんの1stアルバムにしてベストアルバムなんだなぁ〜と実感します。
これまでのソロ活動が実ったアルバムなのですね。このアルバムを聴いて、早くも2ndアルバムが待ち遠しい!と感じます。



小林:ありがとうございます!
「空色メロディ」はバンド解散後に初めて作った曲です。歌詞は亡くなった知人を思って、ストレートに書きました。自分にとっても特別な曲です。


---そうだったんですね・・・。fattsさんのギターがまた素敵ですね!fattsさんについてご紹介をお願いできますか?


小林:この曲はfattsさんのギターが本当に素晴らしくて…。歌詞を表したようなギターリフだと感じています。
近藤さんがギターアレンジをかなり考えて下さって、それをfattsさんがさらに素敵に弾いてくれました。
リマスタリングしてギターがさらに響くようになったので、是非ヘッドフォンで聴いてほしいです。

fattsさんに出会ったのは、harmony hatchの解散少し前、ギター募集をかけたら連絡してきてくれたことに始まります。
一緒にスタジオに入ってみたらものすごくギターが上手でびっくりしました。
ハッチでは共演の機会がなかったのですが、ソロ活動をはじめてから録音でお世話になってます。
お名前どおり身体が大きくて、熊さんのような面白いお兄さんみたいな存在です。
最近はオニオンズのライブサポートなどもされています。


14.記憶のプリズム
---ここまで聴いて、アルバムタイトル「Looking for a key」の意味が分かったような気がしました。
しのさんの心の旅はまだまだ途中。しのさんがまた音楽活動を再開してくれて本当に良かった!と、この歌を聴きながらとても嬉しくなりました。



小林:ありがとうございます!
この曲はthe Sweet Onionsの近藤さん作曲、高口さん編曲で、最後に持ってきて、アルバム全体に奥行が出たような気がします。 優しいメロディとアレンジが大好きです。
歌詞はアルバム制作の最後に作っていたこともあり、幸せな気持ちと、何となく寂しい気持ちの両方がありました。
振り返った時、また同じ気持ちに出会えますように、と思って歌詞を書きました。

アルバムのタイトルはこの曲の歌詞の一部と、イラストのかみたさんが鍵のついた絵をたくさん描いてくれたところからつけました。






---ここからは、小林しのさんの音楽ヒストリーについてお聞かせください。
いつ頃から音楽を聴くようになったのですか?どんなジャンルがお好きなんでしょう。



小林:小学生の頃は南野陽子さん、斉藤由貴さんの曲が大好きでした。
中学生の頃は織田裕二ばかり聴いてました。当時出ていた全アルバムだけ繰り返し聴いてました。多感な時期に織田裕二の曲しか聴いてなかったので、作る曲がおしゃれになりきれないのかもしれません・・・。

高校生のときはビートルズばかり聴いてました。ビートルズは今も好きです。
そのあと、友達にフリッパーズギターを教えてもらい、渋谷系と呼ばれていた音楽が好きになりました。
嶺川貴子さんのファーストアルバムが特に好きでした。そこから「米国音楽」等を読むようになり、インディーポップが好きになりました。


---織田裕二って(笑)。最近はどんな音楽を聴いていますか?


小林:そんなに詳しくないですが、アニソンも好きです。とくに昔の魔法少女ものは今もよく聴いてます。
女性アーティストでは、アルバムでカバーさせていただいた飯島真理さんを一番聴いているかもしれません。
洋楽も多少は聴きますし映画のサントラも好きですが、好きな曲は邦楽に多いです。
気に入ったものを繰り返し聴くタイプなので、なかなか幅を広げられないです。


---しのさんが1999-2002年にメンバーとして活動なさっていたバンド、Harmony hatch結成のきっかけを教えて頂けますか。


小林:学生時代にカラオケで歌っていたら、友達の宮腰さんに「声が変わってるからボーカルができそう」と言われ、そのままノリで「じゃあ二人でバンドやろう」みたいな感じで始まりました。
二人とも楽器も出来ないので、ギターが弾けた宮腰さんのお兄さんに爪切りから教えてもらい、ギター練習をしたのがはじまりです。
音楽知識もない、楽器もできない、…という無謀な始まりでしたし、その後もあまり上達しなかったのですが、曲作りと歌うことが楽しかったこと、またその後、幸運な出会いが重なって音楽活動を続けることができました。


---しのさんの世界観に影響を与えたものは何ですか?


小林:学生時代は少女漫画・少女小説ばかり読んでいたので、きっと強い影響を受けていると思います。
とくに大島弓子さんは、繊細で可憐な絵と言葉、風景描写、不思議な世界観などが好きすぎて、いろんな影響を受けています。


---このインタビュー企画では、皆さんに「あなたにとってのCheer Up!ミュージックを教えて下さい」という質問をさせて頂いております。
落ち込んだ時に聴きたくなったり、気合いを入れたい時、元気を出したい時など、しのさんにとってのCheer Up!ミュージックを教えて下さい。

また、しのさんはマンガもお好きとのこと。ぜひおすすめのCheer Up!コミックを教えて頂きたいです!



小林:身近な方の曲になりますが、パトラッシュさん(注:諏訪好洋さんのユニット)の「雪のひとひら」という曲です。
落ちこんだ時、すべて赦されるような気がして、よく聴いてます。
自分の事が嫌になったときとか「今日も諏訪君に許してもらおう・・・」みたいな・・・迷惑ですが(笑)。

読むと元気になる漫画・・・
昔の漫画ばかりなのですが

坂田靖子さんの「マーガレットとご主人の底抜け珍道中」
世界中を旅するご夫婦の物語で、朗らかで明るい奥さんと優しいご主人に癒されます。

高野文子さんの「るきさん」
るきさんとお友達えっちゃんの何気ない毎日に共感して、読むと実家に帰ったみたいな安心感があります。
もう20年近く繰り返し読み続けてます。

あとは大島弓子さんの「グーグーだって猫である」
ペットとの暮らし、のら猫保護の話が中心のエッセイ漫画で悲しい部分もあるのですが、圧倒的な動物愛に自分が救われてしまう時があります。


---今後の活動予定や抱負、展望を教えて下さい。


小林:これからも高口さんはじめ信頼している皆さんと一緒に、ストックしてある曲を録音したり、作っていけたらなあと思っています。
ゆるゆるとした活動になるとは思いますが、続けていけることは嬉しいです。

2月7日にアルバムのリリースパーティーがありますので、今、ライブのリハーサル中です。


---リリースパーティーはどんな内容なのですか?


ギターポップレストランさんにリリースパーティを企画していただきました。
私のライブサポートメンバーはthe Sweet Onionsの高口大輔さん、パトラッシュの諏訪好洋くん、fattsさん、前濱雄介さん、tenさんです。
ゲストコーラスにスパゲッティ・バビューン!のよしいちひろちゃん、ゲストアコーディオンにカゲルの飛魚さんも参加予定です。

出演は私の他、今回2曲を編曲をしてくれたササキアツシさんの新ユニット、ポプリさん。いつもお世話になっているthe Sweet Onionsさん。そして憧れのthe Carawayさんです。

私と高口さん、近藤健太郎さんの別バンドsnow sheepもオープニングアクトで出演します。
また、DJは作詞家でmy charmの磯谷佳江さん、お菓子販売でmilky pop.さんもいらっしゃいます。お菓子すごく美味しいです!
当日はアルバムを特別価格で先行発売します。イベント予約特典もありますので、ぜひ足を運んでいただけると嬉しいです。


---今後も小林しのさんの歌を沢山聴けることを楽しみにしております。
どうもありがとうございました。









『Looking for a key』 小林しの

1. 雨をひとさじ
2. 解放区
3. フォレストブルー
4. Yes,my lord
5. 夏の踊り子
6. 赤い目のジル
7. 夢色のスプーン(カバー曲 飯島真理)
8. 銀曜日にみた夢は
9. 幻の森
10.花時間
11.帰れない鳥
12.雪虫
13.空色メロディ
14.記憶のプリズム

発売日:2016/2/24
価格:1800円(税抜)
レーベル:philia records
品番:PHA-13


参加アーティスト
トータルサウンドプロデュース:高口大輔(the Sweet Onions)
作詞参加:磯谷佳江
作曲参加:近藤健太郎(the Sweet Onions)、TAKA、宮腰智子(ex Harmony hatch)
編曲参加:奥田英貴(Sucrette)、高口大輔(the Sweet Onions)、近藤健太郎(the SweetOnions)、
     ササキアツシ(melting holidays)
演奏参加:高口大輔(the Sweet Onions)、近藤健太郎(the Sweet Onions)、Shokk(Bertoia)、
     飛魚(カゲル)、畠中健太(the Sweet Onions)、fatts、ミズカミ レイ、うぇいこ♪
マスタリング:奥田英貴(studio FLAVOR)
イラスト:かみたゆうこ













小林しのプロフィール
1999-2002年 Harmony hatch というバンドで作詞、作曲とボーカルを担当。
2000年、coa records より 「ケーキケーキケーキ」 「苺苺苺苺」の2枚のアルバムをリリース。
2002年からソロ活動を始め、コンピレーションアルバムに多数参加。
Bluebadge label「guitar pop crazy!」 に 「空色メロディ」、my charm ornament #09 「ファンタスティックファンタジー」に「赤い目のジル」、philia records 「Easy living Vol.1」に「雪虫」、TKO new music corporation 「渋谷系インディーポップコレクションVol.1」に 雨をひとさじ」でそれぞれ参加。
また、my charm #11 にて 「さよならの花」で歌唱参加。ゲーム「永久皇帝少女〜島の魔法使い編」オープニング曲「Endless dream」歌唱担当。
2010年から活動休止していたが、2016年2月、the Sweet Onions の高口大輔をトータルサウンドプロデューサーとして迎え、14 曲入りフルアルバム 「Looking for a key」 を発売。


小林しの Official Web
http://kobayashi-shino.com/

小林しのブログ「小さな夜のつづき」
http://kobayashi-shino.com/blog

小林しの Twitter
https://twitter.com/shinopotitan

SoundCloud
https://soundcloud.com/shino-kobayashi

philia records Official Site
http://www.philiarecords.com



Guitar Pop Restaurant vol.30
〜小林しの「Looking for a key」Release Party〜


2016年2月7日(日) OPEN 11:20/START 11:40
会場:下北沢THREE
料金:adv. ¥2,200 / door. ¥2,700 (+ 1drink)
LIVE:小林しの / the Caraway / the Sweet Onions / ポプリ / snow sheep (opening act、acoustic set)
DJ:磯谷佳江 (My Charm)
SWEETS:milky pop.
http://gprofficial.net/live30.html

※2/7 リリースパーティの前売り予約特典としてsnow sheep とハーモニーハッチのカセットテープ音源CD-Rをプレゼント。
※当日はアルバムを特別価格1000円(税込)で先行発売。どちらも当日のみの特典となります。予約は上記Guitar Pop Restaurantのサイトよりお願い致します。



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